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マレーネさんのレビュー一覧

投稿者:マレーネ

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大事なのは「戦争」に反対することだ—イラクに散った戦場カメラマンの遺言

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ベトナム戦争、カンボジア内戦など世界各地の戦場で活躍し、今年5月、イラクで武装グループに攻撃され命を落としたカメラマン、橋田信介さんの遺著。60歳を過ぎてなお現役で戦場を駆け巡る橋田さんは、ジャーナリスト仲間から敬愛され、その年の功で、年長者を敬うアラブ世界では一目おかれる存在だったという。本書の「あとがきにかえて」は、まさに「遺言」と題されて今年の元旦に記されたばかりだった。

勝谷誠彦・宮嶋茂樹との巻頭座談会に続き、本書は、米英軍のイラク攻撃前後、橋田と相棒・鈴木幸男が第一線の戦場写真を求めてイラクに入国を試み、遂にこれを果たして来るまでの一部始終を軽妙に綴る。軽妙に、といってもそれは読む方がそう思うだけで、本人たちは命がけに違いないのだが…法外な料金をふっかける運転手、ワイロがなければ動かない役人、安ホテルで毎日同じメニューをひたすら有難く食べ続ける橋田たち。橋田はカメラマンのはずだが、名エッセイストでもある。ユーモアとペーソスあふれる語り口で、最後まであっという間に読めてしまう。

著者のそんなキャラクターゆえ、この本はややもすると軽い読み物のように見えるが、世界の戦場を回ってきた著者ならではの深い洞察が織り込まれているのが魅力だ。例えば、橋田は、戦場記者は戦争を語ってはならない、なぜなら「戦争」はすぐれて政治の世界であるからだ、と述べつつ、日本の平和論も戦争論も「戦争」と「戦場」をごっちゃにしているとして次のようにいう。「毎年8月になると、広島・長崎の惨状が語られ、平和を願う式典が開かれ、不戦の誓いが語られる。だが、それは単に『戦場』を語っているだけで、『戦争』を語っているのではない。つまり、それは『戦場』に反対しているだけで、『戦争』に反対しているのではない。…悲惨で怖い『戦場』に反対するのはバカでもできる。問題は『戦争』に反対することなのだ。それはすぐれて政治を語ることに尽きる」。このくだりは、日本の平和運動一般、また「戦争体験の労苦を語りつぐ」目的で作られたという東京の平和祈念展示資料館などに対して私が普段からもっていた違和感を言い当ててくれた。戦争で大変な苦労をした、それは誰もが同情できることだが、なぜ戦争に至ってしまったのかを考えなければ、何も問題は変わらないではないか。ひどい思いをしたと嘆くだけでは何もならない、戦争を本当になくしたければ、政治に関心をもち、選挙に行くのは勿論、人々を戦争に駆り立てる政治家に警戒し、ときには政治的な意思表明をすることも必要なのだ。

橋田さんはイラクに散ったが(このときの夫人の落ち着いた対応も本当に立派だった)、珠玉のルポを私たちに残してくれた。茶目っ気のある橋田さんがつけたこのタイトル、橋田さんは、よく似た名のベストセラー小説くらいには、本書が広く読まれることを願っているだろう。たくさんの人に手にとってもらいたい、小さいけれど重みのある一冊。

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