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  3. 13オミさんのレビュー一覧

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先月(2017年1月)

13オミさんのレビュー一覧

投稿者:13オミ

80 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本人を動かす 新装版

2004/05/09 07:43

理想の上司

8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。


 事例が外国人なので、日本人にとってはぴんとこないところがある。日本人は、日本人の話でないと感情移入が出来にくい。どこか他の国の話よなぁと他人事に思ってしまうところは否めない。

 人間関係論はほんとに沢山出版されているが、この本一冊で人間関係論の基盤は勉強できる。37個の小さい章立ての一つひとつに必ず事例が組み込まれているだけではなく、それらに対する著者の指摘が詳細である。

 題名の「人を動かす」は優しい表現だがインパクトがある。他者をコントロールしたいという欲求は誰にも存在する。しかし、自己をコントロールすることが他者コントロールの原点なのだと気づかせてくれる本書はお腹に染み渡る。

 一時期チャート型参考書のはやったことがあったが、その草案みたいな感じの構成で読みやすい。ニュー社会人に贈る本としては一番のものだろうと思う。

 著者はもう死んじゃったので無理だが、一緒に仕事してみたかったな。なんか顔つきや表現が優しそうだしね。こんな上司が理想です。

 

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男殺し少女漫画

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 少女漫画です。とりあえず、出てくる男がルックス・生き方ともにカッコ良すぎる。基本的に悪党がいないし全員いい人。内部の人間との葛藤に終始して外部との接触を極端に少なくすることで悪人を排除しすぎてます。ありえねえよ、こんな幸せ。

 主人公は、奈々とナナ。この奈々と高校からの腐れ友達淳ちゃんとの絶妙なボケつっこみ。これだけでも読む価値あり。腹を抱えて笑えます。

 登場人物一人ひとりのキャラが漫画であるにも関わらず、非常によく描かれている。主人公の二人はさることながら、奈々ファミリー主役級の淳ちゃん・章介・京介。ナナファミリー主役級のノブ・ヤス・シン。トラネスファミリー主役級のレン・タクミ・ナオキ・レイラ。この12人がコアとなって話が進んでいく。

 しかし、最大の売りは恋多き奈々の葛藤。それぞれタイムラグはあるが、章介・ノブ・タクミ・ナナに対する奈々の思いが泣かせてくれます。

 おそらく、男は奈々に惚れる。天然ボケの彼女は思ったことをすぐ口にするか表情に出してしまう。それが男心を絶妙にくすぐるのだ。本気で普通に彼女は人を褒めちゃう。褒めることになんの躊躇もない。こんな女がいたらなあと多くの屈折男性は思うだろう。しかし、もっと恐ろしいのは奈々が妊娠してお母さんになってしまうこと。お母さんになった奈々は確実に成長し、相手を静かに受け入れるというバランス感覚をもつだろう。そうなったとき…あぁ…もう男はメロメロになるよぅ。

 ということで少女漫画でありながら、男殺し漫画でもある。これからどう展開するのか作者に任せる。なにもいうことはありません。わくわく。
 

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性中枢は正常化したようです

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 見てきたようにモノをいいという講談のセリフを借りたくなるような矯正の全記録。まあ、本人への取材がなかったとすればここに書かれていることが本当のことなのかどうか疑わしい。でも本人と会えるわけないし、本人が語るはずもないから矯正したかどうかは闇ですね。

 神戸児童連続殺傷事件の犯人Aが仮退院しました。彼は本当に矯正したのかという世間の疑いの目を晴らす物語。この更生プロジェクトが成功したという観点から描かれている。説得力があるのは、少年Aと矯正官たちの医療少年院での言葉の掛け合いや動きが詳細に載っている点である。また、矯正手法が論理的で納得のいくようなものであるという点。ここまで細かい矯正ルポはないと思う。

 彼が犯した罪の根源にあるのは「性的サディズム」だ。人を殺すという妄想で自慰行為をした。それが昂じて本当に人を殺すという行為に走ってしまったらしい。だから、彼は女性の身体には全く欲情を感じたことはなかった。それが、矯正施設内において遅ればせながら女性に欲情を感じて自慰行為に走ることになった。この部分は矯正の一段階を経たという説得力がある。性中枢の未発達が存在していたのだ。

 脳の部分に関しては「直観像素質者」であるという鑑定結果が出ている。これは見たものを写真のように記憶できる。本書では論じられていないが、直観像は短期記憶の異常の疑いがあると推測できる。

 また、少年Aの生い立ちについても触れているが、精神鑑定にあたった医師の言及の中で「母子一体関係の時期の短さが、Aに最低限の満足を与えなかった」とある。ここで著者は次男が年子で生まれたことを理由に挙げているが、年子なんてのはよくあることでそれは愛情不足の原因としては弱い。また、随所に母親の躾の問題を挙げているが、子どものSOSのシグナルなどはそうそう簡単に発見できるものではない。2面性についても触れているが、そんなものは誰でも持つ。

 精神鑑定医らは親の虐待を指摘しているが、本書ではあまり触れていない。私見だが、かなりの虐待があったように思う。その部分の解明が待たれる。が、誰ももう解明しないだろうなあ。

 矯正プロジェクトの一環の中で内観法やロールレタリングといった手法を取り入れたことが書かれているが、所内における少年Aと矯正官たちとの葛藤がよく描かれていると思う。

 重大殺人を引き起こす者に共通して見えるのではないかということを研究した人がいる。3つの条件がそこにはあると言う。脳の器質的障害・精神疾患・幼少期の被虐待だ。今回のケースも強引かもしれないが当てはめることが出来る。直観像は左脳への問題に疑いがある。離人症状や解離傾性の存在。親の虐待。この仮説に基づいて矯正をしていくという考え方を国はもっと真摯にやっていくことが必要だと思う。そうしないと重大殺人者出現の予防につなげることはできない。予防は大切。それについて論じている本はほとんどない。

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スランプには意味がある

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 認知心理学の観点から上達のメカニズムを説明しているが、アイコニックメモリだとかワーキングメモリだとかスキーマだとか横文字専門用語が頻繁に使われているため、上達の仕組みが頭に入っていきにくい。具体例が将棋や茶道に偏っているのも受け入れにくい要因となっている。読み手がおじさんじゃないと頭にスムーズインしないなあ。

 学習塾で講師をしていた頃、ある中3の生徒が「先生、おれ都立のトップ高に行きたい」と言った。業者テストの偏差値は40前後。通知表はオール3。合格はほとんど無理だった。まあ、夏過ぎれば自分の成績を客観視して志望校を下げるだろうとたかを括っていた。ところが、10月になっても志望校変更を譲らない。成績は上がってないのに絶対に受験すると言う。母親も子どもを説得できない。どうすっか? 「お前、俺の言う通りのことできるか?」 「やります」 指示したのは、1.国語を捨て一切勉強しないこと 2.数学と英語のテキストを渡して、塾に来て1ヶ月以内に全ページをやりきり、そのスタイルを受験前日まで続けること 3.理科と社会は薄い問題集を買って、塾ではなく家でやること 4.1ページ終わったら必ずすぐに採点して、解説を見てもわからないところだけ私に聞くこと の4つ。これをやらなければ合格しないぞと脅した。それから彼は2月の入試まで毎日学校が終わると午後4時くらいに塾に来ては問題集に取り掛かった。7時頃にいったんご飯を食べに自宅に帰ってまた塾に戻って来る。ある時、私が仕事していてはっと顔を上げると夜中の1時だった。「ふー疲れた」と言って体をひねって軽く体操していると彼がいた。絶句した。「お前…12時回ってるよ…」彼はひたすら私に言われたとおりのことをいちいちこちらが言わなくてもやり続けていた。彼の業者テストの成績はみるみる上昇。さらに授業では指名しても全く答えられなかった彼がことごとく正答を言った。まるで別人かと思った。これほどまでに能力はあがるのかと驚嘆した。彼自身も自分が出来るようになっていくのを肌で感じているということだった。

 ものの見え方が変わる=認知構造の変容。これが上達のメカニズムだそうだ。上達には法則があり、なにかをかなり深く身につける経験を通じて、上達の一般則を体得した人は新しいものを身につけるときにそれが自然に生かされるのだ。上級者と初心者・中級者の対比から上級者の認知構造を説明している。

 スランプの意味や構造に関しての言及では、いくらやっても伸びない人にとっては心安らぐものとなる。

 上達を極める10のステップの章には、反復練習をする・感情移入をするといった当たり前のことが書いてあるが、その理由を読むと納得せざるを得ない。目から鱗がおちた気になった。効率の良い努力を続けることができるかどうかにかかっているらしい。我々は自分が上達しないとやっていることに疑いを持つ。しかし、ここに書かれている上達の法則理論を実践で展開していけばスランプすら楽しく過ごせることになるのではないか?

 さて、前述の彼はトップ高に合格した。たまたま私の指示が彼の認知構造を変容させるのに効率の良いものだったのだろう。それを信じて彼が続けたことが勝因だ。しかし、必ずしもうまくいくとは限らない。上達の法則をもっと深く学びたいと思った。

 本書では上達の具現化ストーリーといったものはなかった。断片的な事例しか載っていない。茶道の初心者がどういう過程で上級者まで登り詰めたのかという実例をあげてもらえたらいいのにと思う。岡本氏にそれを書いてもらいたい。

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紙の本O・ヘンリ短編集 改版 1

2004/05/16 13:29

片思いの失恋

5人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 あんまり盛り上がらないし面白くない短編がいっぱい詰まっている。O・ヘンリは自分のために作品を書いた感じがする。読み手を意識して書いたんじゃあないな。自分で書いてほくそえむんじゃあ、マスターべーションと同じだ。

 NHKでO・ヘンリの短編を紹介していた。それぞれの短編に挿絵をつけて物語を語るという手法だったと思う。いくつか聞いた中で感動したのは「善女のパン」だ。あまりに悲しすぎる結末。人の命に関わるような大それたことではない分、情景が目に浮かぶし感情移入しやすい。

 雑誌のこの連載が読みたいから毎週買う。短編集のこの一篇だけは読みたいから文庫本を買った。というのはありがちではないか。私は、まさに短編集1は「善女のパン」のためだけに買った。

 ミス・マーサに訪れた幸せのきっかけが、これからどう展開していくのだろうかと暖かい気持ちで読み進めていくと、読者はとんでもない羽目に会う。そして、我々は「どうするんだマーサ」と悲しい声をあげてしまうだろう。マーサは今どうしているだろうか? 幸せになっただろうか?などと考えてしまう私は馬鹿だろうか? これほど架空の人物の行く末を心配したことはない。

 こんな話は、そこいら中に転がっているのかもしれない。片思いの失恋。世に出ることはあまりない。そういう話を集めたものをどこかで出版しないかな。

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生きながら火に焼かれて

2004/05/06 01:28

家族のメンツが娘を殺す因習

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。


 世界に対する告発の書であるならば、物語風に記述するだけにとどまらず、地図やその地方の写真・風景を入れるべきである。そうしなければ絵空事と思ってしまうくらい衝撃が強い。

 ここまで本を読んで落ち込んだことはなかった。日本という国に自分が生まれたこと。そして自分を生んでくれた両親に心から感謝したいと思った。それほどショックである。

 世界の殺人は様々な理由から起こる。貧困からくる強盗殺人や民族間の対立。気に入らないからと言って傷害致死に至らしめることや虐待など。しかし「名誉の殺人」なるものの存在は初めて知った。題名にもあるように「生きながら火に焼かれて」とはいったいどういう理由によるものなのか?

 このアラブの国シスヨルダンの村では、女性は奴隷である。学校にも行かせてもらえない。朝から晩まで働くだけである。外出することもできない。もし、姦淫をしたならば、殺されても構わないと言う因習がある。しかも、裁判はなく身内によって密かに殺害されるのだ。殺害するのは親や兄弟や親戚である。自分の娘を手にかけるとき情けというものが存在するのが我々の社会では当然である。そんなものはこの村にはない。ただ、家族の名誉を汚した娘を憎む心だけが存在する。法律上、この「名誉の殺人」が認められているため罰されることはない。さらに、息子ではなく娘が生まれすぎると間引くのである。

 話は姦淫が原因で焼かれた本人スアドの告白で進み、途中で彼女を救い出したジャックリーヌの告白を挿入させる。救助者と被救助者の両面からの展開は話の信憑性を増す。ジャックリーヌがどうやって彼女を救出したかが非常にわかりやすく描写されている。

 後半は西欧に渡ったスアドの第二の人生が語られるが、そこで幸せなことにスアドは結婚し子どもももうける。その子どもたちに自分の生い立ちを語るシーンは泣ける。上の子がそれを聞いて「今から、お母さんを焼いたやつらを殺しにいく」と激昂するのも当然である。

 この「名誉の殺人」はシスヨルダンの村だけではないらしい。ヨルダン・イラン・トルコ・イラク・イエメン・インド・パキスタン・イスラエル・ヨーロッパにも存在するそうだ。年に6000人の娘たちがこれで死んでいる。読み進むにつれ、アラブの内部因習の理解なくしてイラクでの戦争を軽々しく論ずることは我々には出来ないのではないだろうか?と思った。あまりにもアラブというものに対して無知であることを感じる。

 こうした因習が過去の日本にもあったのではないかと思うとぞっとする。彼らがどうしてこうした因習を作り、それに囚われなければいけなかったかを文化・風土に原因を求めて言及してもらいたい。

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紙の本恋愛中毒

2004/07/12 10:16

加害意識とプライドの欠如

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 ラストの主人公たちの動きがよくわからない。彼女は中毒から脱出したのか? それともまだ中毒なのか? 創路は何を考えているのか? 謎である。

 だいたいストーカーする女性はわかる。見つめる目が違う。別に狂気が宿っている目をしているわけではない。こちらの動向を伺う澄んだ目をもっている。この目は危険である。創路は見抜いたが自分は対応できると思ったから近づいたんだろう。しかし、自分の娘に危害が及ぶことは想定していなかったに違いない。肉親をやられるのはかなり痛い。

 水無月の最初の男、萩原は済んでのところでストーカー水無月から逃げることができた。それは水無月の夫である藤谷に水無月の心が移ったからだ。ところが、この藤谷は水無月のねっとりとからまるような生活にどうやら息抜きをしたくなり浮気に走る。が、ここでとんでもない暴挙に水無月はでる。これも予想できないストーカー行為。彼女は当人に対して尋常じゃないことをするのではなく、当人の周囲を徹底的に静かに糾弾する。それだけにたちが悪い。正攻法のストーカー行為ができない。なぜだろうか?

 誰もが好きな人に受け入れられなくなっていると感じれば、心になぜ?と浮かべ、少しずつ周辺を探りたい衝動に駆られる。しかし、それを実行しないのはプライドと加害意識があるからではないかと思う。ストーカー行為をしている自分を想像すると耐えられないというプライド。そして、受け入れられなくなっていったのは自分にも責任があるのではないか。ストーカーはそんなことは全く考えない。強大な被害者意識だけが存在する。

 澄んだ目とは、出てきた相手の言葉や態度を自分専用のフィルターにかけ、これは嘘、これは本当とはっきり区別してしまう。混濁させて清濁併せ呑むことができない。こういう手合いとは、つかず離れずで付き合うに限るのである。水無月に子どもができたらどうなんだろう? それちょっと書いてもらいたいです。

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誰にもわからない彼の世界

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。


 仕方ないが、インタビューが書簡で行われたために編集部の質問に対する宮崎氏の回答が深くない。宮崎氏の回答に対する連続質問が出来ないからねえ。あと、第4章の解説で4人の評論家がでてくるけど、予防という観点から宮崎氏のような人物の出現を未来において抑えるという話がない。

 数々の質問から宮崎氏の考えが断片的ではあるが、明らかになっている。特に注目したいのは、彼には反省といった考えは全くないということ。それがわかる。「自分の親は本当の親だと思っていない」「女性に恋愛感情を抱いたことがない」「得体の知れない人知を超えたネズミ男が襲ってくる。襲われるので、その外部の声に従う」「裁判の結果には全く関心がない」「おじいさんがほんとに死んだのか今だわからない」「骨を全部食べておかないとおじいさんが甦ったときおじいさんが二人いたら困るから」など。

 引用された公判における供述の中で、彼の異常な行動の理由が明らかになっている。殺害の方法は覚えていないというか自分がやったという意識がない。もう一人の自分がネズミ男からの指令によってやらされたという。子どもの遺骨を焼いて届けた理由はおじいさんの葬式を見たかったというのとおじいさんを甦らせるためという。他にも数々の供述がある。

 彼の言葉を聞くと、怖いからやった。やりたいからやった。で終わっている。その後そのことについては喜怒哀楽の感情は見てとれない。第4章の解説で大塚英志氏が言うように「宮崎勤は誰にもわからない」のがここまでで導かれる結論だと思った。彼は他者に対して自分をきちんと説明するということが出来ない。見たことや聞いたことをそのまま説明するだけである。どうして自分はそうなのかという深い思考を持つことはない。こんな人に何を聞いても無駄だということがわかってしまった。彼はこれからも死ぬまで刑務所の中で静かに自分の世界の中だけで暮らしていくのだろう。殺害原因は特定出来ずに風化し、永遠に闇に葬られていくだろう。

 宮崎氏だけではなく、もっと多くの重大殺人者とのインタビューを出版してもらいたい。そこから何かがわかるかもしれない。

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不成功者の告白もほしいところ

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 起業したことのある人にとってだけ、身につまされ共感できる内容。だから、これから起業しようと思ってこの本を手にした起業したことのない人には心に響くものがないでしょう。だいたい、どれでもそうだが警鐘を鳴らす本はほとんどの人にとって役に立たない。失敗して初めて「あーあ、ああしときゃよかったのか」って後悔するんです。だから人生か。
 しかし、物語で話を進める手法は今までになく斬新ですらすらと読める。神田氏の経験がその心情的要素を伴いつつ訴えかける姿勢は飽きさせない。家族と仕事の両立に視点を置いたところも出色である。
 神田氏に期待したい。「不成功者の告白」っていうのも出してほしい。世の中には狂うほどの数の不成功者がいるはず。それは活字で表に出てこないことが多い。でも、もっと共感できる人が多くなる気がすると思うのはあたしだけだろうか?

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紙の本血と骨 下

2004/07/11 07:10

暴力による恐怖は悲惨な末路を生み出す

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。


 どこをどうとっても最高の小説である。しいて言えば、金俊平の唯一の親友、高信義がいつまでも貧乏であったというところが納得いかない。彼の社会性・思慮深さは作中でも英姫に匹敵するくらいであったはず。ただ、朝鮮人の開放という政治的な匂いが個人の豊かさよりも彼の中で優先されてしまったというところだろうか?

 ものすごい量のページ数だが一気に読ませる。金俊平の考える生きる意味はおのれの欲望に忠実になること。ただ一点だ。そのためには徹底的な暴力に訴えること。自分の感情を害する者に対しては親も子もない冷酷さ。ここまで自己完結した主人公だからこそ周りの人間が浮き上がってくる。

 唯一親友と呼べる高信義。金俊平は彼の言うことには耳を傾けるそぶりを見せる。さすがの金もブレーン的存在が必要だったのであろう。彼がいなければさすがの金俊平もすぐに死んでいただろう。

 本妻である英姫もすごい。ほとんど陵辱の末、いつのまにか金俊平の妻にさせられ、理不尽を通り越した暴力と搾取を金俊平から受けながらも人生を捨てない。子どもたちのために生活していくには現在の運命を甘んじて受け入れるというすさまじい人情がある。

 本書には繊細さのかけらもない。しいて挙げれば、娘の花子が現在の日本人を表しているかもしれない。それにしても金俊平は幸せ者である。孤独だとは言いながらも、その暴力を駆使して自分の欲望をほとんど達成させている。この欲望達成の背景にあったのは周囲に対する彼の暴力的な恐怖だけだったのであろうか?

 おそらく高も英姫も金俊平の暴力に嫌悪は抱いていたが、彼が悪事を自ら働かないという点に一縷の望みを抱いていたような気がする。金俊平は人に陥れられているといつも不安を感じているが、人を陥れようとは思わない。その一本気な性格と行動。何を考えているのかわからないと高も英姫も漏らしながら、その一線を彼は絶対に越えないと言う信頼があったのではないか。読んでいて金俊平に爽快感を私は感じたから。

 暴力で人を抑えた末路は金俊平にとって悲惨であった。妾や子どもにも見捨てられ最後は母国朝鮮で息を引き取る。彼のしてきたことに点としての意味はない。ただ、彼の血と骨だけは永遠に線となって継承されていく。これほどまでに人間を描いた作品は今後生まれないだろうと思った。

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紙の本エパミナンダス

2004/06/26 09:18

ストーリーテリング

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 書いてあることはたいしたことないし、大人にとっては馬鹿馬鹿しい話。

 読み聞かせというものは、よくお母さんが子どもに夜ドラマなんかでもやっている。実際の家庭でもあることだろう。たぶん、あたしも母親にしてもらってた気がする。しかし、初めてストーリーテリングを聞いてショックを受けた。こんなに面白いものなんだって。

 読み聞かせは本を読んで子どもにきかせる方法。ストーリーテリングは本を使わずにお話だけを聞かせる方法。まあ、夏の世の怪談話といったらいいだろうか? 昔の講談に似ています。

 この表題にあるエパミナンダスはストーリーテリングの最も有名なもの。あらすじは単純でエパミナンダスという少年がお母さんにいろいろ言いつけられて行動を起こすのだが、ことごとくボケる。このボケがわざとなのか天然なのかは難しいところだが、コミカルで残酷なところが子どもに受けるのだ。

 手振り身振りでお話を大げさに語るときの子どもの真剣な表情は、このストーリーテリングでしか見られない。絵のない話だから聞き手は自分の頭の中で物語をイメージするしかない。想像力の増強には非常に効果が高いのだろう。あたしも小さいときにこれをやってもらいたかったなあ。

 季節ごとのストーリーテリング集みたいのがあったらいいのにと思った。

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紙の本キヤノン特許部隊

2004/06/19 05:35

知的財産権は交渉力で勝ち取れ

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 知的財産権って言葉が出てきてからどれくらい経つのだろうか? あたしには無関係だなと思っていたけど、世界ではかなり大切なことらしい。しかし、第二章の「戦略的特許ビジネスとは」の中に書いてあることはよくわからなかった。丸島氏へのインタビューで話をまとめるって形ならもっと素人読者にわかりやすく出来ただろうに。

 最近、法務部っていうのがにょきにょきと各社に登場しているが、ここが会社の知的財産権をつかさどる。自社の発明を守る・独占するということで会社の利益を誘導するのだ。弁護士が出てくるドラマは殺人がからんでいたが、そのうち企業法務系の弁護士ドラマがはやるだろう。天海祐希が出演してるドラマ離婚弁護士なんかそうだろうね。これ面白いです。

 キャノンは外資系だと思ってたけど日本の会社だった。ここはメーカーなんだけど、鼻から日本国内需要は相手にしてないのです。昔から西欧と闘ってきたんだということが本書を読むとわかる。アメリカのプラザ合意以降のプロパテント政策に真っ向から挑んだ気概のある会社だ。だから不祥事もほとんどないし、優良企業なんだな。友達で入社したのがいるけど、彼は先見の明があったといまさらながら思う。

 特許というのは独占できるということだが、企業での使い方は独占ではないらしい。ややこしいが、クロスライセンスが主体だと言う。クロスライセンスとは、相手企業の技術と自社の技術を相互に使えるようにすることで、まあ、技術の等価交換みたいなものである。相手が研究した技術と自社の技術を組み合わせて新しい製品に生かす。このほうが開発コスト・時間が削減できる。そこで出てくるのが交渉力だそうだ。相手企業のおいしいとこを吸い上げて、こちらの利益をどう誘導していくかが肝心。丸島氏はアメリカでかなりきつい交渉をやってきているので、それが今生かされているということだ。裁判や訴訟を行う前に交渉で決着をつけてしまう力量が必要だと説いている。

 丸島氏が心配していることの一つに開発の空洞化がある。企業が生産部門を海外にもっていくようになり産業の空洞化が叫ばれた。今、開発部門も海外へと流れている。日本のマーケットは世界的に見ると小さい。当然、海外に市場を企業は求める。すると、生産や開発が海外マーケットにあわせた商品を売ると言う観点から移行されるのは自明だろう。このまま行けば日本国内には売るモノもなく買う人もいないという無価値時代が訪れるだろう。あー早く外国に逃亡しなくちゃ。

 会社の法務部の内情を暴くノンフィクションを読みたくなった。著者は丸島氏になっているが、取材・執筆・構成は福井信彦氏である。何者なのかわからないが、今度法務部の実態を書いてほしい。
 

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紙の本秘密の花園

2004/06/17 06:59

TEENS小説はリアリズムを志向できない

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 なんて言うのかなあ、いつも青春小説読んで思うんだけど、17歳以下ってほんとにこんなこと考えてんのかなあって。こんなに理知的であったはずがなかろうって。表現力も人間観察力も全くないんじゃなかったかって。作家は青春小説に関しては、もっとリアリズムを志向すべきだろうって。30代の思考で10代のころを描くのは邪道なんだなあ。だって、恋も死も「あの子とえっちしたい」「ぜったい死にたくない」という思考しかなかった気がするのはあたしが馬鹿だから。

 「洪水のあとに」の那由多の章で、ちょっと付き合った薫から連絡がなくなる。と言っても、那由多の方から着信拒否しているので仕方がない。で、那由多は「安心もしたし、その程度のものかと拍子抜けもした。…薫は私を好きだと言ったし、私も薫を嫌いではなかったが、でもそれだけでは一緒にいるには足りないものがあるのだろう。」と言う考え。そして、もっと食い下がるための何かが、私たちの間には生まれなかったんだなあ、と結論づける。これ身につまされます。

 「地下を照らす光」の淑子の章で、学校の先生と付き合っているが嫌われているんじゃないかと疑い始める。そこから周囲との人間関係に思考は波及し「私は一人だ。土曜日の午後、委員会のあいだじゅう、私はそんなことを思っていた。誰も私を一番にはしない。先生も、なゆちゃんも中谷さんも。」と考える。これも身につまされます。

 「廃園の花守りは唄う」の翠の章で、レズ思考?にどっぷりと浸りながらいわゆるマーフィーの法則を夢想する。「周囲につられるものなのか、人の動きにはなぜか波がある。だれ一人としてレジに本を持ってこないかと思うと、急に多くの人がレジに殺到してくるときもある。潮の満ち引きみたいで不思議だ。でも理解できない。」買うものが決まっていれば空いているときにさっさと会計を済ませればいいのに。レジが混んでいたら少し時間を潰せばいいのに。と批判の目を向ける。

 この中で最もいじめたくて可愛がりたいのはやっぱ翠かなあ。理性だけで物事を判断するタイプだけど、はまったらどこまでも行くって感じだからねえ。かなり美形らしいし。

 この3人が22歳になったときの状態と思考を書いてほしい。知識が増えることで、何が変わって何が変わらないかを描いてほしいです。

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武骨の人料治直矢

2004/06/14 08:59

稀代の現場レポートはここにある

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 彼の心の闇に迫るのかと思ったが、料治直矢自身は語らない人だったので、そこは明らかにされていない。著者の深い洞察はなかったねえ。

 父親が最も信頼していたニュースが「報道特集」だった。キャスターが料治というとんでもない名前に合わせて訥々と喋る鬼軍曹みたいな顔が強烈だったのを覚えている。内容も他のニュースとは一線をがしていた。最近のニュースは恰好は良いが、鋭い洞察は全くない。一記者として重い事件に当たるというのは一切ないじゃないか。ガキなのに私は彼のレポートになんか鋭さを感じていた。それ以降、深夜のTBSドキュメントなんかに私は傾倒していったし。

 料治氏はもともとスポーツアナ希望であったが、喋りがもたもたしていて使い物にならないという烙印を押される。それでも頑張って夢を実現!などしない。だって、マスコミはそんなに甘くない。で、東大でてラグビー部でなかなか花形の道を歩んでいた彼はここで挫折を味わう。ところが、彼の哲学や知性というものは本物だから違う分野で花開く。司法記者や警視庁の記者クラブではかなりの大物ぶりを発揮していたらしい。

 彼の哲学を如実に表している部分がある。大学生のとき、英語の試験にでなかったらしい。その理由が「すでに試験勉強は終わり、あとは答案を書くだけだ。それなら、答案を書くのは、単に本郷への進学の手続きに過ぎない。無駄を省く手はないかと教務課を覗いて見たら、単位取得の条件は試験の回数ではなく、合計得点だという。自分の点数を調べてもらったら、これまで3回の試験でOKであるとわかった。それで試験を受けるのを止めにしたのだ。」常に自分の行動に意味をもたせることに彼は邁進していた。これが報道特集にも色濃くでていたのだ。

 料治氏の生い立ちにも言及している。その中で、彼に影響を与えた近くに住んでいた人間にスポットを当てている。血筋は確かに良かった。父親は美術史家だし、母親は女流作家で茶道・華道の先生。その中で、会津八一という豪快な美術家との幼少時代の交流が料治の武骨な性格を形作ったと著者は見ている。

 本書は料治氏から離れて、報道の一線で活躍した周辺の人にも触れ、内容に厚みを加えている。第二章「報道特集の熱」や第六章「反骨の記者たち」がそれだ。

 料治氏は大酒のみで身体を悪くし61歳でこの世を去る。それほど異常な飲み方をしていた。テレビからは全く見えない酒を飲まずにはいられなかった料治氏の生き方を友人はコメントしている。

 料治氏を描きながらも、その動きから報道の歴史にも触れた本書では、現在の報道のあり方を述べることはなかった。著者にはそこにも触れて欲しい。一人の報道に携わる者を描くとこで見えたことがあるはずだから。

 

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「仮説検証型思考」の欺瞞

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 なんかこう言いたいことって最終段落にあるじゃない? 新書系の本は論理的にそう構成されてるのが普通。起承転結でね。ところがこの本は尻すぼみだった。伏線が張られてゴールに向かって集約していくっていうのが全然ない。盛り上げといてフェードアウトだよ。

 5/22〜25までの間に1000件以上。そのうちの3分の2は「総理に感謝すべきだ」「5人の帰国について喜びの言葉がない」などの批判であったという。これは北朝鮮拉致被害者支援組織「救う会」などに電話やメールで寄せられた意見だそうだ。そうした批判に対する支援組織の見解は「総理に敬意を表し、帰国に喜びを表したが、ほとんど報道されなかった」というものだった。あたしも総理の北朝鮮訪問後の報道で、支援組織の方々が「最悪の結果だ」「問題の先送りだ」「子どもの使いだ」と言っているシーンを見た。そのとき私も、ちゃんと総理のことを評価した上でそういうこと言わないとぉと確かに思った。

 本書の中ではそうしたマスコミの報道姿勢を「仮説検証型思考」の欺瞞と呼んでいる。あらかじめ何らかの仮説を立てておいて、その結論に符合する事例や数字ばかりを集めて、これだけ証拠があるではないかと突きつけるやり方だそうだ。今回の報道はまさにそれだった。総理批判という仮説から、その部分だけを誇張して報道するというマスコミの姿勢が招いた。それにしてもマスコミの情報ってほんと信じちゃいけないんだね。2段落に書いた1000件以上とか3分の2という情報すら疑わなくちゃならなくなる(笑) 筆者は仮説検証型思考の欺瞞に陥らないためには現場現物主義でいかないとダメだというようなことを最終的には言っている。でも、全員が全部の事象に関して現場に行って現物を見るなんて出来ないから、やっぱマスコミに頼らざるを得ないよなー。信じるしかないよなーと思ってしまった。

 曽我ひとみさんの夫であるジェンキンスさんの件も詳しい報道はなく、彼が日本に家族と今回これなかったのは総理の交渉の下手さ加減を原因とするように思われがち。彼は在韓米軍時に北朝鮮に渡り、曽我さんと結婚し子どもをもうけた。アメリカ当局としては軍法会議の訴追対象だ。日本で言えば連合赤軍と同じ。怖くて日本にこれるわけがない。アメリカにとっ捕まってしまうかもしれないからね。そうした背景説明がマスコミによってほとんど語られていないし。

 本書は素晴らしく刺激的な内容だ。「品質を上げれば原価が下がるからくり」「サイバネティクス理論」「対米黒字の最大の原因は消費財ではなく資本財だった」などがふんだんな証拠とともに語られる。

 特に彼自身が日本経済復興のために様々な活動をして実績を挙げていることが説得力を大幅に増加させている。現在は本当の不況でないことを個人消費の移り変わりで彼が述べている部分がある。しかし、個人・法人の借金について全く触れていないので、この点では仮説検証型思考に陥っているよ唐津さんと言いたいが。

 題名は解き方とあるが、要求している水準はグローバルすぎて高い。今度は要求水準を下げて理論を具体化した形で説法してもらいたい。

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