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BEさんのレビュー一覧

投稿者:BE

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紙の本東京湾景

2004/05/07 01:06

「日常」と「非日常」

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 お台場と品川埠頭。華やかに洗練された風景と雑然とした倉庫街。東京湾を挟み向かい合う2つの街。そこに暮らす人々の生活は通常、交わることがない。しかし、人間が自分の知らない世界に強烈に惹かれていくのもまた自然なことなのかもしれない。
 携帯電話という現代のツールによりひとつにつながった東京湾岸で、お台場で働くOLと品川埠頭に暮らす青年が恋に落ちた。
 全編を通して描かれるのは「日常」と「非日常」の存在だ。この二つが、ある時は東京湾岸に広がる風景として、ある時は登場人物のそれぞれの恋愛の形として描写されていく。付き合いの長い彼女との毎日、高校の先生と同棲をしていた過去、友達から紹介された女の子、上司との不倫、お見合いと結婚、出会い系サイト…。人にはいくつの側面があり、そのうちどの部分をどれだけ他人にみせているのか。男にとっての日常が女にとっては非日常であったのかもしれない。
 それぞれの場所で暮らしている限り、出会うはずのない亮介と美緒の間には東京湾という大きな隔たりが横たわる。それは物理的な距離以上に、二人の間にある「違い」として大きくのしかかる。二人をつなぐ唯一のツールは携帯電話のメールだった。それゆえにこの恋は一枚フィルターを通した状態のまま相手を探そうとして、本当の自分をなかなか見せられない苦しいものになってしまう。それでも美緒と亮介が強く惹かれあってしまったのはお互いが「心と心がつながった相手」だと気づいたからである。
 ありのままの自分で「これから」を始めたいと願い、品川埠頭から電話をかけ「美緒のいるお台場まで東京湾を泳いでいく」という亮介。その電話が切れたあと、目を閉じて亮介に思いをはせるラストシーンの美緒。お互いに素の自分でいられる「日常」が交差した瞬間である。読後にあたたかさの広がる長編恋愛小説だ。

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