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和泉智さんのレビュー一覧

投稿者:和泉智

紙の本すりすりももんちゃん

2005/04/25 11:12

あかんぼうは、偉大だ。

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

桃の実みたいな頭でおむついっちょのももんちゃんがお砂遊び。
いろんなオトモダチがやってきてももんちゃんにすりすり、「いーいにおい」と幸せになっていきます。
でもももんちゃんは何もしません。何も与えていません。
ただ黙々と自分に没頭しているだけ。
その柔らかい素肌に触れることを許しているだけ。
ほっぺに小さな赤みをつけた、とげとげサボテンさんにも、怒りも非難もありません。
ただ、痛かったから安全な場所へ走っていってすりすり、これにて一件落着。
なんとゆー傲慢でしょう。
なんとゆー偉大さでしょう。
これはもう神の領域です。
そんなももんちゃんの無関心、赤ちゃんの閉鎖的でだからこそ豊かな宇宙をリアルに感じさせる、その描写にとよた氏の観察眼の鋭さが光ります。
絵と文が可愛いのはあかちゃん絵本としては当たり前、けれどそれ以上の、あかちゃん如何に生くべきかと問い掛けるかのような、あかちゃん哲学とでも言うべき何かがこの絵本には秘められているように感じます。
なお、このシリーズはつくりも秀逸です。
10ヶ月の娘が噛んでも叩いても引っ張っても振り回しても、壊れません。
4ヶ月間、破れもせず耐えています。
(カバーはセロテープで止めたほうがいいですが)

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紙の本ふにゅう

2004/12/15 11:45

父親を、育児に参加させてはならない。なぜなら、母親以上に「ハマる」から。

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

久々に、小説らしい小説を読んだ。
私小説風の、とぼけた味わいの文章、淡々とつづられる日常生活、の中に、作者ならではの巧みな仕掛けが隠されていて、すとんとオチが決まる。その見事さが気持ちいい。

さて、ふにゅう、である。
恋愛が終わり、子作りが終わり、十月十日(ほんとは280日)を経て、二人が三人になる。男はここで、父親という生き物になることを要求される。
母親の場合、これは簡単だ。胎内に異物を飼う280日間、出産という劇的な通過儀礼、生まれた子供が乳首を吸うことなどによって起こるホルモンの変化。否も応もなく、女性の身体は妊娠と出産によって母に移行させられる。精神もそれに強力な影響を受ける。
ところが男性はそうはいかない。彼に課せられた肉体的役割は、最初のスイッチをひねることだけで、あとは何もないのだ。そののち、彼に起こる変化はすべて社会的、精神的なもので、それを後押しする肉体的な変化はひとつもない(男性にもつわりはあるが、それは多分に精神的なものである)。
いくら子供をかわいいと思っても、それを後押ししてくれる肉体的保障がないのである。

これはある程度精神力でカバーできるとはいえ、精神力のみで育児をやりとおすのは実はものすごくむずかしい。
この短編集に登場する父親たちは、涙ぐましいほどの精神力を駆使して、ありえないような、けれどごくごく小さな奇跡を手に入れる。つまり、我が子との絆を、である。
しかしそれは、別の問題を生み出す。経済的・社会的にはそれは損失である。男性が家庭におさまって子育てをはじめたら、誰が稼ぐのか。誰が耕すのか。誰が闘うのか。
この本の主人公たちを見ていると、(妻たちが心配するように)確かにそんな不安も心をよぎるのだ。

つまり、男は家事育児に参加すべきではないという昔の常識は、男は育児に「ハマる」ということを見越した、先人の知恵であったのかもしれない。

確かにね、男が育児してる国じゃ、戦争なんてできないもんね。

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紙の本ストレイ・リング

2004/09/16 17:00

男はいつまでも、どこか少年……だから、これぞボーイズ・ラブ。

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

このジャンルには珍しいことだが、この人の書く小説ではいつも、女性と中高年男性が実に魅力的だ。
今回も、互いのキャリアを尊重した結果、ばらばらになってしまった熟年夫婦とその娘が登場するのだが、この娘がじつにいい味を出している。彼女に振り回される主人公や、娘と大真面目に張り合う父親の姿が少年めいて可愛らしく、また奇妙にリアルで、それでいてBL特有のファンタジーをきちんと引き立てている。力のある作家でないとこうは書けない。
型にはまった作品が多いのは特定ファン向けエンターテインメントの宿命だが、こういう人にはその中でも、どんどん新しいパターンを打ち立てていってほしいものだと思う。

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紙の本少年少女飛行倶楽部

2009/07/19 10:54

良質の少女小説、ぜひ文庫化を

3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

冒頭ちょっと引いたのは文化系部活がブラバンと美術部と放送部だけってとこ。演劇部は?文芸部は?部活必須の中学で、理科部とか家庭科部とか英研とか、無難な科目系クラブすらないのはお粗末では。

些末なツッコミはさておき、平凡な公立中学を舞台にした部活ものです。文芸書の体裁はとってるけれど、テイストはYA、というよりライトノベルやコミックに近いものでした。
上級生が作ったクラブ未満の組織に、新入生が形を与えていくという構成は「アイシールド21」を思わせますし、部長と主人公の関係性は「凉宮ハルヒの憂鬱」のハルヒとキョンを男女逆にした感じともとれます。ちなみに部長の風貌は鳥坂先輩そっくりに思えて仕方ありません。
ほかにも、意地悪な女の子を主人公が心で“イライザ”と呼ぶなど(元ネタ提供はお母さんという設定ですが)コミック由来の小ネタが多数あって、その筋の人を喜ばせる作りになっています。

“飛行”シーンはこぎれいにまとめた感じ。大きなクライマックスという感じはしませんでした。ジブリあたりがアニメ化すれば、もしかしたらおっちゃんの大活躍が見られるものすごいシーンに作り上げてくれるかも知れませんが、この文章表現ではそこまでのインパクトはありませんでした。

半日ぐらいですっと読める読みやすさも、ラノベテイストです。
中学一年の女の子の一人語りという形式なので、語られるのが飛行への夢とかそこへ至るさまざまな手順とかより、人間関係、それも自分と他者の関係に絞られるのは必然。作品のテーマである“飛行”への思いが今ひとつ間接的なのも、仕方のないことなのかも知れません。

少女小説としては良質な部類に入ると思うので、ぜひ中学生にも入手しやすいよう文庫化、そしてシリーズ化をお願いします。最初からコバルト文庫に入ってたら私は出会えなかったと思うけど。

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スマホを入れずに使うスマホポシェット

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

付録のスマホポシェット目的で購入。
裏面のクリアポケットが摩擦ですぐすすけてしまったのでちょっとがっかり。値段なりだとは思うけれど。ほかは大変使い勝手がいい。
普段のちょっとした外出のほか、旅行中貴重品をまとめて身に着けておくのにも便利。クリアポケットに鉄道カードを入れておけば、改札でわざわざカード入れを引っ張り出さなくてよくなった。色も上品で気に入っている。
あとは……某イベントで年齢確認を求められたとき用に便利かもね、とw

くるりんぱは子どもが小さいときにはやってあげてたけれど、大人も使えるワザとは思わなかった。早速応用させていただきました。

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『母性愛』の落とし穴

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

こどもは母親が母性愛で育てるものだと、誰が決めたのだろう?
こどもが「コップ」と言うとき、果たしてそれはどの程度「コップ」なのだろうか?
ハイハイも伝い歩きも存在しない子育てが、世界には存在する?
早期教育ってなんだろう?
祖父母ってどうして孫を甘やかすんだろう?

常識と思っていたこと、疑いもしなかったこと、あるいは認識すらしていなかったことが次々に提示され、楽しくまた空恐ろしい思いで読みすすむうち、ふと思うのである。
『子育ては「かわいらしさ」の検出に基づいている』
何気ないこのひとことに、「悩まない」子育ての極意が隠されているのではないかと。

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現実の、醜悪かつ秀逸なるパロディ

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

食わず嫌いをしていた。

もっと、菊池秀行的な暴力と耽美性を期待していたのだが(菊池の世界も嫌いではないけれど)、縁あって今回読んでみた感想は、それほど残酷なものでもない。
むしろ、かつての眉村卓のジュヴナイルのように、清々しくまっとうな小説なのだ。

異常なのは、シチュエイション。あるいは、随所に散りばめられた悪意ある風刺。
そうこれは、現実の、醜悪かつ秀逸なるパロディだ。
けれど、ときに生ぬるく、ときに陳腐にすら映るそれらはむしろ、子供たちのまっとうさを(完璧な悪役である彼や、見事な悪女っぷりを見せた彼女ですら、まっとうな子供である)引き立てるための小道具にすぎない。
だからこそ、生ぬるかったり、陳腐であったりするのだろう。

どうか、暴力シーンにまどわされず(いくつかのミステリーやホラーを読んできたまっとうな大人なら、まどわされるほど強烈な暴力じゃあない。作者の力不足なのか、計算の上での手加減なのかはわからないが)その向こうにある、閉塞された空間に閉じ込められた子供たちの叫びを読み取ってみてほしい。
子供たちは、いま、そこいらにいる当たり前の子供らと、どこか、似ている。殺し合いはしないけれど、やっぱり首輪をつけられて、脅されて追い詰められて、やりたくもない何かを一生懸命やっているフリを(実際「やる気」になってる子もいるけれど)している彼らと。
たぶん、そこが、いまの子供たちにこの本が支持された理由だ。

映画はたぶん、見ないと思う。
私の中では、典子役は往年の原田知世でかたまってしまったので(笑)

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紙の本ベロニカは死ぬことにした

2004/08/23 11:46

普通であることの憂鬱

1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

平和な生活。安穏とした日々。主人公であるベロニカは若く、チャーミングで、大過なく日常を過ごしていたが、その「何も変わらない」未来に飽き飽きして、睡眠薬を飲む。ところが、運命のいたずらか、彼女は一週間という期限つきで助かってしまう。しかも、担ぎ込まれたのはヴィレットという精神病院。心を病んだ人や、様々な事情で心を病んだふりをしている人に囲まれて、薬で致命傷を負った心臓が停止するまでの数日間を、彼女は過ごす羽目になる。
死に近付く肉体、生活を放棄した患者たち。だが皮肉なことに、そこでベロニカの魂は生きることをはじめてしまった。

狂うとはどういうことなのだろう。
普通とはなんなのか。
普通であることの憂鬱とは。
自分らしさを、人はいつ、どこへ置いてきてしまうのか。
ベロニカが見つけた答え、そして患者たちが選んだ人生とは。

本書の中で、ベロニカの母親が登場するシーンが一箇所だけ、ある。
彼女は娘に面会しようとして、果たせずに退場し、以後出てこないのだが、私はこのシーンでベロニカにはげしく共感してしまった。
どう共感したかは、まあ、プライベートなことなので割愛するけれど、簡単に言えば、私は赤ちゃんじゃない、ということなのだな。

そんで思ったのだ。
この、精神病理の見本市みたいな本書、現代日本に生きる人間の殆どが、どこかに共感できる部分を一箇所は秘めているのではないかと。

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紙の本タンタンタンゴはパパふたり

2008/07/04 07:06

発想も絵も素敵、でも……

6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

動物園に暮らすロイとシロはどちらも男の子ペンギンですが、とても仲良しです。恋の季節になるとふたりで石を積んで巣を作ります。どこかから拾ってきたタマゴに似た形の石を大事にあたためています。

そんな様子を見た飼育員さんが、「この子達になら任せてもだいじょうぶだろう」と、事情があってパパとママから見放されたタマゴを彼らに託します。
さあて、どうなるでしょう……


ニューヨークの動物園で実際にあったことを絵本化。
同性愛を取り扱った、国内では初の絵本として話題になったようですが、ジェンダーフリーに自然になじませるための教材として子供にぽいと与えるのはどうかと思います。
理由として、1.訳文が硬く、絵本としての面白みに欠ける。2.ペンギンと人間は違うんじゃないか。が上げられます。
1について。絵柄が可愛く、ペンギンだったので、自分用に入手したにもかかわらず娘たちにすぐ見つかって読むようせがまれたのですが、4歳と2歳に読むには文があまりにも翻訳文的で、彼女らの脳みそではガマンできないものだったようです。
咄嗟に自分の言葉で絵を見ながらお話をしましたが、クライマックスをどこへもっていって読み聞かせるかで悩みました。タンゴ誕生のシーンなのでしょうが、その後をさらりと流しすぎ。あっという間に大きくなってしまったタンゴが、一ページ前の赤ちゃんなのだと子供たちには認識できなかったようです。

この文章で理解できるのは、早い子でも小学校の中ぐらいからだろうと思うのですが、絵が可愛いのでもったいない。それにこういう大判絵本を小学校中学年の子が読んでいると、「幼稚な」と眉をしかめる大人もいるでしょう。ほんとはゼンゼンオッケーなんですが、そうすると手に取ってくれる子供は誰になるだろう、と思うのです。その辺をもうちょっと出版側でも考えて欲しかったな。
小さい子供にはテキストをわかりやすく噛み砕いてお話してやること、大きい子が自分で手に取れるよう配慮してやること、を大人の側で考えて与える必要があるでしょう。少し大きい子になると、この絵本が実はインモラルの匂いがするということに気付くでしょうしね。

インモラルという言い方をしましたが、アメリカでは「学校や図書館から撤去して欲しい本ナンバーワン」になったこともある本だそうです。開放的である一方、ゲイフォビア(同性愛嫌悪)の風潮も強いお国柄ですからね。

と、このあたりが2に繋がるのですが、野生動物の同性愛的行動は結構あるらしいとのこと。それに人間的解釈を加えるのはなんとなく不純な感じもします。
実際、この絵本の中でも、ロイとシロの行動は奇異なものとしては扱われず、たまたまつがいに選んだ相手が同性だっただけで、あとは本能どおりのペンギンの行動です。結論も、ただタマゴを産めないペンギンのカップルに子供が生まれたよ、よかったねというに留めています。
ペンギンは子育てにおいて、雌雄平等です。だからこういうお話もあったんだと思います。でもだからといって人間の世界にそのままそれは持ち込めません。

絵は、とても可愛いです。ほのぼのしたい方にぜひお勧め。

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マニュアルは目の前に

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

とにかく赤ちゃんはワケのわからない存在だ。
笑顔から泣き顔へ、そしてその逆の転換が、まさに一瞬。新生児にいたっては顔や手足の表情すら、あてにならない。
なにを要求しているのか、何に絶望してそんなにも泣いているのか、見ているだけでは親には通じない。優しい言葉をかけたり、笑顔であやしても赤ん坊にはなかなか届かない。

ところがである。
抱いてゆする、優しく触れる、ふだん触らないところを撫でる、だけで、ミルクをやろうがオムツを替えようが泣き叫んでいた子がけろりと泣きやんでしまうこともある(いっそう泣き叫ぶときもあるけれど)。
視覚(表情)と聴覚(言語)は人間が持つコミュニケーションツールの中で最も高度で便利なものではあるが、乳児にはあまり重要視されていない。
ダイレクトに伝わる感覚は、触覚と嗅覚だ。赤ちゃんはミルクのにおいに敏感に反応し、心地よく触れられると満足してくれる。

本書は、「とにかくまず赤ちゃんに触れる」ことを提唱し、そのためのテクニックとしてアロマテラピー用のオイルを使ったマッサージを紹介している。また、アーユルヴェーダや中国式マッサージ、月齢に合わせた手遊びにも言及し、親子が「触れ合う」ことの楽しさを説いている。

ベビーマッサージは近頃流行りの親と子の健康法であり、コミュニケーションツールとしても注目を集めているが、最大の効能は「母親を育てること」と助産師でもある著者はいう。我が子に触れることで、親は子供の成長を感じ取り、親である自分を自覚するのだと。

本書には一通りのオイルマッサージ方法も掲載されているので(というかそれがメインだ)、これをマニュアルに日々のマッサージメニューとすることもできるが、それはあまり本書の趣旨にあっていないような気がする。
むしろ、マニュアルは目の前の赤ん坊だ。何をすべきか、どんな風に触れるべきかは、かれの眼、息遣い、触れた肌の弾力が教えてくれるのではないだろうか。

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法律の入門本としても。

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法律に興味がわいてくる時期というのは、誰にでもあるもので、私のような脳味噌からネジが二、三本常に飛び出しているようなお気楽な人間にも、それは来たのだから間違いないと思う。
しかし、三島由紀夫も「現代語訳」が求められるケースが存在する昨今、憲法ですらまともに読みこなせる人は少数派だったりするのではないだろうか。
まして、一般人に最も身近と思われる民法にいたっては、大学で日本古典を学んだハズのこの身にも「ありがたーいお経」状態である。
何冊か「入門」と呼ばれる本を読んでみたが、敷居が高すぎてまたげないか、優しく噛み砕きすぎて条文へ移行する術がないかのどちらかだったりする。

この点を奇しくもクリアしているのが本書である。
行政書士は、国家資格としては最も基本的な法律家である。
その受験範囲は広く、浅く、また細かい。つまり、この資格の勉強をすれば、日本の法律の一般人に必要となりそうなところがひととおりわかるという仕組みになっている。
さらに、著者は大手資格取得スクールの講師である。法律を学習するのが全く初めてという人間を、「プロの法律家を目指す人」にするプロである。要点の示し方、たとえ話の持ち出し方、堂に入っている。
スラスラと読み進むうち、ふつうの人がふつうに暮らすために必要な法律の基礎が、大掴みできてしまうのだ。


難と言えば難なのが、文章があまり美しくないこと。
喋り口調をそのまま文章に起こしたかたちは、確かにとっつきやすいが、ときおり話し言葉なりのあいまいな表現がそのままになっている部分があり、引っかかった。また、乱暴な言葉遣い(お金を金というなど)が目についたのも、付け加えておく。

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このビミョーさはクセになる。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

読み終えて、困った。
これまで数々の「ビミョー」な作品を世に送り出してきた日本ファンタジー大賞の大賞受賞作である。覚悟して読み始めたのだが、文章の巧みさと、同時進行する複数の物語のそれぞれの面白さに惹かれて一気に読み通し、そしてエンディングにいたって、困惑した。
なんなのだ、これは。
未完のようでもあり、完結のようでもあり。
謎が解かれたようでもあり、さらに大きな謎が投げ出されただけのようでもあり。
続きを待てばいいのか、このまま記憶の奥底にしまいこんでしまっていいのか、バカヤローとちゃぶ台をひっくり返すべきなのか、悩む。
やはり日本ファンタジー大賞だった。じつに、「ビミョー」な作品だ。

それでも不思議と、読後感は悪くない。
これはこれでいいか、という気にもなる。作者の技巧がたいしたものであるのは確かだし、その技巧にまんまと嵌められたという感もなきにしもあらず、だが、今度ばかりは騙されてやるのも悪くはない、という気分にさせてくれる。少なくとも、時間を無駄にしたという気はしなかった。

評価が低いのは、小説は感動がなければ価値はない、という私のポリシーからは外れる作品であるからだ。無論、それはそれで計算の上ではあるのだが。

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