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先月(2017年8月)

葉月さんのレビュー一覧

投稿者:葉月

1 件中 1 件~ 1 件を表示

紙の本スイートリトルライズ

2004/05/24 16:10

スイート

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

いつも思う。江國作品を伝えるのは難しいと。
私の知人は「結末が曖昧。何を伝えたいのかがわからない」と言う。
しかし、それが江國香織の良さであり、特長ではないのだろうか。読み手の創造能力をふるい起こしてくれる作家の一人である。
今回の長編小説は夫婦間や浮気相手との説明のつかない感情や行動が読み手の心情をもかき乱すものとなっている。

この小説を読み終わった時に考えたのがタイトルについてだった。「リトルライズ」は愛人との仲が深くなるにつれて(ダブル不倫しているのです)、夫婦間に小さな嘘が増えるということであろう。
では「スイート」は? 何を指して「スイート」なのだろう。
小説の中では主人公の瑠璃子と愛人春夫との間に発せられた言葉だが本当に「スイート」な関係なのは瑠璃子と夫、聡ではないだろうか。
一見冷めてしまった夫婦だが、聡は愛人の料理より妻の作ったもののほうが上、と「誇らしさに似た喜び」を感じてみたり、一方瑠璃子も心の和らぐ春夫と居ても聡の清潔さを実感したりする。抱き合ったり、甘い言葉を使ったりと読み手には浮気相手との仲が「スイート」に映るが、他人には理解できないであろう繋がりがこの夫婦にはある。「心のスイート」を描いた作品であるように感じた。

江國香織という作家は本当に人間の心の繊細で曖昧な部分を描くのがうまい。それも流れるように進んでいく。作者の意思を読者に押し付けることもせずに。(知人の言うメッセージ性がないという部分である)
またラストが江國香織らしい。「人は守りたいものに嘘をつくの。あるいは守ろうとするものに」と気付いた瑠璃子が春夫と別れ聡との生活に戻ろうとする。これでよかったのかと疑問を残しつつ…。そして、何通りにも予想できる結末への余韻を残しながら幕は閉じる。(知人の言う結末が曖昧という部分だ)
個人的にはトリカブト(最終章のタイトル)で仲良く心中だけはしないでほしいと願う。

それにしてもこの書評を書きながら、もしかしたら知人が一番よく江國香織を解っているのかもと思った。

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