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  3. soramoveさんのレビュー一覧

レビューアーランキング
先月(2017年4月)

soramoveさんのレビュー一覧

投稿者:soramove

114 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本数学的にありえない 上

2009/11/29 19:48

「書籍;数学的にありえない(上・下」読了・ラオス旅行中プールにて

9人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

アジアの片隅、プールサイドでちょっと泣けた、
何してるんだと思いつつ、本読みの喜びに浸る。

面白い小説と出会えた、アダム ファウアーはこれが
初めての作品、数学の定理とか、確率とか出てくるが
それは小説のスピードを緩めるどころか、
かえってちょっと「知った」気にさせてくれて
面白さが増すのがわかる。

小説を読むとき後ろの解説とかは
読まないこともある、しかしこの作者の本は初めてなので
読み終えてから、訳者あとがきと
児玉清さんの解説も読んで、
ちょっと泣けてきた。

それは本を読み終えた直後だからからだろう、
小説の中では五感をフルに使い、
特に目を閉じて未来への空間へ主人公が
繋がるシーンは、作者が視覚に障害を負っていて
好きな作家のトム・クランシーやジョン・グリシャムを
図書館のカセットテープで耳で聞いて育ったという部分と
繋がって、感動した。

そしてこれにはもうひとつ、
今朝、朝食時に読売新聞の電子版を読んで、
そこにコラムで、飛行機事故で亡くなった
向田邦子さんの遺品の中に
彼女が自分の本を音読したカセットテープが
見つかったと書いてあった。

彼女は自分の作品を読みながら言葉を吟味し、
ところどころ手直しの為か、
何かを書き付けている音も聞こえるという。

見ることはダイレクトに心に訴える、
でも聞くことも大切だ、
特に今みたいに海外を旅して
普段とは違う言葉を耳にし、
自分が普段は気にもしない音から、
旅の情報を得ていると感じるときがある。

同じ日に二人の作家の
「文章を読む」という行為、「文章を聞く」という行為から
本を読みながら頭の中で想像の旅をするとき、
作家が何度も言葉にして推敲した言葉が
心に響いてるんだなと
本日も暑さを逃れてやってきた
ネットカフェで考えたとか考えないとか。

http://yaplog.jp/sora2001/

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私の男

2007/12/13 00:40

娘と父親の愛の物語

8人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

北海道の小さな島、
津波で家族を失った少女は、
親戚の叔父に引き取られ、
二人はそれから彼女の結婚が決まるまで
ずっと一緒に暮らして来た。

私はその少女で、
男は育てて暮れた叔父。
その叔父は当時25歳、少女は12歳だった。

物語は現在からだんだん過去へと
溯っていき、
二人の濃密な関係が
読み進むうちに匂い立つ感じだ。

久々に割り切れない感情や、
訳の分からない、でもきっと人間は
多かれ少なかれ同じように
持ち合っているのだろう、
その領域に踏み込むかどうかは別にして。

複雑な感情が
時を逆行することで、
読みながら整理されていく。

胸の奥底辺りがザワつく、
こんな主人公と結婚する男も
大変だろうなと思いつつも、
強烈に誰かを好きになる感情をもった人は、
他の人にどんな愛情を注ぐのかも
興味はある。

もちろん当事者にはなりたくない。

読み応えのある本が少なく、
簡単にズンズン読めてしまう軽目のものなら
いくつも平積みされていて、
新刊を読むのに躊躇していたが、
何処かで勧める書評を読んで
ネットでオーダーした。

作者に思い入れもなく、
改めて本を見て、書いたのが男性作家と
初めて認識して、それも軽い驚きだ。

どうも女性の書く
微妙なニュアンスをこの本は全体に
漂わせていると感じていたのに、
読んでいる間中のある種の感情は
結局全然的外れだったのだ。

私の男というタイトル、
これしかありえなかったか、
読んでいる間中、このタイトルが
ずっと頭から離れなかった。

読後感もスッキリなんてしない、
人に題絶賛で勧めるのもなんだか
気が引ける、
それでも次も読みたい作家を
見つけたなと確信した。

http://yaplog.jp/sora2001/

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紙の本コフィン・ダンサー 上

2011/12/24 14:51

書籍「コフィン・ダンサー(上・下」人物描写は殺し屋に至るまで緻密で最高

5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「映画でリンカーン・ライムを知ってから
どのくらい過ぎただろう、
今でも自分の頭の中のリンカーンは
デンゼル・ワシントンだし、
サックスはアンジェリーナ・ジョリーだが
『ボーン・コレクター』の頃と比べると
アンジーは有名になりすぎて
ちょっとイメージは変わってきたかな」



「棺の前で踊る男(コフィン・ダンサー)」の
異名を持つ殺し屋は
ターゲットを狙ったら決して外さない、
今回リンカーンにはその殺し屋を捕まえる手助けが依頼された、
操作中の事故により重度の肢体不自由でベッドで過ごす彼は
手足となる最新のコンピュータを駆使し
犯罪現場で手足となって活躍するアメリア・サックスと共に、
決して不用意な証拠など残さないダンサーを
追い詰めていくわけだけど、
次がどうなるか気になる、
まさにページターナーと言われるだけのことはある、
文庫で上下巻なのがうれしい、
読み始めはまだまだたくさんるとどんどんめくれるからね。


リンカーンの実質的な手足となるアメリア・サックスも
今作では犯罪現場の科学捜査官として
成長した姿を見せてくれる。
実際のアンジェーリーナ・ジョリーは
この作品のサックスよりも知名度や実力も上がってしまったので
その点ではイメージの原作と俳優がちょっと食い違うが
それでもヒットした映画ってのは
それ以降も強烈な印象を残してしまうから
原作者が映画化に慎重になるのも仕方ないだろうな。


ある犯罪の重要証言をしてくれる3人の証人のひとりが
経営者でありパイロットでもある彼が飛行中の爆発で殺された、
残る2人をダンサーの手から守り
そしてダンサーを捕らえようと
犯行現場やさまざまな考えから集めた証拠をもとに
ダンサーの近辺には迫るが
いつも彼らの手からスルリと消えてしまう、
このあたりの展開を読んでいて感じるのは
捕まってほしいが、そう間単に捕まってもらいたくもなく
そのもどかしさとでも期待を裏切らない展開で
ホント楽しませてくれた。


今回はリンカーンとサックスの際どい関係や
明敏さを感じさせない分析官のメル・クーパーにも
リンカーンは実は信頼してる描写があったり
ニューヨーク市警の殺人課からきた二人も時折登場しては
ちょっとした笑いやなるほどと思わせるような活躍もし
チーム全体として事件にあたる様子が
丹念にそしてスピーディーに描かれていて
今後のチームの発展も期待したい。



この作品はリンカーン・ライムシリーズの2作目、
最新刊は新書で読んだけれど途中が全部抜けてるので
文庫で続けて読もうと思っている、
映画は知っていたがそのときはジェフリー・ディーヴァーという
原作者は知らなかった、
彼の作品を読もうと思ったのは今年亡くなった
児玉清さんがさかんに薦めていたからで
こうして人の想いってものは伝わるんだと感じている。



★100点満点で90点★

soramove

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紙の本どこから行っても遠い町

2009/10/02 17:01

「どこから行っても遠い町」知り合いの誰かに会えそうな本

5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「雑誌ダヴィンチの
今月のプレミア本に選ばれていたので
注文し、やっと読み終えた本、
小さな町の歩ける範囲で暮らす人達を
短編のそれぞれの主人公にした作品、
『誰もが自分の物語では主人公』と
どこかで聞いた気がするが
まさにそのような、
誰もが宇宙の中心となんとなく思える11編」


自分の生き方に明確な「何か」をもって
迷わず突き進むような人は出てこない、
大袈裟な仕掛けもないし、
波乱と思えるほどの波風も立たない、
でも散歩で歩く範囲、顔見知りの人々と
同じ時間を過ごしながら
それぞれの人に当然ながらそれぞれの日々があり、
どれもかけがえのない、愛しい日々を送っている。

誰も強く自分を主張しない替わりに
様々なことをしなやかに受け止め
顔見知り、ちょっと話す程度の人
そんなご近所さんとともに
過ごす日常をさりげなく語った本だ。

平凡な毎日を送っていると
本や映画の中では
ドラマチックな展開を見たくなる、
そして自分とはかけ離れた暮らしや
事件、事故などを読んだり、見たりして
ちょっとした刺激をもらうことが多いが、
この本からはじんわりと
さりげないリアルな生活の手触りのようなものを
感じた。

本の中に出てくる誰かに共感したり
何かしら強く感じるということは無いが
全部読み終えて感じるのは
ここにはすべてがあるということ、
きっとこれまでと、これから感じるであろう
全ての感情がここで読みとれるような
不思議なそしてとても愛しいような作品集だ。

なんだろうこの心が波立つような感じは、
心を揺さぶられ、長くそのことに捕らわれるような
そんな劇的な何かは無い、
でもだからこそここには穏やかな日々の中で
人が感じることのほとんど全てがあるような
気がしてならない。

読み終えてしばらくたっても
きっとまた登場人物の誰かを
折に触れて思い返すだろうな。

★100店満点で90点★
http://yaplog.jp/sora2001/

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紙の本猫を抱いて象と泳ぐ

2009/10/02 17:14

「猫を抱いて象と泳ぐ」静かで熱い唯一の物語を読む幸せ

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「タイトルを考える、
猫を抱くことは出来るが
象と泳ぐことはできそうにない、
猫を抱いて泳ぐのも難しそうだ、
しかしこの本を読むと
その不思議な光景が目に浮かんでくる」


主人公は幼い頃、
動かないバスで暮らす友達から
チェスを教えてもらう、
その後、彼は「盤上の詩人」と謳われた
アレクサンドロ・アリョーヒンという
ロシアの伝説のチェスプレイヤーにちなんで
リトル・アリョーヒンと呼ばれるようになる。


とても静かな小説だ。


目の前で起こっていることを目撃しながら、
それら全ては
主人公がチェス盤の下に潜り込んで
チェスをさすように、
妙に現実感から乖離して
思い描くイメージは一枚の絵のよう。

思いもよらぬことが起こり、
次はどうなるんだろうと
そんなドキドキ感はこの小説には無いが
誰にどう思われようと構わない、
自分らしい生き方をした主人公の
唯一無二の物語を
息をひそめるように読み進めた。

めくるページが少なくなると
なんだか胸が締め付けられた、
でもそんなこちらの気持ちに
リトル・アリョーヒンは
「あせらないで」と静かに語ってくれた。

こんな読書体験はなかなか無い、
何にも似ていない、
経験したことのない物語、
でもそこここに自分がこだわる「何か」が
ちゃんと存在しているような
不思議な物語だった。



★100点満点で100点★

http://yaplog.jp/sora2001/

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紙の本ねじれた文字、ねじれた路

2011/12/24 14:54

書籍「ねじれた文字、ねじれた路」ねじれた関係もいつか繋がる希望の物語

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

CWA賞ゴールド・ダガー(最優秀長篇賞)、LAタイムズ文学賞受賞!


「1970年代、アメリカ南部の小さな町で
白人と黒人の二人の少年の友情は
少女失踪事件を機にそれ以後
長い空白を経て試されることになる、
一人は瀕死の犯罪の容疑者として
一人は法律を守る治安官として、
全体を包むのはやるせない気持ち
犯罪小説というよりはやはり
人間の物語といえるだろう」


70年代のアメリカ南部といえば
まだまだ人種差別が色濃く残り
大人も子供も一定の境界をひいていた、
だから彼ら二人の友情もひっそりと結ばれ
静かに始まりある日あっけなく途切れた。


人種差別は頭では分かるが
やはり肌で感じたことがないので
この小説の持つ根底に流れる
どうしようもない時代の空気は
自分にはホントの意味で分からないのかもしれない。


けれど人間は誰かと繋がりたいのだと
それがどんなバカな奴だろうと
自分を気にかけてくれる
そんな僅かな繋がりに
すがってしまうほどの弱さを痛感する瞬間
用心深く生きて来た男の寂しさが浮かびあがる


人の噂や考えに惑わされず
自分の生き方を生きていると感じながらも
実は周囲の視線や風評に
がんじがらめになっている、
そのことを充分に理解しつつも
そのなかでもがく主人公。


ここで描かれるのは二つの少女失踪事件、
25年という時を経て繰り返される事件が
大きな店さえ無い小さな町に与える影響は
どのくらいだろう、
そして唯一の容疑者として
誰からもノケものにされた白人のラリーは
誰も来ない自動車修理の店を
今日も開けて一日ホラー小説を読んでいる。

新しい少女失踪事件から間もなく
そのラリーが銃で撃たれて瀕死の状態になった、
多くの人が自殺じゃないかと噂する中
真相に近い真実を知る幼馴染の黒人サイラス、
彼は故郷に戻り治安官として働き始めたが
ラリーとは距離を置いて過ごしていた、
しかし病院にいるラリーが撃たれる前に
サイラスの留守電に「電話をくれ」と
伝言を残していたことから
事件がそして彼ら二人の友情が動き出す。


どの部分が良かったとか
このシーンが最高だったとか
そんな風には思いだせない
けれどなんかとてつもなく深い
かけがえのない物語を読んだという
満足感感と同時に喪失感のような
やり場のない気持ちになった。

こんな本に時々
ほんとにめったにないけど
時々巡り合えるから
本読みは止められないのだ。

本の装丁も読んだ後しみじみ眺めると
これがまたピッタリで趣深く
何もかもがピタッと収まる所に収まり
心に響いた。


★100点満点で90点★




soramove

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紙の本デパートへ行こう!

2010/12/18 23:45

「デパートへ行こう」今どきデパートって言われてもねぇ

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「買ってから半年以上経って
やっと読み終えた本、
この本も以前「週間ブックレビュー」で紹介されていて
買ってそのまま積んでいた、
まず、タイトルが良い、
普段あまり行かないデパートへ
行きたくなるのかどうか、そんな感じで読み始めた」


デパート、そこは
フロアごとにまったく違う商品が
それこそギッシリ詰まった場所、
様々な思惑がそこにもあるのだろう。
著者がそんな場所をどうストーリーに取り込むのか。

舞台は夜のデパート、
最初に登場するのはそのデパートで働いている女性、
彼女は復讐を果たすためなのか、どうか、
宝飾品のフロアに向かって
明かりの消えたデパートを移動する。

そして同じ日の同じ時刻、
別のフロアでは家出もどきのカップルや
死を覚悟したホームレス、
ピストルを持った男などが
各階をそれぞれの思惑で動いていた、
さらにそこに創業者一族の新しい社長も加わり、
どうやら長い夜になりそうだ。

映画の群像劇のように
少しづつ彼らの人となりが描かれ
どうして、この夜、この場所だったのか
だんだん分かってくる。

もたついたところもなく、
スッと読めるので
同時刻に起こる複数の人々の行動が
クリアに頭の中で像を結ぶ。


デパートへ行く人って
限られているように感じる、
現代の傾向を言い当てるキーワードは
「安くて、良いもの」
本当はそれは矛盾している、
けれど幻想かもしれなくても
多くの人はそれを常に求めているのだ。
安売りの消耗戦は現実に続いている。

サービスというものに
過剰な価値は見出せない時代だ、
社員の教育より、短期的なパートの
安い労働力を求め、
買う方も売る方も
何を欲し、どこを目指しているのか。

ラストに向かって、
それぞれの思惑が交錯し
ラストには明るい希望も見えた。
でもこのデパートは合併後に
実質つぶれてしまうのだろうな、
それが現実、
それを嘆いても仕方ない、
その後は気になるが
このままが幸せなのかもしれない。

★100点満点で70点★

http://yaplog.jp/sora2001/

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「1Q84」今夜空には二つの月が見える

3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

どんな内容かも分からず、
とりあえずネットで注文、
一日早く書店に並んだことを知り、
思わず届くのを待てずに、書店で
買ってしまおうかとさえ思った。


「村上春樹ブシが帰ってきた、
イミ不明の『空気さなぎ』や
『リトルピープル』という言葉を
記号に置き換えて
とりあえず文章の調子を確かめるように
読み進めた」


本を読むのは主に地下鉄の移動中、
でもこの時期、部屋に戻っても
鞄から本を取りだして
まさに読みふけった。
読み終えてもう一度読み返して
10日あまり、幸せな時間を過ごした。

何を言いたいのか本当のところは
分からないけれど、
何かの象徴としてのキーワードが
頻繁に登場し、
現実と空想の世界の間を
危うい綱渡りをしているような
奇妙な浮遊感を味わった。


それでも文章は平易で読みやすく、
とりあえずあれこれ考えて
思い悩んで立ち止まることもなく、
久しぶりに音楽もかけない、音のない空間で
コーヒーの香りだけを側に
本と向き合う時間を過ごして
本の感想もさることながら
こんな時間の使い方さえ新鮮だった。

ラスト近く、
「この後どうなるんだろう」と
Book3があるのかもと思いながらも
この次ってまた5年とか待たされるのだなと
物語の主人公の様な深いため息をついた、
声をかけても誰も答えてくれない
深い井戸の底の底をのぞきこむように。

発売2週間を待たずに100万部突破という
社会現象となっていながらも
内容について話す人は驚くほど少ない、
感嘆に「こうだ」と感想を言えるような
内容でもないし、
この本を多くの人が読んで
「他の人はこの本をどう読んだのだろう」と
様子を窺っているようで
その雰囲気も面白く思える。

これまでの集大成のように
オウムを思わせるものや、善なるものの
不完全さや、自分の立つ足下がいかに脆いか等々、
様々な部分に自分が引っかかる何かを
見つけられるような
不思議な読書体験だった。

★100店満点で90点★

http://yaplog.jp/sora2001/

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紙の本悪人

2008/01/06 10:40

「悪人」吉田修一のひとつの到達点!傑作

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

書店へ行く楽しみのひとつは、
新刊の平積みをざっと眺めること。

分厚い新刊がこの今回の本、
手に取るとにやけてしまいそうになる、
好きな作家の新刊が
こんなにも厚いと
それだけで嬉しくなるからだ。


さて、読み終えてタイトルの「悪人」について考える。
世の中に確かに
ナチュラル・ボーン・キラーズみたいな
悪人も居るだろうけど、
殆どはその意味では善人というか、
悪人そのものっていう人は少ない。

そしてこの本では
追い詰められた揚げ句に
悪人となってしまう人間が描かれている。

この切ない感じはどうだ、
なんかやるせなく、どうしようもなく、
バカバカしく愚かだ。

読みながらも、心の中で
「ウワァー」と叫び出したくなる。
それ以外どうしようもないのだ。

この本を読んで
「共感した」とはなかなか言い難いだろう、
だって孤独な剥き出しの心が描かれて
ひとつ間違った方向へと疾走していくとき、
自分は果たして大丈夫かと考える、
大丈夫だよな、と思う。

でもここに描かれる美しい魂が
ほんの少しの偶然と狂気でとても残念な結果となるのは
何だか怖くて仕方ない。

誰かに必要とされたい、
誰かと何気なく笑っていたい、
週末を誰かと一緒に過ごす安心感。

何気ないものが、いくつもの危うい選択を
なんとか日常の範囲内で踏みとどまらせてくれているのだ
きっと。

「悪人」
心の中の「悪人」の種を意識しつつ
綱渡りしているのが現代の私たちなのかもしれない。

http://yaplog.jp/sora2001/

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古書店めぐりは夫婦で

2005/03/03 22:25

古本を愛する者たちへ

2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

この本は何度読んだろうか。
本の内容もさることながら、手に入れるシーンに
ドキドキし、経済感覚もそれ程かけ離れていないので
買い物の上限に迷い、その本が書店に来た言われに
余計とその本が欲しくなる過程などが
克明に記されていて、二人が満足の行く買い物が
出来たときはこちらまで嬉しくなるのだ。

旅行も観光だけでなく、そのついでに古本屋めぐりがあり、
ついにはそれが目的となることも。
私も別のもののコレクターなので、集める喜びは同様で、
それが一層、彼らに共感するのかもしれない。

心からの喜びに思わずホロッとすることの
爽やかな感動を与えてくれるかけがえの無い本です。

★5つ満点、文句無し!

@@
続編「旅に出ても古書店めぐり」★★★☆
soramove←さらに詳しくは、クリック!

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「それでも、日本人は「戦争」を選んだ」タイトルほど堅い内容じゃない、何故か泣ける

22人中、22人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

この本はTV番組「週間ブックレビュー」で紹介されていて、
興味を持ちネットで注文し、地下鉄の移動で読んだ。



「もう戦争しかない」
何故当時の日本人が、
そしてその最高の決定機関の頭脳達が
そんな結論を出したのか。


まずはタイトルに惹かれた、
それから学者である著者が高校生への5日間の講義として
語った内容をまとめたものと知り、
その位の内容なら大丈夫かなと。

大丈夫は大丈夫だった、
特に難解な部分は無かったし、読みにくい部分も少なく、
こういった教養本特有の「分かる人だけ読めば」的なものじゃなく、
伝えようとする熱意さえ感じられる内容だった、
手書きの地図や折々の登場人物の手紙や
実際に語った言葉などは
その時の空気感までが伝わる気がした。

実際にこの講義を受けたかったな、
そうすれば感じ方ももっと違っただろう。

この本を読んでいて、何度もおかしな感情に出会った、
それは当時の東大を出て留学経験まであるような
最高の頭脳を持った人たちが
ある決定をする時、当然自信を持って
良き未来を願っていただろうが、
その決定がのちの日本の敗戦につながることを
自分は歴史の事実として知っているから
堅い文章を読みながら
泣けてくるんだ、これが。


自分でも何泣いてるんだってところだけど、
他国を蹂躙し、ただ自国の繁栄だけを
彼らが望んでいたわけじゃない、
その当時の各国の動きと、国内の要請等々、
様々な事柄がついに「開戦」という言葉を導いたとき、
歴史ってものについて
改めて大切な勉強であり、知識だと痛感した。

もう今は大人なので何年に何が起こったと
暗記する必要はない、
でも近代の大きな流れを知らないのは
やはり間違っていると。


こういう事実に基づいてそれを知ることから
さらにその事実をどう考えるか
中学や高校のいつかの時期に皆で議論したかったな、
大人になるとそんなことを真面目に誰かと
自分の考えを言い合うなんてないからね。


終戦の前から1年あまりで、開戦からの
戦死者の9割が亡くなったと知り、
もっと決断が早ければと感じた、
自分たちが今、選んでいる
この国の政治を動かしている人達はそ
の選択をちゃんとしてくれるだろうか、
もう戦争はないだろう、
でも現実問題として政治の力で救える命もあることも知っている。

こういう本の存在を知ることが出来て良かった。

http://yaplog.jp/sora2001/

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紙の本告白

2009/02/09 16:19

書き手としての技量が冴え渡る秀作!

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「この教室に私の娘を殺した犯人が居ます」

主人公の幼い娘が
学校のプールで死んで居るのが見つかった。
主人公は教壇に立つ最後の日、
その犯人の名前をイニシャルで話すことで、
静かに復讐を開始する。

当事者数人の告白や手紙で
ひとつの事件が語られ、
主人公の投げかけた石が
池の中で同心円を描いて
徐々に広がるように、
読み手にも全体像が次第にあきらかになっていく。

うまい語りの小説だ。

これが大人の社会なら
これ程のインパクトはないだろう、
学校という閉鎖的な社会で、
ひとつの事件が別の形にへと変形していく。

ムリな飛躍もなく、
そんなこともあり得るだろうなと
ちゃんと納得させてくれるのは
作家の力だ。

非常にうまいつくりで、
突っ込みどころも無く、整然としている、
逆にいえば鮮烈な驚きというか、
ある場所から「ポーン」と
思い持つかない場所へ運ばれるような
そんな感動はなかったな。

それでも次が楽しみな作家とまた巡り会えた、
と思って居たら、書店で新刊発見、
即買いです。

★100点満点で75点★

http://yaplog.jp/sora2001/

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紙の本フリーター、家を買う。

2010/05/09 09:36

「フリーター家を買う」新しい事を始めるのに遅すぎる事は無い。

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「フリーターがどうやって家を買うんだろう、
単純にそんな考えで、面白そうなので
読み始めたが、まさに一気読み、
この本の結末以降の続きがも気になる」


新卒で入社した会社の研修に嫌気がさして
3ヶ月で辞めてから、次を簡単に考えていたが
なかなか決まらず、そうこうしているうち、
母親が鬱になってしまい、
それはご近所からのイジメも関係していると分かり、
主人公は家を買うことを決断する。


そううまくはいかないだろう、
もちろんそうだ、バイト先で細かいことを注意され
だったら「辞めます」と
勘違いのプライドで結局自分で自分を追い込んでく。

引きこもり状態の主人公が
仕事をしようと思う転機になったのは
母親が鬱になり驚くほど変わってしまったことだった、
やはり人間はそうそう簡単に変われるものじゃないから
そんな劇的な何かが無いと
ずるずると深みにはまって
そして一度はまったらなかなか抜け出せないのだろうなとは
予想も出来る、本の主人公はそこから
いかに変われたか、それがこの本の見所だ。


出来すぎっていえば出来すぎだけど、
なんか力が沸いてくる、
人とのつきあい方や、自分の気持ちの持ちようとか、
よりよい方向に変われるヒントは
ホントはそこら中にあるのかも知れないが、
人間は保守的だからか
なかなか自分の守備範囲からでられないのだ。

フリーター家を買うという
ちょっと結びつかないタイトルも良い、
そして映画的なハッピーエンドって訳でもなく、
これからも自身の努力が必要なのだと
改めて気づかせてくれるあたりも
うまいなぁと思いながら本を閉じた。

面白く読めたけど深い感動とかはなかったな。

次の新作も早く読みたい。

http://yaplog.jp/sora2001/

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紙の本二流小説家

2013/06/12 08:33

書籍「二流小説家/デイヴィッド・ゴードン著」自分らしく生きるとは?考える

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

書籍「二流小説家/デイヴィッド・ゴードン著」★★★☆


「最近この形の海外ミステリー本を
書店で多く見かけるようになった、
需要と供給で仕方ないのかもしれないが
1.000円くらいに抑えてもらいたいものだ、
買って読み始めてつまらないと
ダメージが大きすぎるからね、
この本は“当たり!”だったので惜しくないけれど」


文庫になったので、
再度投稿します。


主人公ハリーはニューヨーク在住の売れない中年作家。
ペンネームを使って様々なジャンルの小説を書いて
なんとか糊口をしのいできたが
獄中の連続殺人鬼から告白本の執筆を依頼され、
面会に行くが死刑囚のダリアン・グレイから
真実を明かす代わりに
「自分だけの為にポルノ小説をけ」と言われてしまう。


どんな真意があるのか分からないまま
目の前の美味しい餌に食いつくように
ハリーは小説を書き始めるが
ダリアンと同じ手口で女性たちが連続して惨殺され
ハリーは嵐の真っただ中に放り込まれるのだ。


随所に彼の本意ではないペンネームで書いた
ヴァンパイア小説やSF小説がちりばめられ
それらを含めてハリーの現状や
追い詰めらた気持ちが伝わってくる、
巧みな構成だ、
謎解きより事件が起こった時
主人公がどんな行動をとるか
そんな反応を見せるかに興味をそそられる。


映画で時々、主人公が画面のこちら側に向かって
話し出すことがあるが
この小説でも時々、独白のように
こっちの気持ちを言い当てる、
そんなとき、作者もミステリー好きなんだろうなと
妙な共感を覚える。

二流小説家が巻き込まれた
小説のような現実、
また気になる作家を見つけた気分だ、
次の作品も楽しみに待ちたい。


★100点満点で75点★

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あなたがいる場所

2011/12/24 14:58

書籍「あなたがいる場所」時には立ち止まって、まっすぐ前を見る

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「沢木 耕太郎の本はたぶん全部持っている、
でも小説は持ってるけれど
読んだことは無かった、
そのうち読む本として順番を待ってもらっている、
『深夜特急』などの紀行文やエッセイは
手にしたらすぐに読むが
なんとなく小説のジャンルは
沢木 耕太郎という人には違うような気がして
敬遠していたが
だいぶ前になるが「週刊ブックレビュー」に登場し
この本についてインタビューを受けた番組を見て
これなら読めそうと思って
それでも手に入れてから4カ月経ってから
やっと読み始めた」


そんなこと無意味だと分かってるが
小説のどこかに作者である沢木を探してる
でもここにも居ない
これでもないと。

かつてバスで長距離の旅をした人の
誰でも体験しそうだけど
やはり彼だけの旅物語を読んで
強烈に惹かれたように
この短編集にも
自分に似た他人がいるだろうと
探していた気がする。

普段はなんてことない毎日の繰り返しだ
少し経って振り返ると
それが先週の事なのか
先月の事なのかだって曖昧に思える、
でも何か困難にぶつかったとき
それをどう解決するか
もしくはやり過ごすか
人それぞれやり方は違う
けれどそれだって過ぎてしまえば
ほとんどは曖昧になっていく。

何で自分だけがこんな目にあわなくては
ならないのか、
理不尽さに怒るが
それでもなんとかしなくちゃいけない
そんな時、少し視線を上げて
自分のいる場所を確認できたら
そして今までを振りかって
目線を変えてみたら
何か違う風景が見えるかもしれない。


困難の真っただ中にいたら
実際はそんな悠長なこと言ってられない
そんなことは分かってる
けれどそんな瞬間もかならず過去になる
人間のしなやかさに驚く


短編の全てにバスが登場する
ここから別の場所へと
確実に運んでくれるバスが
何かを象徴しているようだった。


★100点満点で75点★
それでもエッセイの方が好きだな。



soramove

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