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先月(2017年8月)

マルガレーテさんのレビュー一覧

投稿者:マルガレーテ

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紙の本悪魔のラビリンス

2004/06/27 20:36

「きみとぼく」すら書けていない

1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

二階堂黎人といえば、西尾維新や佐藤友哉などのメフィスト賞系を(というより、今では「ファウスト」系か)、「きみとぼく」本格と批判した人。西尾や佐藤の小説は、ミステリの骨格が弱く、「きみとぼく」の狭い範囲でしか世界を書いていない、と。なるほど、二階堂は新本格(死語?)の中ではトリック派だから、批判の前段を言う資格はある。でも、後段の狭い世界云々はどうか? 二階堂は「きみとぼく」派に対し、彼らも経験を積めば世界が広がるだろう、みたいなことを先輩風吹かせて語っていた(『猪苗代マジック』巻末)。しかし、ご本人は相変わらず、社会性のない絵空事を書き続け、古ぼけた様式美をなぞるだけ。二階堂は『人狼城の恐怖』で、本格ミステリの「長さ」の記録は打ち立てた。その努力は認めよう。だが、ミステリの「世界」、小説の「世界」は全然広げていないし、この「世界」を活写してもいない。
『悪魔のラビリンス』も、怪人対名探偵の古典的パターンをなぞったもので、昔の映画館のペンキ絵看板でも見せられているみたい。登場人物がみんなブリキ人形みたいで、薄っぺらい。それに比べ、西尾や佐藤は、ミステリ云々はべつにして、どんなに奇天烈な設定でも「きみとぼく」の、ある種の心理的なリアリティは生々しく書けている。つまり、二階堂は「きみとぼく」の狭い心理的世界すら書けていない。二階堂には、自分のクローンみたいな作家(加賀美雅之)を後押しして味方作りに励むよりも、「きみとぼく」の心理描写から勉強し直して欲しい。

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