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今井直樹さんのレビュー一覧

投稿者:今井直樹

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◎付箋など貼らずに@

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 毎年夏、日本では「24時間テレビ」なる特別番組が必ず放送されている。
 「愛は地球を救う」と銘打った、感動を売り物にするこの番組で特に力が入るのが障害者」特集だ。「障害を一つの個性と取らえ、懸命に頑張る障害者」「素直で純心無垢で、輝く未来を信じて生きる障害者」たちが次々に登場し、「一人で買い物ができた」「●●メートル走れた」といっては、出演者たちが涙を流す。そして、視聴者も毎年毎年、彼(彼女)らに共感(同情?)と感動の涙を流し、多額の寄付を送る。

 もちろん、これらの番組と行為は、決して間違いでも非難されるべきものでもない。だが、「障害者=絶対純粋正義」といった単純な図式でとらえていいのか?との疑問は学生の頃からあった。
 そして、社会人5年目でようやく出会った「死亡退院」。生まれつき進行性筋ジストロフィー・デュシェンヌ型のため、ほぼすべての人生を病院で送った男性を描いたドキュメント、ルポルタージュである。この本に出てくる「障害者」は、病院の食事に文句をつけ、夜中にも関わらず5分おきに体の位置を直させて、様々なわがままを言っては介護者や看護士さんらを困らせ、さらに自身のホームページでも「悲劇を乗り越え美しく生きる障害者を求める社会」に文句を述べる。

 今の日本のテレビでは、絶対に登場できない「障害者」である。
 だが、読み進めるうちにふと考えた。一体、どちらが人間の本当の自然の姿だろうか。この男性は、人間が幸せに生きるために主張すべき当然のことを普通に主張しているだけではないか。「置かれた環境が違えば求めるものも違ってくる」。そんな当たり前のことに気づかない「健常者」の方に問題はないのか。そもそも「障害者」と「健常者」の間に壁があるのか。あるとしたら、誰が作っているのか。そういったことを考える上でも非常に示唆に飛んだ、語弊があるかもしれないが、勉強になる本であると思う。

 この本は確かに、障害者問題を真正面から見すえたものだが、肩が凝るような学術書でもルポでもない。なぜか。それは、「宇宙遊泳」「不良になるのも大変だ」といった、独特のユーモラスな表現がふんだんにちりばめられ、さらには清水さんの温かいまなざしがあるからだろう。

 話は少しそれるが、実は私自身も、清水さんほどの取材力&筆力はないものの、あるマスコミ組織に属す「もの書き」なんです。記者になって、現在5年目で怒られてばっかりの日々です。

 仕事柄、新聞やテレビ、文庫本などを通じて「障害者問題」について考えることはあった。だが、この本を読んで「自分の考えがいかに甘かったか、打ちのめされた」というのが正直なところです。

 「障害者にも性欲はある」「集団で暮らしている療養者にとって、目玉焼きはとても贅沢なご馳走」。相手の懐(ふところ)に自然にもぐりこまなければ、こんなディテールは描けるはずがない。取材力に感服した。

 そして何よりも、言葉が持つ重みに胸を打たれた。タイトルからして変(?)である。「死亡退院」。退院する時は、病気が完治した時と世間(?)では決まっている。だが、「退院=死亡時」だけという運命下に生まれる人もいる。「死亡退院」の持つ意味は非常に深い。
 また、副題でもあり、本の中で何回か出てくる「生きがいも、苦悩もすべて病棟にある」。この言葉の意味は、考えれば考えるほど難しい。仕事柄いつも思うのは、このような誰もが知っている簡単な言葉ほど、実は一番深くかつ難しいということだ。

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