エーミールさんのレビュー一覧
投稿者:エーミール
7 件中 1 件~ 7 件を表示 |
紙の本レイル 王国の暗殺者
2004/10/20 14:00
王国が林立する中世のような時代に、女スパイが活躍する。これは面白い!
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
レイルという女の子が主人公。この女の子が数奇な運命をたどるのだが、ストーリーは話してしまうと読むときにつまらなくなるかもしれないので、ここに書くことは出来ない。はじまりは、生まれがわからない女の子が、ある貧しい村で貧しい家にひきとられていじめられながらもどうにか生きているという悲しい状況なのだが、この子の精神力はとても強くて、自分で人生をきりひらいていこうとする。
そこからのストーリーの展開はとても早くて、ちょっとおそろしくて、読み出したらとまらない。見たところは、とてもぶあつい本なので圧倒されてしまうかもしれない。でも読み始めたら大丈夫。本の厚さなど忘れてしまうことだろう。
作者は、別名でスパイ小説を沢山発表している作家だということだ。面白さのツボを心得ているという感じがする。
戦記もののようでもあり、一代記のようでもあり、アクションあり、恋ありで、様々に楽しませてくれる。YA・大人向き、エンターテイメント作品である。
<図書館の学校・児童書選書委員会>
2004/11/02 13:38
ハツカネズミの騎士のかわいい恋の物語です。愛と勇気こそ騎士の条件。小さくたってだいじょうぶさ!
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
なんとも愛らしいハツカネズミのヒーローの登場です。
このねずみデスペローくんは、生まれた時からヒーローになるべくしてうまれたようなねずみでした。両親ねずみの最後の子どもだったし、同時におなかで育ったきょうだいの内でたった1匹だけ生きて生まれた子どもだったのです。しかもふつうの半分くらいの大きさで耳だけが大きく、生まれた時から目をぱっちりとあけてまわりを見ていたのだそうです。そして本も読めて、物語の騎士にあこがれ、本物のお姫様に恋をしました。でもその道のりは決して楽ではなく、ハツカネズミ界からの追放、地下牢での死の恐怖などさまざまな苦しみを味わいます。
この本、見た目はちょっと重々しく、むずかしいかな?読みにくいかな?と思うかもしれません。が、中を見ると、活字はわりに大きく、とっつきやすいと思います。主人公のデスペローは、勇気と愛はいっぱいもっているけれど、とてもやさしいこまやかな感性を持ったねずみなので、やさしい気持ちになって読み進んでいけます。とても読みやすく、読み終わってあたたかな気持ちになれるお話です。読みやすいストーリーですが、その中に愛と許し、人の心に光をともすもの、といった大切なメッセージもはいっているのがわかります。2004年のニューベリー賞受賞作品です。
とくに小学校中学年くらいにおすすめです。
<図書館の学校・児童書選書委員会>
紙の本空のてっぺん銀色の風
2004/11/02 13:48
北島つかさは、小学6年生の男の子。最近クラスメートの女っぽい男、早乙女が気になりだした。
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
北島つかさは、北海道の東の端にある小学校の6年生。サッカーが大好きな少年だ。最近クラスメートの、早乙女力が気になる。早乙女は、色白でひょろんとやせていて、しぐさが女っぽくて、すぐなみだぐんで、あまり友達もいない……「おとめ」というあだながついている。体育が苦手なので、体育の時間にいなくなってしまうことも多い。ある日つかさは、担任に「おとめ」をさがしてくるようにといいつけられる。つかさが保健委員だったから。近くに「かえらずの森」というのがあって、立ち入り禁止になっている。そこで「おとめ」をみつけたけれど、「おとめ」はそこの神にシマフクロウにされてしまう。つかさは、ほうっておけなくなって、シマフクロウになった「おとめ」の世話をする。
最初は学園ものなのかと思っていたが、「おとめ」がシマフクロウに姿を変えられてしまってからがらりとトーンが変った。家族・友情など、様々なテーマをもりこんでいるけれど、面白おかしく読める部分も多くて、変化に富んでいてとても面白い。
表紙を見てこんなに面白いとは思えなかったのが、とても残念だ。タイトルも、読み終われば、ああそういうことなんだと思えるのだけれど、読む前には内容とは違うものを思ってしまった。登場人物も個性的でいきいきと描かれていて、楽しめる。こんなに面白いと思わなかった、というのが正直な感想だ。
シマフクロウに変身してしまったことの大変さ、それを世話することの大変さなども楽しめるし、学園ものの楽しさもある。
読んでみてわかる、本の良さ。是非、読んでみてください。
<図書館の学校・児童書選書委員会>
2004/11/16 15:02
活発な女の子ジュディ・モードが活躍するシリーズの第1巻です。
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
アメリカで大人気のシリーズで、5巻まで出ているのだそうです。
ジュディは、いたずらで元気のいい女の子です。この物語は、ジュディとそのまわりの子どもたちの学校や家庭でのなにげない出来事を描いたものです。なにげないといってもいたずらっけやユーモアがいっぱいです。
3年生最初の新学期、トッド先生はみんなに、絵や文字や写真を組み合わせた「自己紹介コラージュ」を作るようにといいます。家族のことやペットのこと、趣味や特技、将来の夢などをコラージュするのです。コラージュをしあげるまでに、さまざまなことがおこりました。石ころさがしで「月の石」をみつけたけれど粉々にくだいてしまったり、弟のスティンクをゴムの手でおどかしたり。カエルのトーディを手にのせて入会資格を判断する「オモディクラブ」やハエトリグサに挽き肉のかたまりをやったのはいいけれど大きすぎて消化できずにハエトリグサがぐったりしてしまうなど、実際にありそうなおかしなことがいろいろでてきて、思わず笑ってしまいます。
シリーズが次々と出たら、きっとおかしなことがもっといろいろでてくるのだろうなと思います。
版型が小さめで、厚さがうすく、デザインに工夫をこらしたカバーがついていて、持っていてちょっとうれしい作りの本です。挿絵も文のイメージとあっていて、見ているだけでも、元気が出るような気がしてきます。
この本は、アメリカで全米図書館協会優秀児童賞を受賞しています。
元気が出る楽しい本です。
<図書館の学校・児童書選書委員会>
2004/11/02 13:43
ららちゃんがおかいものにいくと、あらら!大きなポケットのついたエプロンをしてぴょんぴょんジャンプしていくおばさんにあいます。
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
小学校低学年の子どもたちにいい、読みやすくて楽しい本がでました。
おつかいというのは、お手伝いの中ではよくたのまれることではないでしょうか。でも、ちゃんと間違えずに買ってこられるかと不安もいっぱいです。そんな気持ちもうまくもりこまれているおはなしです。
ららは、おかあさんが風邪をひいているので、おつかいをたのまれました。買ってくるもののメモをもって、でかけます。途中で不思議なおばさんに会います。そのおばさんは大きなポケットのついたエプロンをしてぴょんぴょんとジャンプして進んで行くのです。ららは、まねをしてついていくうちにころんでしまって、おばさんにだいじょうぶ?と声をかけられて、いっしょに買い物に行くことになります。帰りは素敵でした。だってららは、そのおばさんの大きなポケットの中にいれてもらって帰ってきたのですから。
行って帰ってくる間の不思議で楽しい出来事、それがおつかいというかたちで自然なストーリーになっていて、楽しめます。
絵も楽しく、ストーリーをもりあげています。
低学年の子どもたちにおすすめです。うちも、さといも入りのカレーを作ってみようかしら?
<図書館の学校・児童書選書委員会>
紙の本犬ぞりの少年
2004/11/02 14:05
北アメリカのロッキー山脈に伝わる話をもとに書かれた少年とそり犬の美しくも悲しい物語です。
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字も大きいし、厚さもうすいのですが、とても感動的でエッセンスがぎゅっとつまっているような本です。
少年ウィリーは10歳です。おじいさんと一緒に住んでいます。おじいさんは農場を持っていて、そこから取れた作物を収穫して出荷して暮らしていました。ところがある日、おじいさんが朝起きてきませんでした。身動きもせず、口もきけないようです。お医者さんに診てもらうと、体はどこもわるくないけれど、ひどい悩みのせいで、動けなくなってしまったのだろうということでした。ジャガイモの収穫の時期でした。ウィリーは、愛犬サーチライトとともにジャガイモの収穫作業やりおえます。おじいさんの悩みは、税金でした。税金をずっと払っていなかったので、まとめて払わなければ農場を取り上げられてしまうのです。ウィリーは考えました。そして賞金をもらおうと犬ぞりレースに挑戦することにします。勝たなければやっとためたお金で払った参加費もむだになってしまうし、農場も手放さなくてはなりません。ウィリーは必死でした。サーチライトはウィリーが生まれた年に飼い始めた犬で10歳です。もう若くはありません。でも、勝つために練習を重ねます。今年のレースには、一度も負けたことの無い、山の巨人といわれる先住民ストーン・フォックスが参加するのです。そして、犬ぞリレースの日がやってきました。
どうなるのかと切ない気持ちになりながらも読み進んでいってしまって、やめられなくなる本です。犬好きの人はサーチライトに心引かれることでしょう。
<図書館の学校・児童書選書委員会>
2004/10/20 13:43
タイムファンタジーだけれど、ある重大な歴史上のできごととかかわっているところが興味深い物語です。
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ジャックという男の子が主人公です。くりかえし同じゆりかごの夢をみるようになったジャックは、町の骨董屋でゆりかごをみつけます。そのゆりかごは、ジャックが夢の中で見たゆりかごと同じものでした。それからは、どうしてもそのゆりかごを家におきたくてたまらなくなります。ジャックの母親のおなかにはあかちゃんがいて、ジャックはもう少ししたらお兄ちゃんです。だから、ゆりかごがほしくなってもおかしくはないのですが、ゆりかごが家におかれるようになってから、不思議なことが起こるようなります。同じゆりかごはあるのに、まるで違う場所の違う時代に移動してしまうのです。
史実と結び付けて、ミステリーっぽくしたててあり、なにがおこるのかとちょっと恐ろしくもあり、切なくもあり、読み手を引き込んでいきます。
こんなこともあったのだなと、興味を持つ人もいることでしょう。マザーグース(ナーサリーライム)の中の「ばらのまわりをおどろうよ」には恐ろしい背景があるとよく解説に書かれていますが、それを知るひとつの手がかりにもなりそうです。物語の形で史実にふれるのも、興味をもつきっかけとしていいことなのではないでしょうか。そう考えて書かれた作品のようです。
<図書館の学校・児童書選書委員会>
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