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  3. どーなつさんのレビュー一覧

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先月(2017年8月)

どーなつさんのレビュー一覧

投稿者:どーなつ

267 件中 1 件~ 15 件を表示

まっすぐに。

2006/09/30 21:03

「家出してくれてありがとう」彼女と母親との間を物語るのに、この言葉ほど最適なものはありません。

21人中、21人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

3男4女の8人家族として青木家がTVに登場したのが、2004年2月にTBS系列で放送された特番。
この家族は今までの数ある「大家族もの」の中でも異色であったため人気をよびました。・・・というのも、子供たちの母親が数年前に家出をしたまま行方不明であるのです。そして家族を支える母親の役目を担っているのが、長女である青木あざみさん17歳。母親が家出した当時、彼女はまだ中学2年生でした。
この作品はそんな彼女が等身大の自分のことをあますことなく語った、まっすぐな気持ちの1冊です。
TVで彼女のことを見て、なんてしっかりした女の子なんだろうな、って感じてました。
妹や弟も彼女に絶大的な信頼をおいていて、しっかりとした家族関係が出来上がっていることも羨ましく感じました。けれど、この1冊を読んで、彼女と妹弟たちとの間が今のような関係になるまでには、いろいろと苦悩があったんだな、と実感。
単純に、若いのに母親代わりをして偉いなぁという感嘆の気持ちだけでなく、この1冊を読むことによって、彼女の人間性の立派さが伝わりました。意外にも勝ち気な性格や、中学校でのちょっと悪ぶった生活など、TVで知ることのできなかった彼女を覗き見することができました。
★★★
青木あざみさんは、生まれてすぐに児童擁護施設に預けられていたそうで、小さい頃は他の妹弟たちと一緒には暮らしていなかったそうです。彼女が生まれた当時、定住家もなかった為に両親はやむなく彼女を施設に預けたのだそうですが、その後次々に妹弟たちが生まれ生活も苦しかったため、なかなか彼女が家へ引き取られることはなかったのだそうです。
そして彼女の口から語られた母親との確執。
幼い心で一生懸命考え、耐え、涙を堪えて。これだけ辛い生活の中で彼女がここまで真っ直ぐに育ったことは、ひとえに彼女の心の強さがあったからこそ、と思えます。
「家出してくれてありがとう」彼女と母親との間を物語るのに、この言葉ほど最適なものはありません。
母親の家出によって、1人だけ孤立していたあざみさんと妹弟たちとの関係も徐々に変化していきました。
正直、切ないな、と思う部分もあるのですが、1番じ〜んとくるのは、彼女と妹弟たちとの絆ではないでしょうか。彼女がシングルマザーになると決意した時、彼女が1番恐れたのは妹弟たちとの関係が崩れてしまうのではないかということ。
けれど、「あざみとさとみ(生まれた子ども)は自分たちが支えていく」という妹弟たちの思いをきいて、心から安堵したようです。私もこの部分は少しウルッときました。
彼女が今まで1人で孤軍奮闘していた様が、妹弟たちにも十分に伝わっていたようです。
確かに17歳での妊娠出産は早すぎるように思えます。そして相手も逃げ腰で結局シングルマザー。けれど、彼女は堕胎することは念頭になかったようです。ただ「産む」ということを強く願っていたそうです。
物語ラストには、彼女の将来設計がしっかりと描かれていました。まだまだ10代、今からでも十分に実現可能なプランです。
子どもを産み、改めて「母親」というものの存在を実感した、あざみさん。憎んできた母親のことを少しづつ許せるようになってきたようです。TVで再開の場面をご覧になった人も多いのでは??
踏まれても踏まれてもまっすぐに育つようにの意味をこめて名づけられた「あざみ」。まさしく彼女はそのとおりの女性に育ったようです。彼女のような娘を持てて、父親としても誇らしいのではないでしょうか。

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紙の本心にナイフをしのばせて

2006/12/26 20:52

この本を読んで、少年法が本当に守っているものが何であるのか、よくわからなくなってしまいました。

11人中、11人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

胸部十二ヶ所、背中七ヶ所、頭部十二ヶ所、顔面十六箇所の計四七ヶ所も刺された上に、首まで切り落とされるという、猟奇的殺人の被害者となった母親が、加害者のA少年に対しての気持ちを問われた時に答えた言葉だった。
「A君だって、あんな事件を起こしたのだから、普通の職業にはつけませんよね。その日暮らしの生活をしているのかと思うとかわいそうな気もします。もしもいい仕事につけて、一生懸命やってるんだったら、A君を傷つけないように、そっとしておいてあげたいですよ」
そして、少年法に守られる形で、無事少年院を出たA少年は、見事に社会復帰していた。
<少年のときに犯した罪により刑に処せられてその執行を受け終わり、又は執行の免除を受けた者は、人の資格に関する法令の適用については、将来に向つて刑の言渡を受けなかったものとみなす>という少年法第六十条のもと、犯罪は「前科」とならず「前歴」とされた。
見事に過去の犯罪歴をリセットされたA少年は、その後、父親の愛人の養子となり氏名を変え、大学に通い、現在弁護士になっている。
事件当時取り交わされた、「七百万円ほどの慰謝料を月二万円づつ三五年にわたって返済する」という約束も守られておらず、払われていたのは最初の二年ほどだという。
約四十万前後の金額が、被害者の命の値段となった。
被害者側の家族としては、お金なんかで息子の命は買えない、ということで受け取る意志も少なかったようだけれど、未だに加害者側からの謝罪もなく、そして約束の慰謝料も払われていない、という現状を考えれば、やはり被害者の命は「四十万円」だった、といわざるをえない。
正直、この本を読んで、少年法が本当に守っているものが何であるのか、よくわからなくなってしまいました。
被害者側の家族は、息子さんが死んでからかなり悲惨な運命を辿ったことが伺えます。母親はショックのあまり数年寝込み、事件前後の記憶を失っており、妹もかなり辛い日々を送ってきたようです。
あんな事件さえなければ、ごく普通の家族のように日々を過ごせていたはずなのに、A少年によって大切な人の命ばかりか、人生までをも狂わされてしまった一家。
謝罪もなければ、慰謝料も払わず、そして被害者側の母親が送った手紙にも返事を返すことのない、A少年(現在は少年ではないけど)
きっと加害者側には加害者側の言い分があるのだろうと思う。
だけれど、やはり、この本を読む限りだと、加害者側に「謝罪」だったり「罪悪感」だったりという気持ちが皆無なように思えてならない。
突き詰めれば、少年院を出た時点で本当に「更生」したのかも疑問です。
三十年以上前だとはいえ、事故や正当防衛で相手を殺めてしまったのではなく、全身四七ヶ所を刺して、最後に首を切り落として同級生を殺した人間が、今、法に擁護されて弁護士である。
被害者側の立場から考えれば、理不尽さや憤りを感じずにはいられません。

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メディアで伝え聞いた全貌とまた違った真実がここにはありました。

10人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

1999年4月20日、アメリカのコロラド州リトルトンのコロンバイン高校で、ハイスクールシューティングが起きた。
188発の弾丸を乱射し13名を殺害した、コロラド州・コロンバイン高校のエリックとディラン。
あの「アメリカ学校史上最悪の1日」のすべてを、今、“生き残った”クラスメイトが綴る。

著者のブルックス・ブラウンは、2人の犯人のうちの1人、ディランとは幼いころからの友人でした。そして、もう1人の犯人エリックとも顔見知りで、いろいろと衝突はあったものの友人といえる存在でした。
その2人が突然学校を襲い、自殺したその現実。
ブルックスにとっては受け入れがたいものがあったのではないでしょうか。けれど、それは全く予期しないものだったのでしょうか。彼を含め、周りの人間、そして警察も未然に防ぐことはできなかったのでしょうか。
物語の最初の方に、ブルックスはこの作品についてこう書いてます。

・これはあの乱射事件の前にもエリック・ハリスに殺すと脅され、恐怖のなかで生きているという物語。

・またこれは「事前にぼくが知らせていた情報を警察が無視しなければあの殺戮を防げたかもしれない」と言ったら、その警察から容疑者のレッテルを貼られるという物語。

・これは、いったん捜査が始まってしまえば、警察から返事を得るのは困難だと思い知り、あの日についての嘘が次々と現れるのを見るという物語。

・そして何より、一緒に少年時代をすごしてどんなやつか知っているはずだった友達が、後にぼくには想像もできない何者かになるのを見てしまうという物語。

まさしくいろんな局面からこの事件の全貌を見ることができるのです。
普通、こういった手記やノンフイクションは、たいがい犯人ないし、被害者の両親、もしくは、専門のライターによって書かれるものが多いです。けれど、これは加害者の側にいて、彼らの人となりをよく知っている友人によって書かれたという点が非常に興味深かったです。

著者は事件が起こる寸前、エリックと駐車場で出会っています。そのとき、エリックは著者のことが好きだから、この場から早く去るように、と言います。その後にエリックはディランと合流して事件を起こすにいたったのです。
警察はブルックスも犯人の一味だといい、それがメディアを通じて流れ、彼と彼の両親はただいなる苦痛を味わうことになりました。もちろん何の証拠もなしに。彼らがブルックスを犯人だと主張する1つは、卒業写真でとる悪ふざけバージョンで、犯人の2人とともにカメラに向かって銃を構えるしぐさをしている写真があったことです。
けれど、警察は以前にブルックスがエリックによって夜も眠れないほどの恐怖を味わい、何度も警察に通報し、自体を把握するようにとの要請を出したことには一切触れていません。
外で人の声がすれば、父親や弟とともに外のしげみからソッと外の様子を伺うにいたった経緯を発表しません。
このとき、すでにエリックたちは爆発物を作ったりしていたのですが、ブルックスの通報があったにも関わらずエリックの家に立ち入り調査を一切行っていません。
もしも、このとき、警察が最善の対処をしていたならば、エリックの部屋にある危険な兆候を読み取り、即座に警告を出せたかもしれません。
この作品を読んで、警察のあまりにもお粗末な対応にあきれ返ってしまいます。自分達の保身と権威に力を注ぐそのエネルギーの数%でもブルックスたちの話に耳を傾けていたならば、事態は変わっていたかもしれません。
これは警察だけに言えることではなく、コロンバインの学校の教師たちにも言えることです。
「私達の学校にイジメはありません」などという夢物語は、クチが裂けてもいってもらいたくはないし、言わせてはいけないのです。
この事件に興味をもたれていたかたは、一度読んでみても損はないでしょう。メディアで伝え聞いた全貌とまた違った真実がここにはありました。

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紙の本トライアングル

2009/01/20 00:25

新津さんお得意の女のドロドロとした心情描写はなりを潜めているものの、ミステリーとして読む分にはおもしろい。

10人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

江口洋介、広末涼子、相武紗季、稲垣吾郎、谷原章介……豪華メンバーで放送が始まった新ドラマ「トライアングル」の原作本です。
ちょうど私もドラマを見ているので、広末さん演じる「サチ」の謎が多すぎるキャラクターに早く決着を見たいと原作を読んでみました。
ドラマと原作では多少キャラクターの肉付けが異なっているようです。
吾郎ちゃんのキャラはでてきませんし、堺雅人演じる「謎の男」も存在しません。
連続ドラマとして放送するには多少物語にエピソードを加える必要があるな、と思います。
単純に原作通りに作っていけば、2時間ドラマで終わりそうな量です。

私の印象で「女の醜態を描かせればピカ一」の新津きよみさんが、女の内面を毒々しく描いたものではなく、純粋なミステリーとしてこのような作品を描いたのは驚きでした。
しかもドラマ化だなんて。
角川ホラーやハルキホラーの新津さんしか知らなかったのでこういう作品もおもしろいんだな、と新たな発見。 

物語は小学校4年生で不慮の死を遂げた「葛城佐智恵」という1人の少女を巡ってのものであり、彼女の死に責任を感じ、それがキッカケで刑事となった郷田雄一と、当時クラス担任だった花井という女性の2人を視点として描かれていきます。
死んだと思った「葛城佐智恵」が生きていた?
同窓会に姿を現した「葛城サチ」、彼女の正体は一体誰なのか・・・。
徐々に、徐々に、綴じられていた手紙が開かれていくようです。
1人の少女の死がとてつもなく多くの人に影響を与え、心に傷を残しているのです。 
微妙に原作とは違うストーリーに進んでいるドラマ。結末が原作と同じなのか、また違ったものになるのかは分かりませんが、できればまた原作と違った結末を用意してくれたらな、と期待してます。

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紙の本夜市

2009/09/20 00:24

そんな世界など存在しないのに、真っ暗な闇の中にポツポツと灯りが見え、露天が見え、怖いのだけれど何かワクワクして、不思議で、そんな夜市が目の前に迫ってきました。

10人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

日本ホラー小説大賞受賞作の過去のライナップを見てみると、意識してなかったけれど、長編賞とか佳作とか短編賞とかそういったものも含めて、わりと読んでいました。
第1回受賞の坂東眞砂子の「蟲」も第2回の瀬名の「パラサイト・イヴ」もその後の作品もだいたいは読んできています。
だからなのか、第12回大賞受賞の今作「夜市」はなんとなく今までとちょっと違った雰囲気だな、って気がします。
もちろんホラーなのですが、どう言えばいいのか、ぞぞぞぞ、とくるホラーではなくて、静かな流れの中で淡々と語られ、どこか切なくなるような、ホロリとくるような、なんともいえない読後感でした。
そういう意味での類似作だと、第8回短編賞受賞の吉永達彦氏の「古川」に通ずるところがあるかもしれません。
何にせよ今までの受賞作品の中で(読んだ中で)一番好きな作品です。

本の書評(ハードカバー版)でも、選考委員である林真理子氏、高橋克彦氏、荒俣宏氏が太鼓判を押す作品でもあります。
特に表題作の夜市。学校蝙蝠が開催を告げる何とも不思議な市場で、裕司は過去に売ってしまった弟を買い戻そうと友人のいずみと夜市に足を踏み入れのですが、そこで予想もしない世界とラストが待っていました。
そんな世界など存在しないのに、真っ暗な闇の中にポツポツと灯りが見え、露天が見え、怖いのだけれど何かワクワクして、不思議で、そんな夜市が目の前に迫ってきました。
書評でも荒俣氏が絵が浮かんでくる、と言っておられますが、そのとおりの作品です。
読んでいるうちに、知らずに映像が浮かんでくる描写の巧みさは素晴らしいの一言。
同時収録の「風の古道」もまた「夜市」にひけをとらない作品です。かなりクオリティーの高い受賞作であると感じています。
この作者のこれから出していく作品には当然これ以上の傑作を期待してしまうのですが、どうかその期待が間違いでなかったと確信できるような作品を発表し続けてほしいと思います^^

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紙の本模倣の殺意

2009/05/16 00:35

「じっくり腰を据えて読みすすんでいくと、やがて、どうみても中町氏の書き誤りではないかと考えざるを得ない結論に到達するのだが、ラストでそれが作者の仕掛けワナだったことを知らされる。その驚きは圧巻だ。(以下略)/鮎川哲也」

10人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

坂井正夫という新進作家が死亡したことにより、その死因を探ろうと編集者である中田秋子と、ルポライターである津久見伸助がそれぞれ独自に調査をはじめる。
物語は2人の視点を交互に描いた2部構成という形式で進み、最終章の「第4部 真相」の扉で、読者への挑戦状が挟まっています。
本の裏表紙で鮎川氏のコメントが添えられていて、かなりこの作品に期待をもって読み進めました。

「じっくり腰を据えて読みすすんでいくと、やがて、どうみても中町氏の書き誤りではないかと考えざるを得ない結論に到達するのだが、ラストでそれが作者の仕掛けワナだったことを知らされる。
その驚きは圧巻だ。近頃、これほど意外性に工夫をこらした作品は珍しい。ある意味で、私はクリスティの初期のある傑作を思いうかべ、読み終えてしばし呆然としたのである。/鮎川哲也」

私は見事に著者の叙述トリックにはまってしまいました。
古典といえば古典トリックなのですが、なんと驚くことにこの本の初版が昭和46年なのです。
その当時から思えば決して古典トリックとはいえないでしょう。
もともとこの作品は「そして死が訪れる」と題して第17回江戸川乱歩賞の最終候補に残り、その後「模倣の殺人」と題して雑誌「推理」(現在の「小説推理」)に短期連載され、その後「新人賞殺人事件」で双葉から単行本。
そして「新人文学賞殺人事件」として文庫化され、最終的に2004年に創元から現在のタイトル「模倣の殺人」として発売されたようです。
発売当初はプロローグともくじのところからトリックが分かるような仕掛けらしかったのですが、現在ではそうすると謎を解いてしまう人がたくさんいるかも、ということで残念ながらヒントの提示はされていないようです。

鮎川氏がクリスティの初期作品を思い起こしたように、私もあとがきを読み、これが昭和46年の作品であることを知った時、鮎川氏の連想の意味が理解できました。
昭和時代でこれほど上質のミステリーを書いた人なのに、私はあまりこの作家さんを知りません。というか創元で文庫化されていたので初めて手にとって、裏表紙の鮎川氏のコメントで読む気になったというレベルの認知度です。
デビュー作がこの作品であるので、他の作品にももしかしたら期待が持てるかもしれないな、ってことで、過去作品を集めたい作家さんになりました。

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紙の本王家の紋章 1

2005/05/29 12:11

これぞ少女マンガの王道。読めば「馬ひけぇ〜」と叫びだしたくなるかも?

9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

●正直いって、今風の絵になれている私としては、かなりとっつきにくい画風ではあります。
だけど、読んでいくうちに、この物語はこの絵じゃないとダメ、そう思わせられる魔力が出まくりです。 ●主人公は現代に生きる金髪の髪をしたキャロルという女の子。(このマンガ自体が始まったのがかなり昔になるので、現代ッコというニュアンスは当てはまらないかもしれませんが)
とある事から、古代エジプトにタイムスリップしてしまい、そこでメンフィストいう若きエジプト王と恋に落ちる。
●内容としては実にベタです。
外国人なら大概が持っている金髪が、古代では珍しがられ、キャロルはあれよあれよと時の人。ナイルの賜物だとまで豪語されます。
単行本自体は脅威の50巻に到達する勢いです。
その間、ずっとメンフィスとキャロルの恋物語なのかと言えば、そうでもなくて、最初は強引なメンフィスが好きになれなかったのキャロルですが、確か12巻あたりで、二人ははやばやと両思いとなり、結婚します。
●じゃあ、そこから残り40巻近くはどういった話なんだといわれると、単純にキャロルを欲しがる男達の愛蔵劇ですかね。
現代の知識を持つ彼女は、例えば水のろ過の仕方だとか古代では考えられない知識を披露しています。
それがますます彼女を神格化し、ぜひ妃に迎えたいという野心家がたくさん。
その中でも素敵なのはイズミル王子ですね。
メンフィストを並んでも見劣りしない美青年。
彼女を奪う争いと絡み合うように、国同士の攻防戦も混じり、壮大な歴史マンガに仕上がっています。
大概キャロルがさらわれて、メンフィスが決死の覚悟で助けにいって、最後は「愛いやつめ」で終わるんですけど……。
●曲者キャラもたくさんでてきます。
特にメンフィスの姉であるアイシス。ちょっとクレオパトラを連想させる妖気を放つ彼女は、メンフィスに恋をしている。
元はといえば彼女がキャロルを呼び寄せたのですが、メンフィスがキャロルに入れ込みだすと、あの手この手で排除しようと目論見ます。
そして、もっと別の意味で怖いのがカプター大神官。
彼なんか、出た当時はただの怪しいハゲ親父だったのに、美しいものを見すぎたせいか、目の輝きが増していて見てられない。
男でその目は反則だ、と言いたいくらい少女マンガチック。
どうも苦手なキャラです。
●単行本で集めるのもいいですが、今少しづつ文庫版が発売されてるので、値段や収納場所を考えるとこっちをオススメします。
とりあえず、早く結末が見たいです。
これだけひっぱって未完のまま終わられては困ります。
それだけが心配。

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日本の刑務所じゃ絶対考えられないいい加減なシステム。

8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

高校卒業後、OL生活をへて、21歳の時にNYに渡り、ロシアンマフィアの男性と恋人関係になったため、麻薬密売組織への関与を疑われ、24歳から2年間にわたってコネティカット州の連邦女子刑務所に収容された著者が書いた、獄中日記。
●●●
著者のトモミは、NYで知り合った日本人男性と恋人関係にあったにも関わらず、カラオケの店で知り合った外国人に次第に心惹かれていく。
プレゼント攻撃、電話攻め、お姫様のような扱い。
彼の職業が麻薬ディーラーだと聞かされた時には、トモミは完全に彼のことを好きになってしまっていた。
恋人がマフィアだと知っていながら関係を続けたトモミ。ある日、FBIによって麻薬密売の関与を疑われ逮捕されることになる。
いくら無実を訴えても無駄だった。トモミの不利になる証拠ばかりが出てきて、もはや罪を認めて司法取引をして罪を軽減してもらう方法しかない、と弁護士に通告された。
しばらく考えたトモミが出した決断は、罪は認めるけれども、司法取引はしない、ということだった。
直接麻薬取引に関わってはいないものの、彼が麻薬ディーラーだと知った上で交際していたこと。トモミはそれを罪だと割り切り、刑を受け入れることにしたのです。
彼女の強さは司法取引を受け入れなかったということ。例え裏切られていようと、彼を売ってまで自分は助かりたくない。誰かを犠牲にしたくない。そういう思いがあったようです。
そして、彼女は連邦女子刑務所に2年間収容されることになります。
この手記で記してある刑務所は、私がイメージしていたものと若干違っていました。なんかもっと陰湿でイジメが蔓延していて、人種差別とかが凄そうだな、という感じだったのですが、意外と自由なのですね。
もちろんイジメも差別も、流血沙汰のケンカも、レズビアンもありますが、トモミに関して言えば、なんとかそれらの脅威にさらされることなく、刑務所生活を乗り切った運があります。(まぁ何度かやばい時もありましたが)
考えれば刑務所に入ってる人皆が皆、凶悪犯ってわけではないですからね。
NY時代に知り合った韓国人の少女も同時期くらいに収容されていて、トモミの親友となります。
彼女の存在が、トモミの中でとても大きな強みになったのだと思います。
刑務所の中では自分の口座があり、コンビニがあり、そこではお菓子や化粧品なども買えたりします。写真を撮ったりもできます。電子レンジがあって、そこで料理もできます。
著者も書いていますが、刑務所内のシステムが結構、いや、かなりいい加減だったようです。
監視する側も最初からトモミを適当に扱って、後々に知るとそれは違反だとすることが数多くあるようです。だから彼女の収容された場所がたまたまラッキーなことに自由が利いた場所だったのか、それとも連邦女子刑務所というところが、だいたいどれもこんな感じなのかは調べようがありませんが、抱いたイメージでいうと、1つのタウンだな、という感じです。
多少粗野な人がいますが、刑務所の中ですから銃を所持することもできません。だから常に周りに気をつけていなくてはならないスラム街での生活より、ここでの生活の方が多少なりとも安全なのでは?という感想を持ちました。もちろん、いい面だけではなく、悪い面なんて数え切れないほどありますから、やっぱシャバの方がいいに決まってますけれど。
彼女の前向きな性格が良かったのか、2年間の服役を意外に楽しんで乗り切ったようです。
楽しんで、という言葉は不適切かもしれませんが、著者自身がそう記していますし、確かに罪の意識をもっていない立場としたら、許しをこうよりも、なんとか刑務所での生活を乗り切る方を最優先に考えますよね。
とにかく、いろいろと考えさせられる事の多い1冊でした。

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紙の本ハナシがちがう!

2009/02/03 23:47

小説を読んでいると、ひょっとして作者はこのシーンを描きたくてこの小説を書いたんじゃないかな?と思う瞬間があるのですが、私が感じたその1つは、梅寿師匠と竜二のケンカシーンでした。

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

万引きはやるし、ケンカもする、しょっちゅう警察のご厄介になっている金髪トサカ頭の不良少年・竜二が、上方落語の大看板・笑酔亭梅寿のもとに無理やり弟子入りさせられることになります。
大酒のみで手が早く、口がものすごぉ~く悪い梅寿師匠。時々理不尽な言葉を投げつけたり、ほんまにやる気あんのかいな?と首を傾げてしまう場面もたくさん。
ひょっとして何も考えてないようで、裏ではすごいことを考えてたりするのかな、と思いきや、本当に何も考えてなかっただけだったり。

小説を読んでいると、ひょっとして作者はこのシーンを描きたくてこの小説を書いたんじゃないかな?と思う瞬間があるのですが、私が感じたその1つは、梅寿師匠と竜二のケンカシーンでした。(もちろん、本当は落語の部分を書きたかったのでしょうけどね)
とにかくスゴイ。「んなアホな!」と思ってしまえる恐ろしい場面がたくさん。これを映像化したら、俳優さんは何針縫うハメになるんだ?と心配してしまうほど、竜二はとんでもない目にあってます。(とんでもない目にあうのは彼だけではないのですがね)
漫才師よりも、師匠のドツキの方が神がかり的ではないのか、と思えてしまう。
だけど、読んでてこの二人のケンカシーンにとても人情味を感じるんですよね。理不尽なことで怒られたり、いつも被害を被って「このクソジジイ、殺したんぞ」と心の中で思っていても、最終的に行き着く先は師匠と弟子という確かな信頼関係なんですよね。
どうしようもない師匠だけど、彼の中に学ぶべきところはたくさんあって(それが酔いのせいで隠れてしまってる^^)
師匠からしても、今までの落語家になかった金髪ヘアーに口答えをたくさんする小憎らしいガキである竜二が、実はとても可愛かったりする。可愛いって言い方は語弊があるかもしれませんが、大切な自分の弟子として一人前の人間としてみているフシがあります。
落語家としてはまだまだ駆け出しであるけれど、この竜二が梅寿の元でしごかれるというのは、ある意味運命だったのかも。なんか出会うべくして出会った二人、って感じがします。
落語に興味のない人でも、ミステリー要素が交えてあるので、全然難しくなく、むしろテンポよく読めるので安心して楽しめる作品だと思います。

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紙の本運命の書 上

2008/03/10 22:35

まさしく寝る間も惜しい、息もつかせぬエンターテイメント小説でした。

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

<六分後、ひとりが死ぬ。それがわれわれの運命だ。そうなることは誰も知らなかった>
冒頭の1行から読者をぐいぐいと引き込んでいくこの作品、『ダ・ヴィンチ・コード』の翻訳者によって翻訳された作品であり、この作品の辿ってきた経歴は文句なしの5つ★級。
「ニューヨーク・タイムズ」ベストセラー第1位!
「パブリッシャーズ・ウィークリー」ベストセラー第1位!
「ウォール・ストリート・ジャーナル」ベストセラー第2位!
全世界で200万部を突破し、トドメは<ジョージ・H・W・ブッシュ元大統領も夢中になった面白さ!>なのです。これでおもしろくないはずがないでしょう、という感じで太鼓判を押された思いで読み始めました。

物語は米国大統領を暗殺しようとした銃撃事件の六分前から始まります。運悪く六分後に命を落とすことになったのは次席補佐官であり、もう一人流れ弾によって一命は取り留めたものの顔に大きな傷をおった若き下級補佐官もいました。主人公はこの若き補佐官 ウェス・ホロウェイ の視点から描かれます。
この事件で心にも顔にもぬぐいきれない傷をおったウェスは、八年後、撃たれて死んだはずの次席補佐官の姿を目撃してしまうことになります。
彼が死んだのは自分が予定にない行動をとって、彼を大統領の車に乗せたせいだと自責の念に駆られていたので、彼が生きているかもしれない、という信じられない出来事の真実を探ろうとするのですが、その結果、彼も命を狙われることになるのです。

ちょうど今、現実の世界でも米大統領の存在はものすごく身近に感じられることだろうと思います。ヒラリーVSオバマの大統領選は本国だけでなく、海を越えて我が日本でも大々的にNEWSで取り上げられています。
それに今の時期を意図してなのかどうか分かりませんが、大統領暗殺を題材にした「バンテージポイント」という映画も公開されました。そして1月末には本書「運命の書」が日本で刊行されました。
この作品は、まさしく今の時期に読むべきなのだと思います。

主人公ウェスはあの事件以来、大統領選に破れ大統領の座を退いたマニングの側に仕えています。訳者もあとがきで書いていますが、退職後の大統領とその側近の日常を描いた小説はなかなかないのではないかと思います。
ホワイトハウスやフリーメイソン、大統領の日常も詳細に描かれているのですが、私は何より、退職後の大統領の心情、それがよく描かれているな、と感じたのです。リアルなほどに。
一度頂点に立ったものは、その場を退いた後にくる虚無感と戦わなければならない。あの大国の前大統領が見せるちょっとした見栄や威厳が違和感なく自然に描かれているのに感心しました。
それも読了後に著者の謝辞の部分を読んで納得できました。

【本書の世界の探求は、ジョージ・H・W・ブッシュ元大統領とミセス・バーバラ・ブッシュ、ビル・クリントン前大統領の助けがなければ、とうてい不可能だったに違いない】

実際に大統領になったものしか分からない心情を著者は直接聞くことができたのでしょう。
だからこの作品がよりリアルに、そして深く、緊迫感を増した作品に仕上がったのだと思います。

ウェスが窮地を脱するただ一つの安全な道は真相を突き止めてその中に身を包むこと、です。
時に、味方と敵の区別がつかなくなり、時に命の危険に晒され、時に仲間を信じられなくなり、ウェスがあの事件で失ったものははかりしれません。それはウェスを含めてあの事件に関係した多くの人に言えることでしょう。
けれど、そこから再び立ち上がり、新しい自分と向き合う決心が出来たとき、ウェスの側に残ったものは本当にかけがえのない大切なものなんだな、と実感できました。

まさしく寝る間も惜しい、息もつかせぬエンターテイメント小説でした。

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紙の本女系家族 上巻

2006/12/02 11:01

この作品で描かれているのは、「世間体」というバリアを解きはらい、「家族の情」というお涙を拭い去り、心の赴くまま「欲」と「本能」に身を任せた人間の姿である。

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四代続いた老舗の木綿問屋、矢島家の当主矢島嘉吉が亡くなったことで、三人娘がその遺産を受け継ぐことになる。
代々家付き娘として、婿養子をとる家系でありながら、一旦は家を離れ他所へ嫁いだものの、すぐに出戻ってきた長女藤代。
長女に代わり、婿養子である良吉と共に矢島商店を支えてきた次女千寿。
閉鎖的な家から早く逃げ出したいと願っている末娘雛子。
この三姉妹が莫大な遺産を巡って骨肉の争いを繰広げることになる。
遺産をいい按配に三等分することも困難であるのに、そこへ嘉吉の愛人であった文乃という女性の存在が浮上し、しかもその女は嘉吉の子を身ごもっているという。
どんどん混迷化していく遺産問題。
この作品の中に「ピュア」や「真心」は、存在しないのか?と問いただしたくなるくらいの悲惨な人間模様。
登場人物全てが、腹に一癖も二癖も抱え込んでいるものばかり。
三姉妹は当然のことながら、少しでも損をしないようにお互いを監視し合っている。
日陰の女ということで一見しおらしく見える文乃も、何かただならぬ気配を感じる。
そして皆を取りまとめる番頭の宇一は、長年培ってきた人間関係で、うまく裏金を作り上手に渡り歩いている。今回の遺産相続でも抜け目を見つけては、たらふく横領してやろうと目論んでいる。
末娘の雛子の物欲のなさに母心を抱いて何かと世話を焼いている叔母も、次女という身分で分家を構えさせられ矢島家を追い出された恨みを抱いており、なんとか雛子を養女として迎え入れ、彼女の持参金をせしめようと考えている。
藤代のよき相談相手でもある踊りの師匠。この若旦那も、甘いマスクのわりに計算高く、抜け目がない。
とにかく、全ての人間が「金」の為に動いているといってもいい。
さっきも言ったように「ピュア」や「真心」はこの物語の中では一切排除。むしろ、「金」に対するあくなき探求心が、この物語の中の「ピュア」にあたるのではないだろうか。
一途に「金」の為に動き回る登場人物。あちらこちらで、罠をはり、時にはかけたはずの罠に逆にかかっていたりする。
この作品で描かれているのは、「世間体」というバリアを解きはらい、「家族の情」というお涙を拭い去り、心の赴くまま「欲」と「本能」に身を任せた人間の姿である。
大抵の人間がこういう姿をさらせば、ひどく醜く映ってみえる。(例えば某有名なお相撲さんの兄弟の遺産相続争いなんかがいい例ですよね)
だけど、この作品の中においては、この「醜さ」が非常に魅力的なのである。
藤乃が、箪笥の中を勝手に開けていた次女千寿に対し、一切自分のものを触るなという証文を書かせるところなんて、冷酷すぎて怖いのと同時に、やはり魅力的だと感じる。
普通の神経ではできない、残酷さが、とても美しく映ってみえる。
この遺産相続争いが、最後はどういう終焉を迎えるのか、最後の最後まで気が抜けませんでした。
そして、期待を裏切らない幕切れであったことは間違いないでしょう。
最後の瞬間まで、してやられた、という心境。悪は滅びると申しますが、この作品の中で「悪」は誰だったのでしょうね。

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ペットブームの裏側。華やかな面に隠された、誰も知らないペット業界の真実。

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今や空前のペットブーム。
外で飼うはずの大型犬がのろのろと家の中を歩き回っている、なんてことはざらにある。
道を歩いていて、犬に遭わぬ日はない、というくらい街にペットがあふれかえっている。
お洋服を着せてもらったり、オスなのにピンクのリボンがついてたり、ツメにマニュキュアを塗ったり、ペットにしたら迷惑かもしれないけれど、見てる側としたら微笑ましいのですよね。
ぶくぶくに太った犬や、やたら吠えまくる犬。遊びに出たらなかなか帰ってこない猫。こたつから出たがらない猫。
さまざまなペットたちが、多くの家で幸せに暮らしている。
だけど、これは私達が目にする表面の部分にしかすぎない。
考えた事があるだろうか。
一日にどれだけの数の動物が日々死んでいくか。どれだけの数のペットが捨てられているか。どれだけの数のペットが動物実験の脅威にさらされているか。どれだけの数のペットが虐待にあい助けを求めているか。
数字を挙げる事も怖い程の数です。
可愛いから、TVで見たのと同じ犬種が欲しい、ヒマだから飼ってみた。
安易な気持ちで飼ってしまうと、後で面倒が見れずに結局は犬を捨ててしまうという行為に繋がります。
貰い手を探したりするのなら、まだいい。だけど、面倒くさいから森にでも放そう。そう考える人もいるかもしれない。
森ならなんとか生き延びるから、なんて考えは大間違いなのだそうだ。
小さな犬や猫は、カラスの格好のエサになってしまう。
そして、安楽死。安楽、と名がつくのだから、楽に死ねるのだろう、という考えも改めて欲しい。二酸化炭素を吸わされた犬はすぐには死なず30分近くもがき苦しむ場合もある。
死を覚悟しても尚、途切れる事のない生への執着。その時、犬はどれほど恐ろしい思いをするだろうか。
ガラスケースに飾られて、観衆の目を和ませるペットショップの動物。
あの動物たちは皆がみな、素敵な飼い主とめぐり合えるわけではない。
当然、売れ残りも出てくる。
売れ残ったペットたちがどうなるかということも、多くの人は考えた事がないだろう。
正直、この本はペットを飼っている人にとったら、残酷なものなのかもしれない。もちろん全てが全て胸の痛くなるような話ではなく、心温まる談義もある。
だけど、私は多くの人にこの本を手にとってほしいと思ってます。
ペットを飼っている人、これからペットを飼おうと思っている人。もちろんそれ以外の人にも、ペットブームの裏側に隠された、悲しい現実を知って欲しいと思う。
今、あなたの手元にいて穏やかに眠っているペットたちはきっと幸せなのだろう。
あなたという飼い主に出会えたのだろうから。
実際、私は犬を飼っていますが、犬に知識があるということを知りました。飼うまでは、ただ日々を過ごすだけの生き物、という認識があったのですが、共に生活するに連れ、人間の言葉を話さないだけで、小さい子供の知識レベルには達しているのだと、感じています。
その知識をもった存在が、突然飼い主さんに見捨てられたらどうなるだろう。
それでも犬は、飼い主さんを慕っているのかもしれない。従順、という言葉は、時に残酷だと思う。
少しでも処分されたり、動物実験に使われたり、悲しい運命を辿る動物たちが少なくなるように、私達の知識から改めていかなければならないのではないでしょうか。

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紙の本おしいれのぼうけん

2005/05/11 14:06

押入れの中にいてほしいのは、ねずみ婆さんでなく、可愛いドラえもんである

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未だに忘れる事の出来ない本。
幼児の時は、周りに多数の本が散乱していたが、鼻水たらした保育園生活を堪能していた時、一番印象に残ってる本って聞かれたら、コレしかない。
幼稚園以降で思い入れのある本は多数ありますが、保育園の時の本の記憶といったらコレしかないのです。
それくらい強烈な印象を叩きつけてくれた作品でした。
(あらすじは……)
さくら保育園で悪い事をした子がいれられる場所。
それが「押入れ」。
ケンカが原因で、さとしとあきらが入れられることになるのですが、そこはただの押入れじゃなくて、不思議な場所に繋がっていたのです。
っていうのが大筋。
これだけだと、ワクワクする冒険談なんですけど、押入れの中で登場する「ねずみばあさん」っていう、ゲームでいうところのラスボスが、超怖いんです。
さとしとあきらは必死にこの婆さんから逃げ回るのです。
当時、結構ビビリだった私は、お話の時間にこれを読むと聞くと、それだけで失神しそうでした。
この本は、悪ガキを一発で大人しくさせてしまう魔法のアイテム的存在でもあったように思えます。
「悪いことしたら押し入れにいれるよ!」
なんて、先生が言うと、一瞬にして皆が大人しくなります。悪ガキには効果てき面な言葉ですが、私のように罪もないヘタレ幼児には、かなりの衝撃でもありました。
しかも、うちの保育園には本当に押入れがあって、あんまり酷い奴とかは本当に押入れにいれられてました。
「助けて、ねずみばあさんが来る」
中で泣き叫ぶ子供の声。
それだけで、身の毛がよだつ思いでした。
実際は存在しないねずみばあさんですけれど、幼児の純な瞳で見れば、押入れの中に、未知の世界が広がっていたのかもしれません。
教育本としてもそうですが、大人が読んでも楽しめます。ただ、やたら滅多ら脅しの道具として使用するのは控えた方がいいかもしれませんね。
ご両親でしたら、子供さんの性格も十分理解しているようですから、「ねずみばあさん」と聞いて、急に萎縮してしまうくらいびびってしまうのは、子供にとって逆効果だと思いますしね★
とにもかくにも、保育園の頃の私にとって押入れのとは「ねずみばあさん」の住む闇の世界であり、悪い事をするといれられてしまう、禁断の場所でありました。
現代の子だと、TVアニメとか見まくってる子が多いから、押入れって聞くと「ドラえもん」の寝てる場所、って連想の方が多いのかも。
私もそういう発想が出来てたら、「押入れ」っていわれてもビビラなかっただろうな。
怖いねずみばあさんより、可愛いドラえもんがいれば百人馬力。
四次元ポケットから「空気砲」くらい出してくれるだろうし。
あ……ドラえもんってネズミだめなんでしたっけ?

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マイケル・サンデル『これからの「正義」の話をしよう』で話題沸騰の「オメラスから歩み去る人々」収録(帯より)

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マイケル・サンデル『これからの「正義」の話をしよう』で話題沸騰の「オメラスから歩み去る人々」収録(帯より)


今や有名となったサンデルの本で言及されている「オメラスから歩み去る人々」が短編集の最初にきて、これで読者をつかむスタートとなりました。

SFは普段あまり読まないジャンルですが、印象として全体的にSFなんだけど最後がホラーっぽかったりってのも多くて、どれも質の良い作品ばかりでした。後味がずっと残る、作品が多いです。

なんでも食してしまう「ひる」という作品。これも最初はこんな生物がいるんだなぁ、という呑気な感じから、あの結末のおそろいしいこと。想像するだに怖い。その後を想像したくない。

表題作の「きょうも上天気」は傑作。さすが表題なだけあり、過去に何度も映像化されてる模様。不思議な力を持つわずか3歳のアントニー坊やに、両親や村人たちが日々怯えて暮らさなければならないというもの。最後にこの村の全貌が見えるんだけど、これもまたホラーチックなのと絶望感とで一級品。ちょっと思い出したのが、最近読んだトマス・トライオンの「悪を呼ぶ少年 」。アントニーが大きくなったら、こういう道を辿るのかもね。

「時は金」はタイムトラベルもの。時代を超えて1人の男がわずかな金を最後には国家をも揺るがす大金にしてしまうというものだけれど、そのお金の使い道や目的というのが、またまた皮肉だなぁ、と思わせられる。

「明日も明日もその明日も」は誰もが願う不老不死が題材。実際に人がなかなか死なない時代になったらどうなるってもののいい教訓。


これらの作品の他にもいろんな味付けの作品が収録されていて、SF初心者にはとっつきやすい1冊でしょうね。もともとこの作品ってのがSF傑作選の前に、2010年2月にこの世を去った翻訳者である浅倉久志氏を偲ぶという目的があるらしく、巻末には浅倉氏のことがいろいろと書いてあるので、この翻訳者のファンだ、という人にもまた貴重な1冊となるであろうことは想像できる。

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紙の本白い犬とワルツを

2009/06/02 00:07

不思議な犬がお爺さんの人生に彩りを与えます

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人は生きている以上絶対に大人になってしまい、生きている以上年をとってしまい、生きている以上悲しいことに死を受け入れる必要がある。
連れ添った相手に先に死なれた後の孤独は、実に辛いものだと思います。

妻が死んで哀しみにくれるサムの元に現れた1匹の犬。
時には人を怖がり雲隠れ、時には飛び跳ねるように道を走り、時にはサムと一緒にワルツなんかも踊ってしまう。
そんな不思議な犬がお爺さんの人生に彩りを与えるのです。
自分も犬を飼ってる身として、お爺さんが犬に惹かれる気持ちも分かります。
すごく心温まる作品でしたし、犬の残した足跡も素敵でした。

ボロボロ涙がこぼれる、というものではなく、気づけば目が潤んでいた、という表現がしっくりくるような、
柔らかくて暖かい物語だったと思います。
読了後に「読んでよかった」と思える本との出会いは大切だと思います。

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