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    5つ星のうち 4.0 レビュー詳細を見る

ドアの天国さんのレビュー一覧

投稿者:ドアの天国

1 件中 1 件~ 1 件を表示

あなたの健康を損ないます。

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 私たちは、次の主張をこの数年よく聞いてきたのではないでしょうか。
「人間は数万年前の環境に適応しているので、その当時と近い生活をしなければ身体には不調が起こる。もしくは、人間は現代の生活様式に適応できるかどうかは遺伝的に試されてこなかったのだから、現代の生活様式によって不調を起こす遺伝子はいまだ淘汰されず残っている。」

本書は上の進化論による主張を、母性保護を旨とする疫学者の立場から、フィールドワーク経験を元に訴えるものであると言えます。
すなわち、母性を核にした身体性をおろそかにする社会に唆され、なんにもしないでいると、体の調子が悪くなっちゃうよ。と著者は言うのです。
この本の特徴は、お姉さんの立場から後輩たちにするぶっちゃけ話的語り口だと思うのですが、著者は断言します。
子供を持つか選べるのは今のうちだけなのよ。
世の中なんかどうせ変わらないんだから(『変わってほしいものです』という述べられ方ですが)最終判断者であるあんたが、妥協してでも状況を動かさないといけないの。(男性はお説教の対象にはなっていません)
非常にもっともな内容です。曖昧なのに明快な論理展開に説得されてしまいます。しかし私は、そこに近年警戒されている健康ファシズムを感じるのです。
うまく説明できないので、たとえ話をします。
ここに、二人の人物がいるとします。

 A氏:末期がんの男。
 B氏:A氏の友人。健康体。
B氏がA氏の病室に見舞いに来ます。
「具合はどうだい。肺ガンは苦しいだろう」
「良くはないね」
「それもこれも煙草など吸うからだよ。吸わないことも選べたのに」
「しかし仕事が忙しくて煙草でも吸わないとストレスがたまるのでね。
 誰でもがスローライフが送れるわけじゃない」
「でも君、解雇されたんだろう」
「自業自得だな。しかし人には迷惑はかけていない。」
「かけているじゃないか。
 まず、副流煙の被害、健康保険への圧迫、倒れてから税金払ってない。
 それに苦しみようが見苦しい。喫煙者は社会のお荷物だな」
「自分の選んだ生き方だ、それも仕方ない。
 身体の幸福と、精神の充実は違うと思っている」
「むきになるな。君を責めているんじゃない。
 君は、煙草の広告の被害者だ。
 煙草のかっこよさだけが強調され、害は企業の利益のため隠蔽された。
 これからの世の中では、若者にきちんと教育すればいい。
 喫煙者はいなくなるだろう。宣教師が仕込めば、邪教は消えるものさ」
「君は死にゆく友に優しい言葉をかけてはくれないのか」
「怒るな。病人には理性がないものだ。
 ヨガか座禅でもやったらどうだ。
 古来の知恵を忘れるから病気になるのだよ」
「帰ってくれ。君は僕の助けにはならない。
 君こそ健康に働くことで企業に利用されているのじゃないか」

もしも私がA氏なら友が去った後、トイレで煙草を吸うでしょう。
煙草のうまさは、健康被害と同様に、実在するのです。
ですから、私は近代の否定が伝統回帰である本書の結論を支持できません。
害の少ない煙草の開発や、分煙化、喫煙マナーの向上という選択肢が、この社会に存在するのならば、女の身体にも複数の道があってよいはずです。
例えば、行政によるシングルマザー支援、独身女性による生殖補助医療の活用、養子制度の充実云々。もちろん、伝統の技術を利用することも含めて。
 
批判になってしまいましたが、この本の面白さは、基本理念でも語り口でもなく、具体例であり細部であります。
読者対象である女性や、『負け犬』の次が気になるおじさんたち以外のすべての人に読んでほしいのです。
なぜならば純粋に新奇で面白いトリビアが満載ですから。
それに実用書としても使えます。私は、この本を読んではや数ヶ月、数分ながら月経のコントロールが可能になりましたので。
この本の著者は健康番組に出てほしい学者ナンバーワンです。

 
 

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