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    体が硬い人のための柔軟講座 (NHKテキスト 趣味どきっ!)

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    中野 ジェームズ修一 (講師),日本放送協会 (編集),NHK出版 (編集)

    5つ星のうち 4.0 レビュー詳細を見る

八ヶ岳ペンション亭主さんのレビュー一覧

投稿者:八ヶ岳ペンション亭主

5 件中 1 件~ 5 件を表示

紙の本その男 1

2005/02/01 23:00

大衆の視点で見た維新

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 池波作品と言えば、『鬼平犯科帳』『剣客商売』『藤枝梅安』の3シリーズが即座に出てくるだろう。これに『真田太平記』を加えた4部作は池波氏を語る上でなくてはならないものだ。その代表作の影で、ひときわ異彩を放つ作品と言えば、私はこの『その男』と『男の秘図』、そして『男振り』を揚げる。
 本書『その男』は幕末物ではあるが、主人公は決して著名人ではない。しかし、その存在感は登場する西郷隆盛や桐野利明に決してひけを取らない。むしろ大きな時代の転換期で翻弄されながらもたくましく生きようとする、大衆の代表のように雄々しく生き抜く。
 池波氏の他作品の主人公、たとえば鬼平こと長谷川平蔵もそうだが、その多くは複雑な家庭環境で己の道を必死に見いだす者が多い。決して幸福とは言えない幼少期・青年期を持ち前の根性と、陰で励ます人情厚いのおかげでたくましい人間へと育つ。本書の主人公も同じである。他の作品とも似通った設定はあるが、決して同一ではなく。それぞれの個性がキャラクターの中で確立している。
 詳細は読んでのお楽しみだが、読後に爽快感に浸ることができることを保証しよう。

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紙の本釣魚大全 完訳

2005/01/31 21:22

信仰に生きた吟遊釣人・アイザック・ウォルトン

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 釣り人のバイブルと謳われる『釣魚大全』に出会ったのは、もうかれこれ30年ほど前になる。まだ小学生だったわたくしは、「釣りの本」と言うよりは、詩集や賛美歌を読む思いがした。しかし、奇異と言うよりは、新鮮さを覚えた記憶がある。
 爾来、再読する機会には恵まれていなかったが、髪に白い物が混じり始め、大都会・東京から八ヶ岳西麓へと隠遁するにあたり、角川書店版を読み直してみた。少年の時よりもさらに新鮮さを増して、一気に読み上げてしまった。
 アイザック・ウォルトンは生まれは富裕ではなかったが、少年時代に鉄卸業界に身を投じ、やがて自らの鉄卸売り企業を興し、一代で財と名をなした。しかし、財運には恵まれたものの家族運は悪く、愛する妻や子どもは次々と他界した。その悲しみを晴らすためか、教会と田園の釣り場に足繁く通ったのである。
 だが、彼が謳いあげる人生と釣りへの賛歌には、全くといってよいほど屈託がない。むしろ希望にあふれている。当時のイギリス社会に興味がある方は、釣りを趣味としない人でも是非とも読んでいただきたい。

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紙の本食いだおれ釣り日記

2005/02/02 16:49

安らぐマンネリ

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 海釣り師ならばご存知の盛川宏氏の書。『日刊ゲンダイ』掲載記事を単行本化したものの一つである。 はっきり言って、どのシリーズも内容に大差はない。同じ面子が盛川氏の釣った魚を食べ、酒を飲み、馬鹿な言動を繰り返すだけのものである。マンネリと言えばマンネリである。  でも、そのマンネリがなぜか心地よい。のんびりできるのだ。人は必ずしも、常にはらはらする新境地を開拓したいものではない。日常の平板な営みの中に、幸福感を感じるものではないだろうか。一日の仕事を終え、風呂で汗を流し、夕餉に向かって酒やビールを飲み干すときの充実感は、ある意味で新境地のビジネスを開拓したものに勝る愉悦がある。小市民との謗りもあるかもしれないが、多くの人はそうではなかろうか?  しかし、この一見固定化した文章を書き続けるのは、並の苦労ではないはずである。書評子も編集畑を歩いてきたが、文を書くごとに迷いがあり、似た文言になるごとに苦に苛まれる。また、読者も同じであろう。  盛川氏の文章にはそれがない。魚と船釣りを愛し、たとえ貧果で一匹のアジしか釣れなくても、それをしみじみと味わいながら酒杯を口に運ぶ気持ちが、読者に伝わるのだと思う。

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紙の本タヌキの丸かじり

2005/02/01 17:15

読めば読むほど腹が空く

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 著者の「丸かじり」シリーズは、いずれも読めば読むほど腹が空いてくる。ましてや、夜などに読み始めると、腹の虫が「何か入れてくんろ」と催促を始める。これは私だけの感想ではないだろう。今回の『タヌキの丸かじり』もそうだった。
 「果たしてタヌキをどうやって丸かじりするのだ」
 と理詰めで考える人は、ちょっとあっちへ行っててね。と、著者風にお願いをする。
 しかし、理屈と言えば、奇妙な多種の角度から理屈をこねまわすのが、東海林氏の得意技である。普通、理屈をこね回せば嫌われるのがる常であるが、氏は全く逆で歓迎される。なぜなら嫌みがないからだ。妙な視点からの理屈に、知らぬ内に、
 「うんうん」
 と首肯してしまう。東海林氏はだれの中にでもある、食いしん坊のひねくれ者的感情の代弁者なのかもしれない。また、きざなグルメでなく、庶民の味の溺愛者であるところも、人々の共感を呼ぶのであろう。
 え、本書の各項の説明がないって。そりゃそうでしょ。これから読む人の興味を奪ってしまったら意味がないでしょう。ね、読みたくなったでしょ。読みなさい!
 タヌキの意味もそのとき分かるからね。

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紙の本陰摩羅鬼の瑕

2005/02/01 20:34

京極小説の瑕

3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 京極氏の小説は処女作以来すべて驚嘆の連続であった。一見、事件とは関係のなさそうな哲学、宗教、ロジックの中に事件の鍵と、氏のメッセージが包含されていた。あのくどさと回りくどさが、たとえようのない魅力であった。そう、譬えが悪いが「鮒寿司」のような魅力である。
 また、読者はロジックに振り回れつつ、なかなか事件の真相と真犯人がつかめなかったと思う。
 ところが、今回の『陰摩羅鬼の瑕』は、氏の作品の中で初の駄作だと私は感じる。なぜならば、読み始めて1時間もしないうちに私は真犯人と、花嫁連続殺人の理由がいとも簡単に分かってしまったのだ。あれでは当たり前すぎる。なにも京極堂が出るまでもない。
 これまでの作品の疲れが出てしまったか? はたまたネタが尽きたのか? 同じく物を書く身として酷評は好まぬのだが、いささか拍子抜けだった。もう少し、ネタがばれないような構成にすべきだったと感じる。残念だが星一つ。

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