綾丸さんのレビュー一覧
投稿者:綾丸
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紙の本ドラゴンズ・ウィル
2005/03/20 18:32
魔竜の涙はたったひとつの地球の大地を潤すか
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ドラゴンと聞くと、RPG全盛期の嵐の中で小中高と育った僕は、ドラクエやFFに登場するたんなる敵役のイメージがある。夢中でやったな〜、しみじみ。それはともかく、この作品はそんな安易なドラゴンのイメージに対する強烈なアンチテーゼである。
菜食主義で平和主義、性格も穏やかで、畑で野菜なんかを作っちゃったりする。そんな邪悪の対局に位置する性格の魔竜スピノザ(哲学者からとったのだろうか?)。竜を滅する竜破剣をかざして、スピノザ退治に挑んでは激しく空回りする少女エチカ。
この作品がユニークなのは、あえて竜に人格を与えたことだろう。そのためにスピノザは自分自身が人ではなく、強大な力を持つ竜としてこの世に生を受けたことに激しく苦悩する。そんなスピノザにかつての自分が重なって見え、深く感情移入をし、そして涙した。まさに珠玉のファンタジーである。
続編を強く望んでいる作品の一つ。榊さん、お願いします!続き書いて〜。
紙の本風の万里黎明の空 上
2005/03/11 13:56
ファンタジーに酔ってみよう!
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いわずとしれた十二国記、「月の影 影の海」の時間的に後の物語に位置します。海客で仙の鈴、元芳国公主しょうけい、そして新景王陽子。それぞれ苦悩する三人の少女たちを軸に、緻密な構成の世界観の元に繰り広げられる壮大な人間ドラマ。
正直言って、漢字は読みが難しい箇所があって、ページをめくる手が遅くなることもありましたが、それを補ってあまりある見事な仕上がりには感嘆の一言。とくに三人の少女たちが、幼い自分達の力量や人間性の殻を破り、成長していく姿を見て、自分と照らし合わせ、共感し涙する人も少なくないのでは?
個人的に多感な中高生にお勧めします。真の誇りある人間関係が学べる、かけがえのない物語です。
紙の本家出のすすめ 現代青春論
2005/03/15 17:01
鬼才の圧倒的なカリスマを前にして、ひざまずく
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故寺山修司のこのエッセイはスゴイ。なにがスゴイって、この人は「悪」を肯定しまくる。そして時代遅れで古くさい「善」をバッサリと一刀のもとに切り捨ててしまう。だがしかし決して不快ではなく、そのメリハリが小気味よくさえあるのだから、よくよく魅力的な人物である。個人的に石川五右衛門が対話の中で語る泥棒哲学が好きである。
ちなみに、当時このエッセイが出版された後、著者の家を訪れる家出人の数が増加したという。いやはや…。
紙の本三国志
2005/03/17 15:51
今年は関羽髭がくる!
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三国志に興味を持ち、吉川文学か? はたまた北方兼三か? うーむと悩み、…「よし、とりあえず基本を学ぼう」と、近所の書店で購入したのがこの作品である。
とにかく他を出し抜こうと、乱世の英雄達は裏切りまくる。そして好機と見るや各地の猛将達は同盟を結ぶ。もはや約束や同盟は破棄するためにある、と言っても過言ではないスゴイ状態。やっぱり戦争は人の心を荒廃させるのね…。とは言え、とても興味深かったです。
小学生向けの本と書いてあるが、世の子供達がどうかこういった荒んだ世の「裏」の部分だけではなく、良い部分、例えば劉備・関羽・張飛らの厚い友情や、ピンチに立ち向かっていく勇気や知略などを学びとってくれる事を願います。
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