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やまぐち はなこさんのレビュー一覧

投稿者:やまぐち はなこ

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紙の本手紙

2006/10/29 18:20

社会の弱点・人間の弱さ

7人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

人は差別をせずには生きていけない生き物である。
自分の置かれた現状に満足できないとき、自分よりも下の存在を思うことによって、自らを肯定していくからだ。
かつての為政者は、この人間の性質を巧みに利用し、階級を操作することによって統治を行っていた。

しかしこの現代というかりそめの「平等社会」において、差別を行うとき、行う側にもある程度の代償が要求される。
社会的な制裁であったり、自らの後ろめたさであったり。
けれども、その代償を要求されずに堂々と他人を差別し、声高に批判・中傷を行える相手がいる。それが犯罪者だ。

犯罪者は社会に背きその犯罪を行った時点で、この「平等社会」に守られる立場から外れ、社会全体の憎しみを受けて「社会的制裁」の名の元に差別される存在となる。
そして、その被差別者を取り巻く家族や関係者も、同様に堂々と差別され憎まれるべき対象となりうるのだ。たとえ本人に非がないとしても。

11月3日より映画が公開されるこの作品は、私たちが見ようとしてはいなかったそういう社会の弱点と人間の弱さを、真っ向から描いた作品だ。

作者はインタビューでこの作品のことを「書くのが非常に辛かった」と語っているが、読者にとっても読むのが非常に辛い作品でもある。作品を読む以上、私たちはどうしても主人公に共感して行かざるを得ないが、その主人公を苦しめる「社会の偏見・差別」は、私たちの中にも堂々と存在するものであるからだ。
主人公を苦しめる差別者に、読み手である私たちは反感を覚えつつも、一度現実社会に戻れば、私たち自身がその差別者となるのである。

そんな読むのが辛い作品だが、読んだ後には「辛くても読んでよかった」と思わせられるだけのものが残るだろう。
映画を見に行くつもりの人もそうでない人も、ぜひ一度この作品を読んでほしい。

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