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ちょーさんさんのレビュー一覧

投稿者:ちょーさん

20 件中 1 件~ 15 件を表示

人口減少・少子高齢社会よりも怖い下流社会(階層分離)

16人中、16人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 最近、フリーターやニートといった集団が話題となっています。また、一方では、レクサスを購買する人々も多くいます。つまり、よくいわれる「勝ち組、負け組」のことです。かっての資産家(ブルジョア)・労働者(プロレタリアート)という階級ではなく、富裕層と貧乏層という階層構造が確実に進行していることを本書は、マーケティングの手法を駆使し、東京近辺の実態調査に基づいて分析しております。
 それによると、年収300万円未満と700万円以上とに分断されていて、結婚、子ども、消費形態、仕事に対する意欲、日常生活、教育などさまざまな分野で、差別化が発生していると指摘しています。男性では、ヤングエクゼクティブ系、ロハス系、SPA!系、フリーター系に分類され、女性では、お嫁系、ミリオネーゼ系、かまやつ系、ギャル系、普通のOL系に分かれているとし、典型的な人のインタビューも載せてあります。
 ちなみに、下流階層の人の習性としては、だらける、朝寝坊、夜に子ども連れで居酒屋へ行く、ビビリー君でパラサイトが多い、料理を作らない、コンビニで何でもすます、NHKニュースではなくフジTVをよく観る、自分らしく生きる、ひとりでいることが好き、パソコンオタク、刹那主義、ファッションも自分流などなど。。。そこにいる、あ・な・たも、そうではないですか???
 こうした階層分化は、かってのマルクスのような生産手段の有無に起因するのではなく、その階層の親の所得とか考え方が大きく影響していることを検証しています。すなわち、教育・職務水準の高い家庭に育ったこども世代は、必然的に高い教育を受け良い就職先にたどり着くことができ、それと反対に、教育・所得水準が低い親はこどもに、あまり教育も施すことができず結果として就職機会にも恵まれない、また、結婚にも重大な促進・阻害要因になっていることなども推察しております。
 つまり、この上流階層と下流階層の乖離は、固定されて幾世代にも繋がっていく虞がある点をもっとも憂慮すべきことだと警告しています。上流階層の人々が下流階層の人々を見放してしまうことです。こうならないために、いま何が必要な政策かについても具体的に提言しております。
人口減少超高齢社会がすでに始まっている日本の行き先について、わたしたちも真剣に立ち向かわなければならないと率直に思いました。

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紙の本日本型「成果主義」の可能性

2005/05/05 06:29

成果主義のあるべき姿の決定版

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

この本は、富士通の人事部社員であった体験を織り込ませながら、成果主義について述べた「内側から見た富士通 「成果主義」の崩壊」(2004年7月30日初版1刷発行 光文社 952円+税)で展開・論証・問題視したものを、では、どのように日本の労働観に似合ったものにするかを具体的に提言しています。今、どう成果主義を取り入れればいいのか。成果主義の現状・問題点から導入方法まですべてを書き、成果主義のあるべき姿を提示しています。

著者は、成果主義とは、社員のやる気motivationが引き出され、働いた者が公平に評価fair evaluationされることによって、企業はますます発展するという考え方だと捉えています。
そのために、全社員に数値目標を課せて、目標が達成できれば高い報酬を得る。欧米の国々、そして日本企業、さらには公務員にも適用され始めています。
しかしながら、「これを導入することによって、無能なトップtop managementとそれに群がった無能な管理職が運用を曲解し、社員の士気moraleは低下し、不満complaintと嫉妬jealousが渦巻き、自殺者まででるという惨状と化している」点に焦点を当てながら、論述しています。この制度に乗れない者は、だんだんと追いつめられる。まさに、弱肉競争の世界と化してしまう。社会に勝者と負け組とを作り、社会にも大きな断絶を生む。
世論調査によれば、成果主義に疑問を持つ経営者や労働者は、90%以上を占めていると言われています。やはり、入欧脱亜は、いろいろな面で、その弊害ばかりが現在では目立ってきています。なんでも、欧米に見習うことに専念してきた日本の知識人は猛省すべきではないかと思っています。日本の文化・伝統に沿った労働観を打ち立てることが急を要する所以です。
で、著者は、日本の職場には、年功序列を基本として、成果主義は、管理職にこそ導入されるべきであると主張しています。その具体例として、ある企業を紹介し、絶賛しています。

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地方自治の改革派の旗頭!!横浜市長中田宏

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

史上最年少で政令都市の市長となった著名な中田 宏市長が、守旧派の牙城であった市役所に乗り込み、改革を断行していった経過が手に取るように解る好著です。
氏は、天性の明るさとスポーツ才能をもとに、悪ガキの評判を受け、偏差値38をものとはせず、勉学に勤しみ大学、松下政経塾を経て、衆議院議員を務め、横浜市長になりました。
そして、現地現場主義を貫き、強い信念「役所職員も、そして市民も変わらなければいけない」として、数々の市政の改革を断行しました。そして、とうとう週刊ダイヤモンドのベストシティとして、政令都市NO.1の座に就かせました。その偉業の一端を覗いてみると、
① 住基ネットの選択制(5/30日の地裁判決)
② ごみ減らしG30(市長自らがゴミ処理工場で働く)
③ アントレプレナーシップ事業(企業家精神の公務員への浸 透)
④ 病院の公設民営化、私立大学の独立法人化(効率と温かみ の両立)
⑤ 談合問題への真摯な取り組み(公務員、OB、業界の常識 の非常識)
⑥ 地下鉄マンション上乗せ条例(国との全面対立に素直に対 応)
⑦ みなとみらい21始動におけるゴーン社長の取り込み(財 政再建)

1年目は、市長交際費の全面公開、カレーランチミーティング、エンジンルーム、横浜リバイバルプランを発表するなど、庁内(意識)改革と市民意識改革の両面を、参画と納得、透明性を保ちながら、実践し、いまも終わりなき改革に燃えています。そして最後のインタビューでは、こう述べています。
「自分の頭で考えてもらうということです。私はいつも言って いるんですが、課題を発掘し、常に役所内部や横浜市にある 課題を顕在化させ、解決への方策を求めることについては、 市長として責任を持っていきます。」
地域分権時代の理想的な自治体トップ像といえるでしょう。ホリエモンとは違うタイプです。こうした改革派は、まだまだ異端視されていますが、徐々に変わっていくことでしょう。
諸行無常 是生滅法 生滅滅己 寂滅為楽

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新しい民法

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

この4月から施行された法律に中で大切なものが多くあります。たとえば、個人情報保護法(行政の機関には特別法も用意されています)、行政事件訴訟法の改正、そして、この民法もそうです。
法律を学んだ人なら理解されているとおもいますが、民法は、市民生活を規律する基礎となる法律です。憲法は、その第98条で、最高法規として位置づけされ、99条で公務員はその尊重擁護義務があると規定されています。
これに対し、民法は、憲法上の制約を受けるとはいいながら、市民革命以来の精神を保っています。私権の基本原則、信義誠実の原則、権利濫用の禁止、私権の享有、所有の自、契約の自由、自己責任、家族・相続における自由意思の尊重など、あらゆる法令の拠り所となっています。六法の基本であるとされる所以です。
民法は、明治初期から編纂がなされ、明治31年7月16日に施行されました。戦後、第4、5編が改正され、平仮名口語体になったのですが、第1,2、3編は従来のまま、条文を改正するにも、片仮名文語体を使っていました。
六法の中でも、刑法が平仮名口語体になったのはご承知のとおりです。民事訴訟法も改正され、また、商法の改正が間近になってきています。これまで法律の専門家にしか理解できないようなものでは、市民に裁判への参加を求めても無理があることは、先刻の世論調査でも明らかになっています。
このような中で、民法を改正するには、基本法としての性格上、如何にいままでの判例や学説、慣行を維持するかで、市民の声を反映させるため、パブリック・コメントを行いながら、各条文を詰めていきました。ようやく、去年の12月に国会を通過して、この4月から施行された経緯があります。
この本は、そうした背景の当事者であった識者や官僚による改正の考え方、改正条文の粗筋、解説、問題点などを網羅しています。また、民法の歴史、新旧対照表も付け加えてあり、わたしのような「おじさん」(^_^)++にも、超、分かりやすい内容のものだと思料されます。一読してください。

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異色の旧自治省出身の改革派・・片山鳥取県知事

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 改革派として活躍している旧自治省出身の片山知事。朝日・読売・毎日新聞の世論調査や文藝春秋・「採点!47都道府県政」などの全国知事ランキングで、1・2・3位を取っています。最近も新聞紙上で寄稿やエピソードなど話題性を持続している2期目の鳥取県政を引っ張っています。本書は、彼の1期目の政治を眺めてきた毎日新聞記者の目で書いたものです。
 片山知事の基底にあるのは、徹底した「情報公開」の哲学・信念です。 つまり、「オープンな場で議論をする」というきわめて当たり前のことを実践していることに尽きるといえます。情報公開は何も怖いものではなく、むしろ精神衛生上もいい。なぜなら、ウソをつかなくてもよいし、人に知られて困ることもなくなるからです。これが本書の題名にもなっている「改革の技術」の元なのだと主張しています。
 そこから具体的に、負の遺産といわれたハコモノ型公共事業、議会とのガチンコ議論、鳥取県西部地震時の危機管理、国との軋轢、脱どんぶり勘定宣言、県職員の意識改革などについて客観的に詳述しています。知事を改革派として絶賛しているわけでもなく、その「ほころび」についても指摘し、2期目の行方も書いています。
 たとえば、予算査定については、
  ①財政課の職員が机上だけで行うのではなく、すべて現
     場へ行って生の声を聴くことを義務づけ
  ②査定室を記者に公開する(査定室には、机とプロジェ
     クター、パソコンだけで分厚い書類資料はない)
  ③査定結果・理由(財政課長からすべて)もWeb上に
     公開
  ④口利きの文書化を義務づけ
     ⑤ 総合計画は作らない、行政評価はおこなわない・・・
     予算こそが行政評価
     ⑥交付税措置を伴う県債は極力使わない ex. 地総債
 片山語録の一部を紹介します。
    ○役所は意味のない長時間勤務を強いる。国会会期中は、
    質問があった時のために毎晩、深夜まで待機する習慣が
  ある。だらだらビールを飲みながら世間話をするのが関
    の山だ。自分に質問があるかあるかなど、前もって質問
    者の顔ぶれと最近のやりとりを把握していればわかる。
    ないと判断した日はさっさと帰宅して、子供(注:かれ
    には四男二女がいる)を風呂に入れ、あとは本でも読ん
    でいる方がよほど国家のためだ。現に課長補佐時代の私
    がさっさと帰宅するのを上司の課長は苦々しく見ていた
    だろう。しかし、限りある人生を無駄なことに費やすの
    は個人としてもバカバカしいし、ひいては国家にとって
    もバカバカしいはずだ。
 ○職務中の怠慢に対する処分だが、単にお役所仕事をして
    いただけで、県庁に損害をもたらしたわけでもなく、内
    規に違反したわけでもなかった。悪いことをしなけれ
    ば、もたもたしてもいい、という意識は改めるべき。犯
    罪や法律違反でもないが、県政として非常に大きなミ
    ス。新しいジャンルの処分をやった。
 また、鳥取県の秘書担当は、課長はいないし、若い女性ばかりなのに、ある「改革派」と名乗る県の秘書課長(男性)が知事にアポを取ろうとして、「課長はいませんか?なら、課長補佐は?あれ、係長は??もう、「だれかちゃんとした人」はいないの???」と真剣に聞いていたそうです。秘書課の女性は、「私が承ります。」と何回も繰り返したにも拘わらず。。。
 まったく公務員の時代感覚を疑いたくなります。。。。

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最初にマニフェスト選挙を実践した改革派知事

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 著者は、改革派の神奈川県知事。知事、学会、経済界の蒼々たるメンバーで構成されている「地方分権研究会=親委員会」の委員の一人です。つい最近も、自分のblogで一部マニアから罵倒中傷を受けたことがサイトに載っていました。
 知事は、日本ではじめてマニフェストを掲げて選挙に臨んだ政治家でした。神奈川県の現状を憂え、かつ地方から日本を変えていかなければという信念を持つようになりました。そのため、北川正恭前三重県知事(現在は早稲田大学マニフェスト研究所所長・この人も地方分権研究会の委員)の支援を受けています。ちなみに、平成15年4月の統一地方選においてマニフェストで選挙を行った改革派知事は、高橋知事、増田知事、西川知事、麻生知事、古川知事です。岐阜県の古田知事もマニフェストで選出されました
 いままでの選挙公約は、選挙の時だけのもので当選したら守らなくても構わないという暗黙の了解がありました。知事(当時は衆議院議員)は、こうした古い体質を変えなければならないと決意し、独自の基本政策を打ち出し、県民に分かりやすい判断基準を示しました。具体的には、基本理念・政策方針の決定、政策指標の選定、数値目標の設定、実現方法・期限・財源の明示などです。
 そして重要なのは、その実効性を検証、すなわち、PDCAサイクルを行うことによって、県民にその成果を県民に問いかけることであると主張しています。「政策中心」の政治を目指したものだと思えます。このことによって、県民の県政、政治への関心も惹起させ、主権者本位の政治を目指しました。真の民主主義を確立しようという意気込みが肌で感じるようです。
 本書は、題名にもあるとおりローカル・マニフェストを実際に作り、実践していく際のポイントとなる点をつぎのとおりに分けて詳述しています。
① 作成編 ・・・・・ マニフェストを作る
② 選挙編 ・・・・・ マニフェスト選挙をどう戦ったか
③ 政策実行編 ・・・・・ マニフェストを政策にする
④ 進捗評価編 ・・・・・ 政治家の通信簿
なお、著者はNPOの果たしつつある機能・役割を重視する観点から、上記すべての過程で、NPOなどのアドボカシーを受けることが大切であることも指摘しています。
また、政策実践実例として、3つのものを挙げております。
○ 首都圏連合の実現 ・・・ 地域主権、道州制
cf. 「県庁がなくなる日」「はるみ知事の納得道州制」と同じような論調。
○ 地域経済の再生 ・・・ 羽田空港国際化と産業の活性化
○ 治安回復 ・・・ 安全で安心して暮らせる地域社会を目指して
最後に、マニフェスト政治を実現するために、首長はもちろんのこと、議会議員、県民、県職員、マスコミの心がけなければいけないことを論述しています。制度論として、現行公選法の問題として、国政選挙では認められているのに、地方選挙では選挙運動にマニフェストを自由に使えない点を強調しています。
神奈川には、もうひとり改革派の中田 宏 横浜市長がいます。つぎの著作をお読みください。
「横浜改革 中田市長1000日の闘い」
(横浜改革特別取材班+相川俊英)

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自治体改革派の職員の方に最高の福音書!!

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

改革派の自治体職員の方へ
守旧派は、もう時代に逆らえない愚かな人たちです。

衝撃の題名である。怖い。これは遠い未来のことではない。あと5・6年後のことである。国に頼ってきた都道府県、市町村が自立して、みずからの要求を掲げる改革派首長たちが先頭に立っている。守旧派は、まだ国の威光を仰いでいるが、もう、そんな時代ではない。
地方分権の流れからすれば、基礎的自治体である市町村が、もっとも住民にとって身近な存在となってくる。いつまでも、能力がないと見下していると、国も都道府県も、その存在価値さえ無くなってしまうだろう。
三位一体改革、すなわち、国庫補助金の縮減・廃止、交付税の確保、税源の移譲のなかで、市町村の役割は極めて大きくなる。これに対して、都道府県は、何をすればよいのか。広域行政しか、残っていない。それでは、都道府県も合併して、道州制(or連邦制)に移行していかざるをえない。州とは、stateである。事実、北海道、北東北、首都圏などで話が進んでいる。わたし、個人的には、地域の愛着心をどう保っていくのかに疑問
を感じている。この点について、筆者の考え方が示してないのが残念であると思う。
長年、国の高級官僚であった著者が、そうした時代の流れをずっと前から見据えて、いま、このときに渾身の力を込めて執筆していて、その舌鋒のうまさに感銘した。冗談のようで、しかもその心底を見抜いた論述はあっぱれである。目次を紹介する。
第1章 日はまた昇る
 第1節 中央集権官僚支配のたそがれ
 第2節 国会が初めて国の進路を決めた
 第3節 国会が憲法解釈を変えた
第2章 13歳扱いされる21世紀の主役
 第1節 浮遊する日本国民
  第2節 敗戦後遺症はきつかった
 第3節 主権者国民を放棄する民草
第3章 動き出した中央・地方
 第1節 まずは鎖を砕こう
 第2節 物乞い自治体から脱皮しよう
 第3節 波間に漂う遅れた地域
 第4節 曲がり角に立つ都道府県
第4章 守旧派の反撃
 第1節 税源移譲が先か補助金削減が先か
 第2節 地方をめぐる竜虎の戦い
第5章 ひとまず後退 小泉首相
 第1節 ついに分裂、分権会議
 第2節 財務省の勝利
第6章 一歩後退二歩前進
 第1節 16年度予算から始めろ
 第2節 戦う地方六団体
第7章 都道府県の活路
 第1節 断末魔のあがきか光栄ある転身か
 第2節 半世紀を経て復活「道州制論」
第8章 連邦・道州制への道
 第1節 連邦・道州制の魅力
 第2節 広域連合からはいる道
 第3節 都道府県合併の道
 第4節 地方庁(国の機関)を先行させる道
 第5節 21世紀の国のかたち
あとがき 先進官僚への期待
みなさんの自治体の周りにも、うじゃうじゃいる守旧派のなかで、改革派である極少数のみなさんに、ぜひとも読んでいただきと思います。和して同ぜず。朱に染まれば赤くならないように注意して下さい。エールを送ります。

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法律解釈の手本としてオススメの好著

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

過日、昔懐かしい ”おそまつくん”のタイトル「ボクシングは痛ーでやんす」というのを観ていました。「っるさい。アホじゃないのぉ。(スペードマーク)」と娘は、いつも冷たく言っていますが。。。(^_^);;; ちなみに、彼女は、ドラえもん、クレヨンしんちゃんが大好き。こういうところは血筋は争えないと妙に納得しています。
赤塚不二雄の制作した、その番組は、わたしの少年時代からの愛読書である「あしたのジョー」(高森朝雄・ちばてつや)(のち、秋田書店・全20巻・昭和51年発行)を模写していました。力石役が”イヤミ”、ジョー役が”チビタ”そして白木葉子役は”トトコちゃん”、段平役が”テカパン”などなど、台詞まで一緒でした。「真っ白になるまで燃え尽きたいんだ」。また右手の人差し指を突き上げ、「1分じゃない、10秒だ、お前を倒すまでの時間ではない、殺すのに必要な時間だ」と画像までそっくりでした。
そして、あの力石が死ぬことになった「世紀の8回戦」では、実況中継アナウンサー”おそまつくん”が、「これは懐かしい。30代のお父さんにとってはひじょうに懐かしい」と叫んでいました。そう、ノーガード戦法のことです。そういえば、当時、力石の葬式が行われたのを記憶しています。
そこで疑問に思ったことは、こうしたパロディは、違法ではないか、ということでした。何に違反するか。それは、著作権法である。著作権法の保護法益、目的は何かという価値判断で、大きく影響を受けることがらであるはすである。わたしは、過去、ひととおり参考文献を読んで、おおよそは理解していると思っていた。
本書は、そうした事例を具体的に挙げながら、著作権に関する主な条文とその判例、学説、外国の法制度などを網羅しています。パロディに関しては、最高裁判決の3基準でもって解釈すれば違法とはならない。でも、そこのところが非常に難しいところであると述べています。なぜなら、価値判断は、真理ではないからです。あくまでも仮説にすぎないからです。
われらが知識のなかに、見失った智慧はどこにあるのか
われらが情報のなかに、見失った知識はどこにあるのか
(T・S・Eliot)
フランスの数学・物理学者のアンリ・ポアンカレの「科学と仮説」の序文で、仮説はその役割が必要であるばかりか、たいていの場合には正当であり、真理は自明な命題から欠点のない推理の鎖によって導かれると説いたことと軌を一にすると思います。
本書のパロディ論に戻って。たとえば、ジャングル大帝vsライオンキング、ロミオとジュリエットvsウェストサイド物語(これは、どちらも他人の盗作の可能性大)、George Hariisonのmy sweet load は盗作であったなど、興味深い内容となっています。
著者は、法律解釈とは何か、について次のように述べています。まったく、同感です。
「その際に、判断の基準となるべきはなんでしょうか?それ
は、「著作権というものはなんのために、なぜ守られるの
か」という視点です。法律があるから、というのでは答え
になりません。法律は多くの人々が賛同できる目的があっ
て、そのために作られるものです。これを立法趣旨といい
ます。」
このことは、すべての法律の解釈に当てはまる尺度であると思います。憲法、民法、刑法、そして地方自治法、然り。
ちょっと、話が逸れてしまいましたが、このIT社会での情報の危うさ、ウイルスやファイルダウンロード(問題となったウィーニーなど)の野放し、コピー社会の脆弱性といった際に、この著作権は大きな社会的な影響力をもって、それに対処していく機
能を果たしていくことでしょう。

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ガバナンス

2005/09/24 00:58

これからの地方分権のキーワードとしてのガバナンスの様々な形態

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 本書は、総合政策を専攻する学生用のテキストです。総合政策とは、国家、自治体、企業、NPOなどさまざまな組織・団体の目標を達成するうえで、解決しなければならない問題をいち早く見抜き、経済学、法学、社会学、情報技術など諸科学を学際的・横断的に適応し、その解決策を打ち出し、実際に政策を実行し検証をする一連の研究を指します。
 最近よく使われるようになった「ガバナンス」という概念について説明しています。このガバナンスは、従来の「ガバメント」とは似て非なるものです。ガバメントは公私二元論を前提とした考え方で、中央集権・官僚主義を具現化したものです。
 これに対し、ガバナンスは、いろいろなアクターの独自性を認めながら全体として調和均衡の取れた社会を形成する基本となる行動原理です。たとえば、ブレア政権の「第3の道」に見られるPPPにも、この考え方が現れています。既得権益を守ろうとする守旧派を振り切り、第3の道の顧客志向・成果志向の行政を行う際の基準として、「政府の現代化」白書では、つぎの”5つのC”を提示しています。
  ①Challenge ②Compare ③Consult
  ④Compete ⑤Collaborate

 このガバナンスという考え方を、地方分権、国際政治、市場経済、会社(コーポレート・ガバナンス、CSR)、個人情報保護とITの分野に具体的に適用する際の留意点を指摘しています。そのうえで、これから予測される人口減少超高齢・経済縮小社会のビジョンをどう描くのか、また、その際の自治体のミッション、戦略政策のあり方を分かりやすい文章で説明しています。
 あとがきで、著者は老婆心として、これから学問を志す学生に対して、本書を読むうえでのいくつかの点を助言しています。その中のひとつはとても大切だと同感したので紹介しておきます。つい最近の新聞記事にも載っていた、大学生の漢字の読み書き能力が衰えていることの対応策にも当てはまることだとおもいます。周りにも、若干棲息しているとなきにしもあらずと感じていますが・・・(^_^)++
 「第3には、辞書を用意することです。ごくあたり前のことで
 すが、分からない用語や言葉がありましたら、辞書を引いて
調べてください。それには漢字辞書やいくつかの専門の辞典
 を用意しておくことが必要です。どんな本を読むにしても、
 辞書を座右に置いておき、ふだんから辞書を引く習慣をつけ
 ておくことが大切です。そうすれば、どんな本でも楽しく読
 むことができます。本は「楽しく読む」ものです。」
 このことを法学についていうならば、いつも六法全書を側に置き、条文が出てきたら必ず六法全書を引き、学説・判例などを参照することと軌を一にすることだと思います。

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紙の本人は見た目が9割

2006/03/07 14:07

日本の伝統たる文化風土を想い出させる好著

15人中、12人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 「巧言令色鮮仁」という格言がありますが、最近では、こうした性格・性癖のある知識人がもてはやされているようです。換言すれば、「学而時習之、不亦説乎」を実践している人は少ないと言えるのではないでしょうか。実利を追い求めて、受け合いの論理、明確な意思表示、つまり自己主張することが重要だとの認識が広まっています。明確な言行、態度を示さないと、この競争社会では敗残者となってしまうという一種の脅迫観念が支配しているようです。
 これは、西欧、とくに戦後の米国の考え方を理想とする知識人、経済人などに、主に見られる傾向ではないでしょうか。効率主義、合理主義など、いわゆる経済優先、「市場万能主義」です。その根底には、人は万物の霊長であるというヒューマニズム(人間中心主義)の傲慢さが見え隠れしています。こうした16世紀以来の「市民社会」という啓蒙思
想にもとづく哲学思想を「普遍なるもの」として、これを憧憬し模倣することが当然であるとする考え方が一般化しています。
 いまでも、こういう欧米思想を先進的、あるいはグローバル化だと主張して、改革を唱道する知識人が多々います。たとえば、近刊でいえば、エコノミスト誌編集長のビル・エモット「日はまた昇る」(2006年2月8日第1刷発行 草思社 1200円)や自称・改革屋の上山 信一「だから、改革は成功する」(2005年12月24日 ランダムハウス講談社 1600円)などです。確かに、グローバル経済時代では、市場統制機能による改革は必要だとしても、なぜ欧米の理論や手法を無批判に取り入れるのか、いささか疑問におもっていました。
 本書には、そうした欧米とは違う価値観が、未だに日本文化には残存していることを、劇作家、漫画家の観点から説いています。ノンバーバル(非言語)・コミュニケーション入門といった位置付けとなっています。人が他人から受け取る情報(感情や態度など)の割合は、つぎのようであるから十分、そのことを熟知したうえで、人と接しなければならないとしています。
  ① 顔の表情 ・・・ 55%
  ② 声の質(高低)、大きさ、テンポ ・・・ 38%
  ③ 話す言葉の内容 ・・・ 7%
 それを具体的に、人の六官(色声香味触識)に分けて、恋愛、夫婦、仕事などに、どのように影響を与えているかを興味深く詳述しています。
 一例をあげると、オンナの嘘が見破れない理由、勘が鋭い女性、潤んだ瞳の女性はなぜモテるのか、などを、心理学、文化人類学の説を引用しながら納得させています。トイレの距離、良い間・悪い間、マンガの伝達力、顔色(笑い、微笑み)・表情、ポーズなどもテーマにしています。
 また、日本人は生来、「無口なおしゃべり」であるとして、「語らぬ」文化、「わからせぬ」文化、「いたわる」文化、「ひかえる」文化、「ささやかな」文化、「流れる」文化が脈々として生きていることも述べています。
 行儀作法もメッセージとして、最近のビジネス・マナーの荒廃を嘆いています。応接室への案内、エレベータの乗り方、車の席順など、企業の戦略以前の問題として、つまり、企業、あるいは自治体の社風、職場風土、コンプライアンスを重要視しなければならないことも喚起しています。西欧思想を憧憬し模倣することに専心している方に、是非とも読んでいただきたいです。

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紙の本県庁の星

2005/09/20 21:36

県職員批判ばかりではない「世間全般」に亘る風刺小説

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

あるエリート県職員が小さなスーパーへ派遣研修に出されたことを題材にした小説フィクションです。
主な登場人物
    ○野村 聡
    Y県の上級試験を合格したエリート職員。31歳、独
    身。抜擢されて民間企業へ1年間派遣されることになる
    「県庁さん」と愛称される。典型的なお役所タイプ。

   ○二宮 康子
        スーパーのパート職員であるにも拘わらず、有能な才能
    を持ち、実質的な経営権を持っている。離婚し、介護を
    している息子と同居。親子の関係は最悪。食事は自分で
    作らずスーパーの残り物をトレーのまま出す。
   ○あいちゃん
    聡とは合コンで会った胸の大きな23歳の女性。聡のア
    パートで手料理を作るが、滅茶苦茶な取り合わせ、レシ
    ピで食べられず。聡にお強請りして高級品を買ってもら
    う。結局、聡は騙される。
   ○本橋 宏一
     スーパーの副店長。浮気相手に刺されて入院した店長
    の代理を務めるが、経営能力に疑問で、本社からのリス
    トラ候補のリストアップを康子に押し付ける。
 他にもいろいろな人物が登場して、さまざまな人間模様を描いています。単に県職員の「お役所しごと」を批判するだけでなく、スーパーの実態(本部の締め付け、売り上げを伸ばすための不正行為など)や正職員・パートの心情、離婚・教育、若者の考え方などを取り上げ、社会的な課題を浮き上がらせています。
 お役人気質もよく描写されており、如何に民間企業との隔絶された常識がまかり通っているかがよく理解されます。ストーリーの展開は、「県庁さん」が自信たっぷりに売り上げをあげることができると豪語して、既存のチームとの熾烈な競争を行うことになります。そこで、はじめて机上の理論ではなく、現場(お客さん)の消費行動・心理を見抜くことが大切で、それを基にパートも含めて従業員みんなと商品を開発しなければいけないことに気づきます。
 一例をあげてみましょう。
  「慣例、前例って言うんでしょ。能力がないからじゃないの?
  人を見る力がないから書類の数字を引っかき回してる
   んゃないの?責任取りたくないから、前回と同じことばっ
   かりやりたがるんでしょ。責任取ったらいいじゃない。誰
   の顔も窺わずに、自分の思い通りのことをしてきっちり責
   任取るって格好いいじゃない。今やってることに疑問もち
   なさい。まずはそこから」
 最後はハッピーエンドになっていますが、本当に公務員の常識は世間の非常識といわれていることが如実にされています。

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科学とは仮説の上に構築された虚構に過ぎないものである

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 よく言われる「真理はひとつ」という真理も、本当に真なのでしょうか。本書は、こうした世間で一般に真理だと見られているような公理、科学だと思われている定理は、実は仮説にすぎないことを、具体例をあげながら述べています。
 自然科学、社会科学、哲学などで、証明済みだと思い込んでいるようなモノを題材にしております。たとえば、飛行機はなぜ飛ぶのか、ということは、素人向けでは、「ベルヌーイの定理」で、専門家向けには、「渦理論」で説明できるといわれています。しかし、これらの定理、理論には、その大前提として既知(与件)としている事柄を無意識あるいは意識的に認めているので、その大前提をよくよく調べてみると、その大前提そのものが成り立たないといった矛盾がでてきて、その定理、理論が空無なものになってしまう。
 とすれば、わたしたちが科学だ、あるいは科学的(客観的)だと考えていることも、甚だ不安定なモノであることが判るとおもいます。たとえば、時代によって、あるいはパラダイムの遷移によって、いままで科学と言われていた定理が、一瞬のうちに非科学と断定されることも、歴史が証明してくれています。天動説、唯物史観などを考えれば、このことは納得できるでしょう。
 つまり、科学というものは、あくまで仮説に過ぎないのです。近代科学が17世紀から僅か400年くらいしか時を経ていないのに、それで真理が解き明かせると考える人間の浅はかさを感じることができるのではないでしょうか。本書は、そうした科学的だと一般に認められている考え方を安易に採らないことの大切さを強調しています。
 「99.9%が仮説」ということは、フランスの数学・物理学者アンリ・ポアンカレが1902年の「科学と仮説」で既に述べているところです。彼は、真理は自明な命題から欠点のない推理の鎖によって導かれることから、100年前の人々は経験から得られたわずかの材料を借りて世界を構築しようと夢見たと批判し、如何に仮説の占める割合が大きいかを説きました。
 私論すれば、そういった科学というものは、そもそも、客観的といわれています。しかし、客観的ということは、それを客観的と見る主観があるわけで、こうした2元論に基づく近代科学の思考方法の抱かえている根本的矛盾だとおもいます。
 いづれにしても、現代では常識、科学だと信じられていることのほとんどが、実は、何の確固たる「真理」に基づいていない、換言すれば、「仮説」という虚構の上に構築された砂上の楼閣にすぎないことを、証明しているのが本書の謂わんとするところです。もっとも、この「99.9%が仮説」という真理も、やはり「仮説」ではないかと個人的にはおもいます。

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パソコン「オタク」にならないための情報リテラシー再入門

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 みなさんは、毎日、朝から晩まで机上のパソコンをカタコト、カタコトと打っていると思います。連絡もメールで済ますことが多くなりました。でも、本当に、そのパソコン、あるいはソフトを有効かつ親切に、つまり効率的かつ相手の立場に立ってやり取りしているでしょうか?
 たとえば、宛先に関して、CC、BCCの区別をしないで闇雲に送ることは、個人情報保護の面からも問題があります。
 それはともかく。こうした効率性と思いやりのあるメールを送受信するのは、いまや、世間一般のビジネス・マナーとして定着しています。こうしたパソコンのマナーを情報リテラシーといいますが、これは、何も技術的な知識を身につけていることだけを指すのではありません。
 もっと人間的なもの、理性とか感情とか、要するに相手の心にどれくらい配慮しているかということです。メールについていえば、表題の付け方、文章の始めと終わりの名前、1行の文字数、適度な改行、1画面で内容を把握できる文章の明快さ、htmlではなくTEXTファイルであることの重要さ、添付ファイルの付け方とその形式のコメント、1メール1件の原則、開封確認機能は不可、外出先からのメールは自分宛にも送信しておく、などなどです。
 また、ブラウザでも、先日の新聞記事ではありませんが、仕事に使う機会が多くなるにつれて、自己のパソコンに記録してある個人情報が流出する危険性も多くなりました。いわゆるフィッシング詐欺の類のサイトをうっかりアクセスしてしまうこともあります。
 こうした情報セキュリティ面のうえからも、この情報リテラシーを弁え、体得し、そして実際に行っていくことが、これからのビジネスを進めていく基本的な能力だと思っています。本書は、こうした技術的なことばかりでなく、相手に不快を与えず、しかも仕事の能率をあげる情報リテラシーのスキルを解説したものです。
 「メールやネットのテクニックに長けた人は、やり取りする人
 に心地よさを与える。すると、仕事に流れが生まれ、どんど
 ん加速していく。そして、双方のコミュニケーションに好影
 響を及ぼす。」
 みなさんも、一度、現在のパソコンの使い方を振り返ってみてください。
 ところで、みなさんのパソコンは鍵で固定されていますか。盗難に遭ったら大変ですよ。専用の鍵が、わずか1500円程度で市販されています。これもセキュリティの始めの始めです。

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紙の本父と娘の法入門

2006/01/02 22:38

くだらないTV法律相談番組より役に立つ法入門書の始めの始め

6人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 近頃、法律問題を題材にしたテレビ番組が高視聴率をあげています。そこに登場してくる超有名になった弁護士の法感覚を窺っていると、はなはだ疑問に思うことがしばしばあります。
 たとえば、夫が多額の借金を背負い、連日連夜、その筋の怖〜い紳士からの脅迫に近い請求に耐えかねて、妻が離婚を申し込んだ場合に、協議離婚が成立しないときに、離婚裁判に持ち込んだ。この場合、その訴えは認められるか、というケースがありました。
 4人のうち、3人の弁護士は「可」と答えました。その理由は、妻が、幼少の頃の貧乏をトラウマに残像として持っていて、このような経済的に苦しむような結婚は望んでいなかった。だから、妻が婚姻生活を続けていくことは余りにも可哀想なので、離婚は正当だというものでした。
 しかし、「昔」の法学部系出身の方でしたら、そういう浅薄な思考はしないはずです。まず、法律の規定を思い浮かべます。なのに、このテレビの弁護士および番組でも、法律の条文を取り上げたシーンは皆無でありました。
 ちなみに、法学部出身か否かを判別する方法を示しましょう。つぎの漢字をどう読みますか? 「競売」「出生」文言。。。きょうばい、しゅっせい、ぶんげんと読んだ方は法学部出身ではないです。
 民法第770条第1項第5号「その他婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき」の規定をこの事例に当てはめて、その当否を判断することになります。その際には、さまざまな法解釈や判例および学説を調べて、そのうえで自分で価値判断を下します。その価値判断に際しては、ただ単に個人の自由・権利を中心にはせず、その法(この場合は民法)の体系、さらには法の目的、法秩序なども総合的に考慮しなければいけないと教えられました。これは、法には行為規範と裁判規範の二つの面があることを端的に表しています。
 このケースの場合でも、判例上では有責配偶者の請求は認められてはいないが、この第5号の適用にあたっては、かなり厳格に解釈していることを前提として考慮すべきではないでしょうか。どうしてかというと、「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない」(民法第752条)ものだからです。そんなに簡単に離婚できるなら、そもそも婚姻制度が形骸化し、悪い意味での「個人主義」を助長することになるからです。
 また、妻は離婚しても、この後、さまざまな社会的経済的困難(ジェンダー)と闘っていく覚悟が要るということを自覚しなくてはいけないと思います。もし、子がいるならば、その子の幸せになる権利にも配慮すべきであろうかとおもいます。もっと大きく言えば、少子化を食い止めるためにも、婚姻制度を維持する必要があると思惟することも許されるのではないでしょうか。実際の裁判官は、「すべて裁判官は、その良心に従い独立してその職務を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。」(憲法第76条第3項)からです。
 こうした法的な考え方が現在の大学の法学部では教えているかどうかは関知していないのでわかりませんが、法科大学院の林立を目の当たりにすると、どうやら法学教育そのものがおかしくなってきているのかなという気がします。法科大学院では、法の考え方も重要ではありますが、その前に、人間としての品性、つまり人格、道徳、倫理などとともに、社会常識、時代潮流をしっかり把握することを教え込むことも必須だと思います。
 そうした法の考え方の始めの始めを、素人にも分かり易く、父と高校生の娘の家庭での会話というシチュエーションで語っているのが本書です。また、法の現代的要請についても触れられていますので、この分野でも有意義でしょう。

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あの三重県庁を改革した北川知事の本懐

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 著者は言わずと知れた前三重県知事。現在は、早稲田大学大学院教授。マニュフェストを日本に定着させた政治家です。本書は、三重県知事時代を振り返りながら、県行政の在り方はどうあるべきかを理念、戦略、手法など具体的な事例をあげ、詳述しています。
 一番最初に考えたことは、県職員の意識、モラル、モラールをどう変えていくかでした。前例踏襲主義、総務部偏重主義など、いわゆる「お役所仕事」を職員自身の問題と捉える自己改革を進めるため、「さわやか運動」(さ=サービス、わ=わかりやすさ、や=やる気、か=改革)から実践していきました。そのために、この運動のもっとも基底にあって影響力を持つと感じた「情報公開」を徹底的に推し進めました。
 それと、ガバナンス、コラボレーションという理念も常に意識したと書いてあります。このことは、自立と自己責任を根底にする地方主権の流れとも軌を一にするものと思えます。そうした理念を掲げて、表題にもあるとおり「生活者起点」の県政を図るため、3つのキーワードと21箇条を打ち出しました。
 このうち、「職員の育成」では、つぎの施策を行いました。
      ・ひとり当たりの研修費を日本一に
      ・企画部門に移管し、優秀な人材を配置・・・”政策開
     発”という名称
     企画立案型の自己決定・自己責任ができる職員の養成
ex.政策研究ワークショップから「三重県e−デモク
        ラシー」が誕生
   ・官僚主義の権化であった総務部門の権限縮小
      ・人事評価を性悪説から性善説に、成果主義の導入
 著者がいつも職員に対して言っていたこと
     「できない理屈を言うな」と口を酸っぱくして言った。役人
    は、できない理由を並べ立てることにかけては、長年の
    蓄積もあって非常に得意だ。しかし、私はできない理屈
    ではなく、できるためにどのようにするのかに関心があ
    る。だから「できるために何が必要なのかを言え!」

 三重県でも最初は改革に抵抗する職員がほとんどで、ホンの一握りの職員しか賛同しなかったのは事実ですが、知事は諦めず、「たとえ数人でもゼロじゃないからいいじゃないか。」と達観していたそうです。もし、改革ができなかったら辞める覚悟で臨み、その信念はけっしてブレなかった、その点が改革派の職員を勇気づけ、だんだんと成果をあげていったと述懐しています。
 片山知事も同じようなことを書いてました。

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