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先月(2017年8月)

WEDGE書籍編集さんのレビュー一覧

投稿者:WEDGE書籍編集

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内容紹介

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 「マクドナルドのある国同士は戦争をしない」という“グローバリズム論”で話題になった『レクサスとオリーブの木』の著者トーマス・フリードマンの最新刊です。
 フリードマンは『ニューヨーク・タイムズ』の記者で、ピュリッツァー賞3度受賞の栄誉に輝く気鋭のコラムニスト。本書は、同紙に週2回執筆した国際情勢に関するコラムから、2001年9月11日の同時多発テロ事件〜2002年7月の83回分と、世界を駆けめぐった取材日記を収録したものです。

 9月11日、世界を震撼させたテロ事件当日、フリードマンはイスラエルで取材をしていました。翌日、彼はイスラエル軍の将校とテロ問題専門家にインタビューをします。その時に彼らが語った言葉をフリードマンは印象深く書きとめています。
「……自爆テロリストに働きかけ、自爆テロを抑制したり、非合法化したりできるのは、彼ら自身の社会、それしかありません。外部からでは不可能なのです」
 そして取材を重ねたフリードマンは、その4ヶ月後、『ニューヨークタイムズ』のコラムにこう書き付けます。「ビンラーディンはアラブ・イスラム世界の魂の琴線に触れている。ビンラーディンの殺人を非難する人も、魂の奥底で彼に共鳴しているのだ」(「逃げろ、オサマ」)

 憎むべきテロリズムに喝采をおくる人々がいるかぎり、社会自体が変わらなければ、いくらテロリストを抹殺しても、第2、第3のビンラーディンが出てくるだけでしょう。むろん、アラブ・イスラム世界だけでなく、超大国アメリカを始めとする西側諸国もまた同断です。他者への非寛容と憎しみの連鎖を断ち切らねば世界に平和はけっして訪れない、とフリードマンは本書で繰り返し説いています。また、サウジアラビアのアブドッラー皇太子が昨年提案した中東和平案に、彼がどのように関わったかといった舞台裏も本書の日記で詳細に明かされています。
 
 エルサレムから、ペシャワールから、ベイルートから、イスラマバードから、9・11テロ後の緊迫した中東の息吹を生々しく伝える本書は、アメリカのイラク攻撃が必至と見られるなか、現在の中東情勢を知るには、そしてアメリカの中東に対するポジションを知るには、欠かすことのできない1冊です。


著者紹介:トーマス・フリードマン
 1953年、米国ミネソタ州ミネアポリス生まれ。ブランダイス大学卒業。『ニューヨーク・タイムズ』ベイルート支局長、エルサレム支局長などを歴任。中東からの報道によって83年、88年、02年と、ピュリッツァー賞を3度受賞する。現在、同紙記者として国際情勢に関するコラム「世界の動き」を週2回執筆中。
 著書に『ベイルートからエルサレムへ』(朝日新聞社、全米図書賞受賞)、『レクサスとオリーブの木』(草思社)がある。

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