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先月(2017年6月)

山田奨治さんのレビュー一覧

投稿者:山田奨治

2 件中 1 件~ 2 件を表示

紙の本模倣と創造のダイナミズム

2003/02/26 03:15

著者コメント

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日本文化のたくましさ−模倣文化がポスト近代を拓く

先人を真似ることで人類は豊かな文化の流れを作ってきた。マンガ・アニメ、美術作品、バイク、インターネットなどを例に、商業主義に毒された近代文明が知的財産を囲い込むことに警鐘を鳴らし、過去から未来へとつながる創造の原理を探る。国際日本文化研究センター共同研究。

目次
序にかえて 山田奨治

I 模倣の根元性
模倣が育てる創造の土壌 竹宮惠子
なぞりとなぞらえ 尼ヶ崎彬
模倣現象に内在する主体的情報処理 宇野隆夫
類似の臨界 稲賀繁美

II 創造の政治学
モーターサイクル技術の模倣から再創へ 出水力
模倣の創造 王向華
マンガのグローバル化を考える 白石さや
模倣と創造 久保正敏

III 模倣と創造の近未来
模倣と独創という観点から捉えた産業史 中野潔
情報開示・共有と創造のダイナミズム 牧野二郎
コピーと情報文明 山田奨治

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日本文化の縦糸と横糸
この本には、妖怪、認知科学、西洋美術、浮世絵、写真、著作権、連歌、建 築、インターネット、マンガ・アニメといった、分野を越えた何本もの縦糸が張られてある。このような文系から理系までの、何の関係もなく思える諸分野にも、これらをつなぐ一本の横糸がある。その横糸のことを、わたしは再創——レクリエ ーションと名付けた。再創とは、すでにあるもののコピーに何かを付け加えることを楽しむ創造である。
日本の芸能や芸道、文芸、工芸では、規範から大きくはずれた表現をすることは、決してほめられない。先人を模倣することが、表現の第一歩なのである。ところが、明治以後の近代化の流れのなかで、伝統文化は衰退し、模倣という文化の継承システムが一部で破壊され、まねすることは戒められるような風潮が 支配的になっている。
模倣を禁じ、独創を守ってきた制度のひとつが著作権である。ところがこの著作権というものは、著作者の精神的な尊厳のようなものを保護する制度だという 表の顔と、富を生み出す打出の小槌としての裏の顔がある。歴史的にみると、著作権制度が生み出され、それが国境を越えて広がる原動力になったのは、この裏の顔のほうであった。また、著作権の越境に国家間の支配・被支配の関係が、深くかかわってきたという事情もある。
インターネットという、人類の歴史上、例をみないようなコミュニケーション文化が生まれたことで、情報の流布を制限することによって富を生み出すという、近代的な情報産業の基盤が崩れつつある。『日本文化の模倣と創造—オリジナリティとは何か』というテクストは、日本文化という着物の縦糸と横糸を解きほぐし、わたしたちの進むべき方向を読者とともに考えるために織り直したテクスチャ(織物)である。

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