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先月(2017年1月)

矢部武さんのレビュー一覧

投稿者:矢部武

1 件中 1 件~ 1 件を表示

紙の本少年犯罪と闘うアメリカ

2001/07/03 04:02

著者コメント

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

学校は安全であるといった、神話に近い意識が日本ではありました。しかし、警察庁が発表している学校での犯罪件数を見ると、確実に増えていることがわかります。たとえば、幼稚園・学校への侵入事件は、平成10年の962件から平成12年は1355件へと増加。池田小の事件もこういった流れの中で起きた事件と考えていいでしょう。
私は、アメリカでの少年犯罪を取材してきましたが、日本でも学校の安全対策を本格的に考える時代になったと思います。今までは学校で何かあったらその責任は教員が取るものと皆考えてきた。しかし、率直に言って、教員に押し付けすぎているのが現状ではないでしょうか。
たとえば、今回の池田小の事件でも、最終的に先生たちが犯人を取り押さえましたよね。これは私から見ると、この先生たちの勇気と使命感は賞賛に値するものの、それをすべての先生に押し付けることはできない。つまり、今回のケースを見て、「危険な場面では先生が立ち向かうべきだ」という考えを持つ方がいたらとんでもない! 逆に、先生だけでは対応できないほど、安全面では深刻な局面になってきた、と認識してほしいのです。いじめ、不登校、校内暴力といま子どもたちはさまざまな問題を抱えています。教員は本来の学習の指導のほかに、こういった問題にも時間や労力を割いています。このうえ、安全対策もとなると負担が大きいのが現実です。
学校のセキュリティ対策として、アメリカのようにスクールポリスを導入するのも、ひとつの有効な手段だと思います。もちろん、銃社会・アメリカの学校と全く同じ方法を取る必要はないですし、役割も日本人に合ったものにアレンジしていい。
たとえば「学校安全コーディネーター」と名称も変えて、警官などの専門家に学校に入ってもらう。外からの犯罪者や暴力的な生徒を取り締まることはもちろんですが、攻撃的な子どもたちへのカウンセリングを行ったり、子どもたちに犯罪の意味や処罰といったものを分かりやすく教えていく。あるいは教員、保護者や地域の人たちにパトロールのノウハウや緊急時の身の守り方を教えるなど、専門家が入るとさまざまな形でのアプローチが可能です。
もちろん、地域の人たちの協力は不可欠です。パトカーや制服を着た警官のパトロールは犯罪の抑止力になりますが、地域住民が参加することで、地域の中でリーダー的存在の方が生まれ、皆で子どもを守ろうという機運が高まるケースもあります。アメリカではこういった保護者の協力場面では、父親の参加も多かったですね。母親中心になりがちな日本のPTAも、今後は何を優先して活動すべきか再検討すべき時期に来ているのかもしれません。もちろん、防犯カメラの設置や、教員による緊急連絡用のベルの携帯、警察に直通のホットラインを教室に設けるなどハード面の整備も必要でしょう。
そんな大げさなことをする必要があるのかと考える人もいるかもしれません。実は、アメリカでもスクールポリスは1950年代からあったものの、浸透してきたのは70年代後半、犯罪の凶悪化が進んでからです。導入にあたって、アメリカでも「警察権力が学校に入るのは抵抗がある」といった反対意見もありました。結局、学校でアンケートを取ったり、さまざまな場で議論を交わし、今のような形になっていったのです。どんなに優秀な教員がそろっていても、優れた教材や立派な設備があっても、安心して勉強ができなければ、学校は子どもにとって意味のない場所になってしまいます。安全神話は崩壊したといった認識からスタートして、日本でも議論を交わすべきでしょう。(談)

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