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    中野 ジェームズ修一 (講師),日本放送協会 (編集),NHK出版 (編集)

    5つ星のうち 4.0 レビュー詳細を見る

東嶋和子さんのレビュー一覧

投稿者:東嶋和子

1 件中 1 件~ 1 件を表示

著者コメント

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「次の本は何ていうの?」
 大阪にいる姑が聞いてきた。私の本を20冊注文してくれるという。
「シインジテンです」
「シンジテン?」
「がんとか心筋梗塞とか脳卒中とか、事故死とか殺人とか自殺とか、いろんな死に方にまつわる話を集めた事典です」
 還暦をとうに過ぎ、老いの坂を下りつつある義母に、「死」という言葉の弾丸を続けざまに浴びせてしまった。姑は受話器の向こうで突っ伏しているに違いない。
「・・・やっぱり1冊にしとくわ。読んでよかったら、またお願いするから」
 そそくさと電話は切れた。


「死因事典」を書きあげて改めて、現代の日本人にとって「死」はタブーであると思う。「大往生」とか「ピンピンコロリ」に代表される「理想的な死に方」は歓迎だけれど、本当の「死」の話なんてだれも聞きたくはないのだ。

 でも、理想的な死に方なんてあるのだろうか。緩和医療という、がんやエイズの患者さんを支える医療の場を取材して、そんな疑問が頭をもたげた。

「人という存在は、遺伝子の川に浮かんでは消える泡のようなものだ。けれど、どれひとつとして同じ泡はない。泡の消えゆくさまをまっすぐに見てはじめて、わたしたちは未知の恐怖から逃れ、幻滅や後悔や嘘にさいなまれずにすむのではないか」(はじめに)

 そう思ったのが、この本を書くきっかけだった。人の生と死の統計である「人口動態統計」をひもとき、過去現在未来の人の死にまつわるドラマをお話ししたのが本書である。

 女性が男性より長生きになったわけ、日本流突然死の避け方、セックスとハートとバイアグラの意外な関係、死をもたらすほどの恐怖、家庭や道路、病院、そしてあなた自身の心にひそむ死神、人類を襲う未知のウイルス、魔法や呪いによる死、古代の人びとの生と死・・・。最後に、最新の生命科学が解き明かしつつある老化と死のメカニズムや不老不死の可能性にふれた。そして、わたしたちはなぜ死ぬのかも。

 5年前に企画が生まれて以来、チェルノブイリ原発事故の被災地ベラルーシや、地雷で苦しむカンボジア、新種のウイルスが村を壊滅させたマレーシアなど世界各地を取材し、日本では緩和医療や祖母を看取った老人病院などをみてきて、最後に、長寿の代表ともいえる名古屋の双子のおばあさん「きんさん・ぎんさん」にお会いした。

 100歳を迎えて名古屋市から表彰され、テレビCFで人気者になる以前のきんさんは、からだの調子もかんばしくなく、弱りきっていたそうだ。それが、若返ったかのように元気になったのは、「大勢の人に来ていただいて、話をするのが楽しくて仕方ないから」と、息子さんはいう。

 陽光の下、ビキニとパンツ1枚で畑を耕すベラルーシの老夫婦や、地雷で手足を失っても笑顔を忘れないカンボジアの子供たちを見ていると、人がもたらした災厄の大きさとともに、それに負けない人の強さを感じた。

 強さをもたらすものは、きんさん・ぎんさんと同じように、人とつながっていること、日々の営みを楽しいと思えることだと思う。

 本書では、さまざまな死の姿とサバイバルのための対処法、不老不死の研究などについて書いたが、私自身は、「よく生き、よく死ぬ」ための秘訣はきんさん・ぎんさん、緩和ケア病棟の人びと、そしてベラルーシやカンボジアの友人たちに教えてもらったと思っている。

 本書を読んでくださった方は、自分が今あることに「よくぞ生きていたものだ!」と感嘆の声をあげるはずだ。そして、よく死ぬための生き方にそれぞれの思いをはせてくださるに違いない。

 タイトルにたじろいでいた姑も、一読して20冊の注文をよこしてくれた。

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