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先月(2017年6月)

岡埜謙一さんのレビュー一覧

投稿者:岡埜謙一

3 件中 1 件~ 3 件を表示

ヤマセミ

2001/02/09 11:49

編集者コメント

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 ヤマセミは白黒の鹿子模様が美しい鳥だ。私見だが、日本の野鳥の中でも美しさではベストスリーに入ると思う。野鳥の好きな人なら一度は見たい鳥だが、その幸運に巡り会える人は少ない(私は運が良く、これまでに数回出会った)。棲息数が極めて少なく、どこの川にでもいるという鳥ではないからだ。また、警戒心がとても強く、近寄って観察することは不可能に近い。それだけに、その生態もまだよくわかっていない。
 本書を開いて驚いた。これほど大きく鮮明に、さらに巣の内部まで撮した写真は初めてだ。もちろん通常の機材や方法では撮影不可能だ。リモコン装置や光電管スイッチなど、高橋さん苦心の自作装置を駆使しての撮影だ。どのページを開いても、さまざまな状況のヤマセミの姿が、美しく生き生きと撮されている。雄の求愛行動や子育ての様子、さらに雛の巣立ち。本書でも特筆すべきシーンだ。
 しかしいかに機材を駆使したにしても、一冊の写真集としてまとめるのは並大抵の苦労ではない。本書で述べているが、最初4年間を観察だけに費やし、さらに本格的な撮影に取り組むまで10年かけている。取りかかりから本書の完成まで、20年余を要している。これはもう根気などというものではない。執念というべきだ。ヤマセミに限らず、野生動物を撮影するためには、まず対象となる動物の生態に精通しなければいい写真は撮れない。その意味でも、高橋さんは手を省くことなく動物撮影の王道を行ったわけだ。
 さらにそれは、高橋さんがアマチュアだからできたことで、プロだったらとても本書の完成は不可能だったろう。プロは採算を考えなければならないからだ。ヤマセミだけにのめり込んでいたのでは一家が干上がってしまう。ここに掲載された写真のために、いったいどれだけのフィルムを消費したのか。おそらく膨大な枚数の中から厳選された写真だろう。リモコンや光電管スイッチを使うということは、カメラ任せの部分も多く、いやでもフィルムや乾電池を無駄に消費せざるを得ない。アマチュアの執念の成果だ。
 発行元の平凡社はかつて野生動物の月刊誌『アニマ』を発行していた。惜しくも廃刊になったが、いまだに動物の写真集などに力を入れている。1979年に同社から初版が発行された嶋田忠さんの写真集『カワセミ 清流に翔ぶ』は、いまだに版を重ねている。嶋田さんは、その作品で一躍世に出た写真家だ。本書『ヤマセミ』も、『カワセミ』と並ぶ野鳥写真集の記念碑的な作品だけに、高橋さんの今後を期待したい。

(岡埜謙一 フリー編集者兼動物里親。現在我が家には、プレーリードッグとカモがいます。みな室内で同居してまして、カモがウロウロしてる毎日です。)

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紙の本ぼくの鳥の巣コレクション

2001/02/09 11:48

編集者コメント

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 野鳥マニアは掃いて捨てるほどいるが、鳥の巣マニアという人がいるとは知らなかった。本書は画家である著者が、鳥の巣を生態学的な面からでなく形態的な面から紹介した画文集である。カラーやモノクロで多数の鳥の巣が精緻に、しかも暖かいタッチで描かれていて、絵を眺めるだけでもとても楽しい。画家だけあって、巣の芸術性に着目するあたりは並の野鳥マニアのおよぶところではない。観察眼も鋭いが、文章も軽妙で親しみやすく、かつ随所に我々凡人に対する軽い皮肉も散りばめられ、思わず「うん、なるほどなあ」と笑ってしまう。
 私も野鳥好きで、よくあちこちに鳥を見に行くが、なかなか小鳥の巣を見つけることができない。カラスや猛禽類の巣はなにしろ大きいので、これは晩秋から春先にかけてよく見かけるが、小さな野鳥となると難しい。せいぜいヒヨドリやメジロの巣くらいだ。野鳥の繁殖期は葉の多い季節と重なるので、なおさら巣は見つけにくいが、それ以外の季節に見つかる巣は使用済みの空き家である。だから持ち帰ってもかまわないわけだが、当然のことながら簡単に取れる場所にはない。本書にも紹介されているが、鈴木まもるさんの自宅の周囲にはずいぶん野鳥の巣が多いようだ。ヤマネやリスの巣まである。ヤマネの巣というものを本書で初めて目にした。
 たくさんの巣を労せずして手に入れたのかと思いきや、そうではなかった。常日頃近辺の山中を歩き回って探した成果なのだ。また、近在の人も協力して、巣の情報を提供している。まさに「東にウグイスの巣があると聞けばトンデユキ、西にカワセミの巣があると聞けばスコップ持参でカケツケ」といった毎日なのだ。そう、カワセミの巣も掘り出して復元している。
 それにしても鳥の巣の形は、見れば見るほど面白くて不思議に満ちている。たとえばメジロならどこのメジロも同じ形の巣を作ることだ。東京在住のメジロの巣は丸いが、伊豆のは三角、ということはないのだ。遠い祖先から、巣作りの情報が遺伝子にインプットされているのか? また、巣の内部がどれもきれいに丸くなっているのも長い間謎だったが、本書を読んで目からウロコが落ちた。外から形を整えるのではなく、あるていど巣材が集まった段階で中に潜り込み、中で体を動かして丸みを作るのだ! 余談だが、我が家にプレーリードッグというリス科の動物がいる。これがとても巣作りが上手で(しかも以上に熱心)、巣材に古セーターを切って入れてやると、一カ所に集めて真ん中に入り、体を潜り込ませて丸い巣を作る。これとまったく同じだった。
 鳥の巣は壊れやすいので、その保存方法まで絵入りで事細かに説明してある。もしも幸運に恵まれて何か巣を拾ったときは、いい参考になるだろう。これから春先まで、鳥の巣探しにはいい季節だ。鳥見物の傍ら、事前に本書をよく読んで、目を皿のようにして巣を探すのもいい。ただし、雌雄のペアリングから雛の巣立ちまで、わずか2カ月のために親鳥は手の込んだ巣を作るのだから、そのご苦労と芸術性に敬意を表しつつ。
 本書を読んだおかげで、鈴木さんの他の本も全部欲しくなってしまった。毎月の少ない書籍購入費がまた圧迫されてしまう。困ったことだ。

(岡埜謙一 フリー編集者兼動物里親。現在我が家には、プレーリードッグとカモがいます。みな室内で同居してまして、カモがウロウロしてる毎日です。)

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編集者コメント

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 著者はマミフラワーデザインスクールの主宰者である。ここ数年、フラワーデザインを趣味にしている人が増えている。もっと前からかもしれないが、私の周りにそういう人(女性)が出てきたのは4、5年前くらいからだ。かくいう私の家内やその友人たちも、野生の植物集めに精を出している。近所の林に行って藤蔓やアケビの蔓を採ってきたり、ドライフラワーを探したり、ずいぶんと熱心だ。ときには私も運転手の役目を仰せつけられ、わざわざ八ヶ岳の麓までカラマツの松ぼっくりを採りに行ったり。で、何を作っているかというと、まあたいていはリースだ。ちょうどこれからの時季、我が家にも友人の家にもリースが溢れることになる。
 そんなわけで、私はフラワーデザインというとリースのことかと思っていた。ところが本書を眺めると(写真が綺麗なので、まず読む前に全ページを眺めてしまった)、リースなんてほんの一部にすぎないことがわかってきた。著者は信州佐久に別荘兼アトリエを構え、その周辺で採れる野生の植物を材料に、四季折々のフラワーデザインを楽しんでいる。リースもあればドライフラワーもあり、押し花や活け花風のオブジェもある。どれも特別な花や木を使っているわけでもない。そこらに生えている野菊やタデ、栗の枯れ枝、カシワの落ち葉、ごく何気ない材料ばかりだ。それがこの人の手にかかると、たちまち見事な作品になってしまう。古来の活け花と違い、一見素朴な中に季節の色彩溢れる素敵なものだ。フラワーデザイン一筋に38年の経験があるとはいえ、枯れ枝や落ち葉を素材にするところが、この人の優れた感性を物語っている。
 本書の中で、「山はデザインのアイディアの宝庫」「素材の種類が多すぎて、全部を知るにはあと何年かかるか・・・」と語っているが、中でも柏の木には子ども時代の思い出が詰まっていて、ここに居を構えたのも1本のカシワの木が決め手になっている。著者はここでは、アトリエにこもって一日中作品作りに専念しているわけではない。山菜や木の実の収穫に熱中したり、それらを材料にした料理を楽しんだり、山の生活と目に入る自然のすべてを貪欲かつ自然体で楽しんでいる。文章の端々や写真から、その楽しさがよく伝わってくる。家内は本書を読んで材料の豊富さとそれが簡単に手に入ることにため息をついていたが、私は著者のように落ち葉焚きをしてみたい。しかし東京の住宅地に住んでいれば夢のまた夢だ。

著者略歴;北海道生まれ。戦後2番目の日本人留学生として渡米し、ミズリーバレー大学を卒業。1962年、日本初のフラワーデザインスクール「マミフラワーデザインスクール」を創設し、同スクールの総長として現在に至る。本書の他、作品の集大成「無限の花」(講談社。1995)がある。

(岡埜謙一 フリー編集者兼動物里親。友人が外国産のモモンガ夫婦とフクロウの夫婦を室内で飼っていて、いつも羨ましく思ってます。私の住んでいる地域では、人家に住みついて、夜な夜な飛ぶというムササビの話はよく聞きますが、モモンガは聞いたことがないのです。)

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