サイト内検索

詳細検索

ヘルプ

セーフサーチについて

性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示を調整できる機能です。
ご利用当初は「セーフサーチ」が「ON」に設定されており、性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示が制限されています。
全ての作品を表示するためには「OFF」にしてご覧ください。
※セーフサーチを「OFF」にすると、アダルト認証ページで「はい」を選択した状態になります。
※セーフサーチを「OFF」から「ON」に戻すと、次ページの表示もしくはページ更新後に認証が入ります。

  1. hontoトップ
  2. レビュー
  3. 後藤嘉宏さんのレビュー一覧

レビューアーランキング
先月(2017年1月)

後藤嘉宏さんのレビュー一覧

投稿者:後藤嘉宏

1 件中 1 件~ 1 件を表示

中井正一のメディア論

2005/04/02 03:15

著者コメント

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 その短い生涯の最晩年、国立国会図書館初代副館長(1948-52在任)を務めた中井正一(1900-52)は、美学者として映画を射程に入れた独自の美学を構築したことで知られている。戦前、映画のレンズというメディアに、彼は理論的に着目し、また映画作りの実践も試みた。また彼は、京都哲学会の学会誌『哲学研究』の編集を任され、さらに同人誌『美・批評』『世界文化』を実質的に主宰したり、読者の投稿で作られる隔週刊新聞『土曜日』の刊行を行い、編集者としてメディアにかかわった。15年戦争にはこれら小さなメディアを通じて抵抗し、治安維持法違反で逮捕された。また、戦後、羽仁五郎の推挙によって、国立国会図書館に務めて、国立国会図書館支部図書館制度を構築するなかで、官庁資料というメディアの組織化を彼は試みるようになった。

 このように中井は生涯を通じて「コミュニケーション・メディア」に関係してきた。

 他方、中井が学びまた教鞭をとった京都大学哲学科において、西田幾多郎・田辺元の師弟論争を含めて、弁証法の媒介をどのように理解するかが重要な課題であった。そしてその課題を恩師の深田康算や先輩の三木清らとともに自らの課題として中井は背負った。この弁証法の「媒介」概念に、中井はメディウムとミッテルの二つがあると考えた。メディウムとは媒介項がその存在を主張する媒介であるのに対して、ミッテルとは媒介項がほとんど消え去るような媒介である。これらの弁証法の媒介・メディア概念と、彼自身のかかわってきていた「コミュニケーション・メディア」のあり方とは、密接不可分に結びついていた。そしてカメラのレンズや双方向的新聞『土曜日』は、このようなミッテルの媒介を可能とする媒介物であった。

 つまり本書の題目「中井正一のメディア論」でいう「メディア論」とは、「コミュニケーション・メディア」についての論であるという意味と同時に、その背景にある弁証法上の「媒介」論という意味も兼ねている。

 戦前、レンズの透明性に、受け手と送り手との双方向性をもたらす可能性をみいだした中井であるが、戦後、体系や体系を示す媒体である書物を重んじるような姿勢へと、ある程度変わっていった。その理由は何なのか。中井の全体像に迫りつつ、本書ではその問題を解き明かしていこうと努めた。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

1 件中 1 件~ 1 件を表示