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先月(2017年6月)

丸山正明さんのレビュー一覧

投稿者:丸山正明

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MOTの経営学

2004/05/14 15:33

21世紀の日本が目指す、科学技術の商品化を解説

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 本書は、日本が今後、追究するグランドデザインを明確に解説する。

 21世紀の日本は、「生活の高度化」を追究する。これを実現する手段として結果としてついてくる「産業力」を鍛えることで、日本は先進国としての競争力を持つことになるという。

 著者は、経済活性化の基本にイノベーションによる新規産業興しを据える。決して、既存の基幹産業を守ることではないと明言する。イノベーションによる新規産業とは、日本が蓄えた科学技術を商品化する事業の育成とする。「イノベーション」とは、現在の機能を100倍以上に高める革新を意味するという。桁違いの野心的な革新から、進歩が生まれ、社会を変えると、主張する。

 本書のタイトルは、奥が深い。一般にMOTはManagement of Technologyの略を意味するが、著者はManagement on Technologyと定義する。「of」のMOTは、テクノロジー・トレンドを基に製品化することを意味する。これは研究開発者の仕事とみる。一方、「on」のMOTは、テクノロジー・トレンドを正確につかみ、企業の経営者が事業戦略としての意志を反映したテクノロジー・ロードマップをつくり、このロードマップに従って技術開発投資を実行することとする。結果的に、「on」のMOTは企業をビジネスモデルに基づいて経営することを意味する。

 本書のタイトル後半の「経済学」とは、「on」のMOTは企業をビジネスモデルに基づいて経営することであるとの主張を意味する。そのためには、東京大学教授である著者の専門である俯瞰(ふかん)経営学が目指す、ビジネスの設計図を描くビジネスモデルの研究が重要になる。

 本書は概論の部分は実に分かりやすい。しかし、俯瞰経営学を学術的に解説していく本論部分はしっかり読み込むことを要求する。文章は専門用語をあまり用いず平易である。難解な理由は、「企業の価値」とはなどと、本質的な難問の解明に挑戦しているからである。読み応えがあり、各所に「なるほど、こう考えると展望が開けるのか」と刺激を受ける個所が多いだろう。

 第6章の「社長は何を見るべきか」は、難問の解明に挑戦している代表的な章である。現在、企業人が一番知りたい問いではあるが、一般解としては難問となる。勝ち組企業を具体的に解説した記事などではある程度の部分解が得られるが、その一般解の作成は大変な作業となる。これを実践するのが、本書の目的である。

 著者は、「社長は何を見るべきか」の内容は、経営者支援システムなどの情報システムの使い方を、図を多用して平易に解説する。この点が従来の経営学の本とはまったく異なる。市場情報や技術情報などの社外情報と、バリューチェーン情報などの社内情報を、「経営情報データベース」で統合し、ビジネスモデルを構築する「社長の操縦席」を提示する。その操縦席に表示される計器の画面像を、利用例として具体的に示すため、実に分かりやすい。工学系出身者はあまり抵抗ないだろうが、経済学出身者がどう反応するが興味深い内容だ。この第6章は、第5章「ビジネスモデルのITによる実装」を読んでいることが前提となる。

 本書は、当初の予想をはるかに超える、刺激的な内容に満ちている。読後は、読み手を変え、結果的に「日本を動かす」だろう。日々改革を迫られている方に、お薦めしたい。
日経BP社編集委員室編集委員・東海大学非常勤講師 丸山正明

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