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先月(2017年6月)

東雅夫さんのレビュー一覧

投稿者:東雅夫

2 件中 1 件~ 2 件を表示

日本妖怪学大全

2003/03/13 19:09

おすすめコメント

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 京都の国際日本文化研究センター——略して「日文研」といえば、昨年、日本初の妖怪データベースである「怪異・妖怪伝承データベース」(http://www.nichibun.ac.jp/graphicversion/dbase/yokai.html)サイトの一般公開で、ネットワーカーの間に一躍その名を知らしめた。
 このほど刊行されるはこびとなった『日本妖怪学大全』は、妖怪研究の第一人者として知られる小松和彦教授のもと、同センターで定期的に開催されてきた共同研究会「日本における怪異・怪談文化の成立と変遷に関する学際的研究」で発表された研究発表をもとに、参加者20余名が書き下ろした、妖怪・怪異に関する最新にして最大の研究論文集である。
 参加者の中には、民俗学や国文学の研究者のほか、作家の京極夏彦氏なども加わっており、アカデミック一辺倒の学術書とはひと味違う、多角的なアプローチが展開されている模様。妖怪ファンのみならず、ホラー・ジャパネスクや伝奇幻想小説に関心を抱く向きに広くお勧めしたい、画期的な大著の登場である。

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紙の本村山槐多耽美怪奇全集

2003/03/08 09:54

『伝奇ノ匣4村山槐多耽美怪奇全集』刊行にあたって

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 村山槐多は明治も末近い1896年に横浜で生まれ、京都で育ち、旧制中学卒業後上京して画業に打ち込みましたが、1919年(大正8年)に22歳の若さで結核のため世を去りました。今の感覚でいえば、大学を卒業するかどうかというくらいの年頃で、あっけなく夭折してしまったわけです。
 その短い期間に、槐多は200点近い油彩画、水彩画、スケッチを描き、2巻の遺作集にまとめられた、耽美とエロスの詩歌、伝奇と怪異の小説、奇想横溢する戯曲、奔放なエッセイ、痛切にして苛烈な日記・書簡などを遺しています。
 そして、彼の遺した作品は、ほぼ100年後の今日に至るまで、片時も忘れられることなく愛好されてきました。主要な美術全集や詩人全集には、必ずといってよいほど「村山槐多」の巻が設けられていますし、信州の信濃デッサン館のように、槐多の絵画を数多く収蔵する美術館もあります。弥生書房版の一巻本全集も、地味ながら在庫を切らすことなく、息長く読み継がれています。
 ホラーや幻想文学ファンにとって、村山槐多といえば、なんといってもグロテスク文学の傑作「悪魔の舌」の作者として有名でしょう。怪奇ミステリの先覚者・槐多については、江戸川乱歩や中島河太郎が早くも注目するところでしたが、とりわけ鮎川哲也編『怪奇探偵小説集』の巻頭に「悪魔の舌」が収録されたことで、戦後世代にも強烈な印象を植えつけることになりました。
 しかしながら、槐多は「悪魔の舌」一作だけで記憶されるべき作家ではありません。『古事記』への熱愛から生み出された最初期の神話ファンタジー、ホラー・ジャパネスクの遥かな先蹤となった戯曲「酒顛童子」、乱歩をして「ギラギラと五彩に輝く」「悪魔の感情」と嘆賞せしめた怪奇ミステリの数々……今回の文庫版選集では、そうした散文作品と、奔出するヴィジョンと色彩感覚の鮮烈さに圧倒される詩作品を交互に配することで、稀有なる幻視者カイタの本領を堪能していただけるように心がけてみました。

 血染めのラツパ吹き鳴らせ
 耽美の風は濃く薄く
 われらが胸にせまるなり
 五月末日日は赤く
 焦げてめぐれりなつかしく

 ああされば
 血染めのラツパ吹き鳴らせ
 われらは武装を終へたれば。(「四月短章」より)

 深夜の空の暗きをば
 焦げゆく思ひ打鎮め
 見入れば怪し羽根ぬれしかうもりは
 薄明をともなひて街上を走り狂ふ

 血に彩られし怪館の真紅の玻璃窓に
 われのみあざやかに目覚めたり
 冷めたき外面
 雨はふるふる(「薄き雨」より)

 槐多が遺した「耽美と怪奇」な詩作品の数々は、今から百年近く前に書かれたとは信じられないほど新鮮で、現代を生きる私たち猟奇の徒の琴線をも、まっすぐに揺るがせずにはおかない魅力にあふれていると思います。
 なお、本書には、最良の槐多論のひとつである江戸川乱歩のエッセイ「槐多『二少年図』」と、津原泰水が槐多の生と死をテーマに書きおろした中編小説「音の連続と無窮変奏(槐多カプリチオ)」が併録されています。両作品を通じて、その作品にもまして魅力的な槐多の生の軌跡と奇蹟を如実に実感していただけたなら、編者として、これに優る歓びはありません。

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