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青弓社 パンフレットよりさんのレビュー一覧

投稿者:青弓社 パンフレットより

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待望の一書
川北 稔

 いささかありふれた言い方ではあるが、「待望の一書」の出現である。
 世紀の変わりめに、欧米では「二十世紀を代表する歴史家」といったアンケート調査がさまざまになされた。そのいずれをみても、必ず上位で取り上げられているのが、本書の著者トムスンである。わが国では、ニューレフトの思想家・運動家としての側面もよく知られているが、肝心のイギリス社会史の研究者としての詳細は、この主著が翻訳されていないこともあって、その名声のわりには意外と知られていないことも多かったのではないかと思う。
 この大著は、トムスンの著作のなかでも社会運動史の新平面を切り開き、歴史学に新しい視角を導入した、その主著というべきものである。欧米で長年ベストセラーの位置を保ちつづけたこともいうまでもない。本書の出現で、伝統的に、組合活動や議会政党など、いわば「公認の」運動や運動体にかぎられがちだった社会運動史の研究が、既成の組織の外に置かれていた多数の民衆の——女性や高齢者や子どもをも含む——生活基盤に根ざした動きにまで拡大され、歴史学一般にも視座の転換をもたらした。
私事で申し訳ないが、私が十八世紀末の海軍大反乱に関心をもち、『民衆の大英帝国』を書く気持ちになったのも、大英帝国の栄華をたたえる軍事史研究は汗牛充棟ただならぬなかで、トムソンのこの著書だけは、ふれている個所はごくわずかだが、名もない兵士の立場から問題を取り上げていて、光るものがあったからである。
 その結果、本書はイギリスにおける「新しい社会史」研究のひとつの出発点になった。それだけに、この記念碑的な著作が日本語で広く読まれるようになったことは、歴史学だけでなく、いまやいささか混迷ぎみの人文・社会科学の広範な領域に、あらためて大きな影響を与えて、それらの活性化に役立つものと期待する。
 本書の翻訳出版を試みているという話は、これまでに、複数の出版社の有力な編集者から聞いた。しかし、今日にいたるまで、その翻訳書なるものは「幻の名著」で、おそらくもはや陽の目をみることはないのではないかとさえ疑っていた。訳者のご苦心に感謝したい。(大阪大学大学院文学研究科教授)

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