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服部泰平さんのレビュー一覧

投稿者:服部泰平

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紙の本誘拐の長い午後

2003/10/26 03:15

著者コメント

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 私見ですが、すばらしいミステリー・推理小説というのは、トリックやどんでん返し、謎といった推理小説ならではの「興」と、それを支える土台である「世界観」との融合のさじ加減ではないかと思うのです。
 トリックがすばらしくとも世界観がチャチでは、子供だましになってしまいますし、世界観が綿密でも、興がなければ、実録モノや犯罪ノンフィクションのように味気なくなってしまいます。 
 そして、偉大な先人たちの努力により「興」が出尽くしてしまった観のある現在においては、世界観が、我々の現実の世界に、いかにリンクし、問題提起や解釈をもたらすか、が重要であると思います。
 興については、どこを語ってもネタバレになってしまいますので、世界観についてすこしお話しますと、筆者である私は零細企業の二代目という、現在の不況のしわ寄せをまともに受ける立場におり、弱い立場の人間が社会によって、当たり前の生活の足場を失われる様子を目の当たりにしています。
 それと同時に、花形商売である「小説家」を目指した25歳(現在)の一若者である筆者の私は、フリーターなどをしながら夢を追いかける若者も身近で知っています。彼らもまた、自己実現にのみ眼を奪われ、いつの間にか当たり前の生活の足場を喪失してしまっています。
 そのまったく違う足場の喪失が交わるところに、一つの狂気が生まれるのではないか? ひいては足場の喪失そのものがこの国を崩壊に導いているのではないか……、そんなことを考えながら執筆にあたりました。
 
 足場がなければ、底がない。底がなければどこまでも堕ちていく……
 
 興と世界観がうまく交じり合っているかどうか、興を支えうる足場はちゃんと出来ているか、ご笑覧いただければ幸甚です。

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