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先月(2017年8月)

北本壮さんのレビュー一覧

投稿者:北本壮

1 件中 1 件~ 1 件を表示

紙の本パリ左岸のピアノ工房

2001/12/27 13:58

編集者コメント

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 本書は昨年カナダの出版社より刊行されたノンフィクション作品です。パリに住みついたアメリカ人の著者が、再びピアノを弾いてみようと入っていった街角の小さなピアノ店(実はその店の奥には広大なアトリエがあり、そこでは中古ピアノの再生が行われているのですが)で、ひとりの若い職人に出会い、交流を深めていく中で、忘れかけていた音楽への愛情を取り戻していく体験をつづっています。閉鎖的なパリの地元会社に徐々に溶け込んでいきながら、ピアノへの愛情に溢れた「哲学者」にして「商売人」のピアノ職人、リュックとの友情を育んでいく様子を描く著者の筆致は、ノンフィクションといいながらも小説のような詩情を湛え、独特のノスタルジックな雰囲気を醸し出しています。
 スタインウェイ、エラール、ベヒシュタイン、ベーゼンドルファー、ヤマハ、ファツィオーリ……などなどの名器が次々に登場し、その魅力が紹介されるとともに、家にあった無名の、思い出のピアノがどのような運命をたどるのか、或いはピアノに関わるパリの職人たちの様子や調律の繊細さについて、音楽教育のありかたやピアノそのものの歴史にいたるまで、著者のピアノへの興味が導くままに、次々と紹介されるエピソードの数々は著者のピアノへの愛情がひしひしと伝わってきます。ピアノを弾いたことがある人はもちろんのこと、ピアノに触れたことがない人にも「ピアノを弾きたい!」と思わせるだけの力がある作品と信じております。
 わたくしごとですが、担当編集者である私もピアノを習っていたことがあったのですが、本書を初めて読んだときは、いてもたってもいられずに、今や写真立て置き場と化した実家のアップライト・ピアノの前に座り、一時間ほどピアノの音と感触に没頭してしまいました。習い事の一環として、ひと通りのレッスンしか受けてこなかった私であっても、これほどまでに音楽のある生活、ピアノの音色というものが、自分にとって重要な「一部」だったのか……と不思議な、深い驚きにうたれた思い出深い作品でもあります。

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