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    3月のライオン(1)

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    羽海野 チカ(著),先崎 学 (将棋監修)

    5つ星のうち 4.5 レビュー詳細を見る

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    はらぺこあおむし 改訂

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    エリック=カール (さく),もり ひさし (やく)

    5つ星のうち 4.5 レビュー詳細を見る

虚無坊主さんのレビュー一覧

投稿者:虚無坊主

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単なる延命からQOLへ

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

本書は、再発がん・末期がんに対しても、初発がんに対すると同様な「完全治療を目指した強力な」治療、あるいは延命のみの治療が一般的な医療現場にあって、QOL(Quality of Life:日常生活の質)に基づく緩和医療を対置する。患者やその家族に対するインフォームド・コンセントを前提として、患者にとっての最善の治療の実施を目指すことを提示している。
日本の風土では、インフォームド・コンセントについて、まだ抵抗があることを著者も認めている。しかし、著者は全面的な告知の立場を採る。キューブラー・ロス著『死ぬ瞬間』の中で取り上げられている例を挙げ、がん告知後の患者の「衝撃」「否認」から「受容」に至る、人間の心の強靭さを認める立場からである。
ただロスのいう、がんの患者の心の動きを「理解し、共感」することが、医師にとって果たして本当に可能なことなのかと疑問を呈している。大切なのは「ケアされる側とケアする側とが互いに心を満たし合い、互いに育て合うこと」ではないかと。一人ひとりの患者の生死を凝視してきた著者ならではの批判である。
患者やその家族がもつことが可能な選択の幅を広げるために、第2の医師の診断を求めること、すなわちセカンド・オピニオンという考え方や、法的な限界を指摘したうえで尊厳死、安楽死の考え方を紹介している。私が最も感心したのは、患者の日常生活を少しでも快適なものとするために、QOLの観点から食事や入浴や睡眠やトイレといった生の最も基本的なところで、さまざま工夫が書かれている点である。
がん患者のマニュアル本というレベルをはるかに超えて、人間とは何か、生とは何か、死とは何かを考えさせられる優れた本である。最前線のがん治療の成果を取り入れながら末永く改訂を重ねてほしいと思う。

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