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みわさんのレビュー一覧

投稿者:みわ

11 件中 1 件~ 11 件を表示

紙の本夏と花火と私の死体

2006/02/27 01:26

うなってしまいました

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

乙一さんのデビュー作です。初めてタイトルを見たとき、私はうっかり「夏と花火と私と死体」だと思い込んでいて、「へ〜、私と死体かぁ」って思っていたのです。でも、よく読んだら違う!「私の死体」なんですよね。どうやら今回は死体が主役??って驚いてしまいました。この本にはタイトルの作品ともう1編「優子」というものが収録されています。もちろん表題の作品もよかったのですが、私は優子という2つ目の作品も「おぉ!」と衝撃を受けました。かなりおもしろいです。
9歳の夏休みに少女は殺されます。あまりにあっさりと無邪気な殺人者によって。そして、その幼い兄と妹によって隠されてしまった私の死体はどうなるのか・・・。
ということで、本当に私の死体のタイトル通り語り役は死体です。殺されてしまった少女が、殺した少女とその兄をずっと追いかけて語るんです。別に恨みとかそういう感じではなくて、とても淡々と兄妹を見続けながら読者にそれを伝えていくんですよ。兄と妹は必死で死体を隠そうとするのですが、小学生なのでこれがまた大変で・・・。あんまり書くとあれなのですが、ラストは意外な結末でした。死体の目線から物語がすすむという話の作り方もなかなか面白かったし、これが本当にデビュー作?といった感じです。
2作目の優子はとても短い作品なのであらすじは書きません。書くと解ってしまってつまらないから。でも、最初「なんじゃこれ?」と思いながら読んでいたんですけど、最後まで読んで「すごい・・・」とつぶやいてしまいました。思い返してみればいたるところに伏線が張られているんです。でも読んでいるときはまったく気がつきませんでした。普通の会話の流れの中に、実はとても重要なキーワードがいっぱい隠れているんですよ。「ウムム」って感じです。
乙一さんって私より2つほど年下らしいのですが、ものすごい才能だよなぁと感じました。これ、おもしろいです。どちらかというと黒い乙一なのかしら・・・。グレーくらい?ってところでしょうか。

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紙の本水の中のふたつの月

2005/12/08 00:12

背中がぞくぞくする

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

十数年ぶりにかかってきた幼なじみからの電話をきっかけに、封印したはずの過去の記憶が再び蘇ります。彼女たちの不思議な癖はすべて過去の記憶につながっている。普通の日常を描いているのに、なぜか背中がぞくぞくする気味の悪さをもった作品でした。
主人公の亜理子はスケジュール帳をいっぱいにして自分を忙しくしておくことが好きなOL。幼なじみの恵美から十数年ぶりに電話をもらい、梨紗も誘って幼なじみ3人組で会う約束をします。仲良し3人組が復活したとき、封印したはずの過去の記憶が蘇ります。少女たちの真夏の夜の記憶。失踪した少年。誰にも言わないと少女たちがかわした約束。少女たちがした秘密の約束とはいったいなんだったのか。すべてが明かされたとき・・・。
アリンコ、メグ、リサは小学生の頃の友人。3人はいつでも仲良く遊んでいたのですが、ある夏の出来事を境にばらばらになっていきます。そして、十数年後に再開したとき、お互いに今まではなかった奇妙な癖を持っていることに気がつくんです。アリンコは「忙しくしている自分」が大好きで、暇な時間があることが我慢できないという癖。メグは誰もが嘘だとわかるような、大きな嘘をつく癖。リサは潔癖症でしょっちゅう手を洗いたくなる癖。どれも日常に隠れているとそれほど大きな影響を及ぼさないのですが、すべてがあの夏の記憶につながっているとわかったとき、背中がぞっとしました。彼女たちの今は、すべてあの夏の記憶が作っているといっても過言ではないと思います。
幼い頃の記憶がここまで人間の成長に影響を及ぼすのかと驚くと同時に、罪というものに対する意識の薄さに恐ろしさを感じました。ごくごく普通に暮らしているはずの隣人が、彼女たちのような人間の可能性もあるんですよね。日常に近い話なだけに、ありえないとは言えない恐ろしさがありました。かなり怖かったです。

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紙の本約束

2005/11/15 03:28

壊れた心

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

かけがえのないものを失った人たちが登場します。失われた瞬間から止まっていた時が再び戻るとき、人の心が再び動き出すときの優しい空気がたくさん詰まった本でした。喪失と再生という意味では、吉本ばななさんの書くもののような優しく切ない雰囲気が流れていたような気がします。
この本には6つの短編が入っています。私は一つめの作品「約束」が一番好きでした。池田小学校の事件をモチーフにしたもので、目の前でヒーローだった親友を失った少年の話です。小学4年生の少年カンタは友人ヨウジとの学校の帰り道にナイフを持った男に襲われます。そして、ヨウジはカンタを突き飛ばして自分が刺されて死んでしまう。大切な友人であり心のヒーローだったヨウジを失ったカンタは心が崩れていってしまいます。
作中にカンタが「ほんとうはぼくが死ねばよかった。」「ヨウジが死んじゃったのに、ぼくが生きててごめんなさい」とヨウジの両親に言うシーンがあります。たった10歳なのに、ここまで思いつめるものなのですね。自分よりも生きている価値があったはずと。カンタにとって大好きな友人が自分を守って死んでしまったという衝撃がどれだけ大きかったのかを思うと心が痛くなります。PTSDという言葉をよくニュースで聞きますが、カンタはまさにそう。かなり重度のPTSDになってしまい、自傷行為をしてしまう危険性がある子どもになってしまったのです。
今まで私は子どもって嫌なことがあっても結構すぐに忘れられるだろうと思っていたんです。だから子どものPTSDが心配という話を聞いても、ふーんって流して聞いていたんです。でも、こんなに小さな子どもの心が壊れていってしまうほどの衝撃だなんて。カンタの様子を読んで「今までの私って何を聞いていたんだろう」って愕然としました。そして、私の想像力の欠如を感じました。同じニュースを見ても、石田衣良さんの心はこんなにも繊細にキャッチしていたんですよね。
石田衣良という作家のすごさをまた見てしまいました。

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蘇る記憶は偽物?本物?

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

このお話はなんだか不思議な感じ。本当に実現したらとても怖い「記憶の改変」がベースになっているんです。過去の記憶が自分の本当の過去と変わってしまっていたら・・・。しかも、その変わる前の記憶&変えたという事実を覚えていないとしたら。想像すると、とっても怖いことだと思います。
主人公は自分の記憶がおかしいことに気がつきます。時々夢で見る不思議な記憶。自分の彼女が、実は親友の彼女だったというもの。そして、その親友の彼女に片思いして、親友に嫉妬している自分がいるというもの。目覚めてから、その夢を否定するたびに沸き起こる不安と罪悪感。それが一体何なのか、気になっているうちにだんだん過去の記憶が蘇ってくるんです。なぜ自分の記憶が2つあるのか不安になります。
今ここにいる自分は本当の自分なのか。
自分の知っている今の生活は、本物なのか。
最後はとても優しい終わり方なので、決して怖い話ではないんですけどね。私は読み終わって、本当に過去の記憶を変えられる技術が開発されてそれが使われるようになったら・・・、とても恐ろしいことだと感じました。だって、誰かにとって不都合な過去を、勝手に消してしまうことができるから。もちろん自分にとってもそうだけど。
確かにそういう過去の記憶を改変する必要がある人もいると思う。何かの事件とかでトラウマになっている記憶を消すというのは有効な使い方なのかも。でも、私は自分の過去で消してしまいたいようなことはないかなぁ。今の自分を作ってきたものだから。過去が変わってしまったら、今の私じゃなくなっちゃう気がする。
私が私じゃなくなる・・・。
それって怖いことですよね?

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紙の本きみに読む物語

2005/10/29 22:18

愛は与えるもの

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

80歳になった老人ノアが、アルツハイマーになってしまいすべてを忘れたアリーのために奇跡を信じてある物語を読み続けます。その物語は愛の物語です。18才だった頃の彼女との出逢いと別れ。そして、31歳のノアに起こった愛の奇跡。幸せだった日々を聞いて、いつか自分を思い出してくれる瞬間を望んでノアは読み続けます。
この話にはノアとアリーの愛がめいいっぱい書かれています。この2人は14年間も離れていたにも関わらず、再び出会ったことでやはり大切な人だったことを再認識させられるんです。それだけでもすごいことです。一緒にいると次第にそれが普通になっていくことが多いような気がするのですが、ノアとアリーは日々を一緒に過ごすことでよりいっそう愛を深めていくんです。与え続ける愛。奇跡を信じて、その日を待って愛を与え続ける。まさに純愛といった感じです。どっぷりとラブストーリーにはまりたいときは、かなりお薦めかもしれません。

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運命の息子 上巻

2005/10/29 22:14

運命のいたずらに負けないふたり

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

運命のいたずらで引き裂かれた双子の兄弟の話です。
裕福な実業家ダヴェンポート家に念願の男の子が生まれた。同じ日、保険セールスマンのカートライト家にも双子の男の子が生まれた。3人の男の子が同じ病院で同じ日に生まれ、悲しいことにその日の夜になって1人の男の子が死んでしまった。そして、ダヴェンポート家専属だった看護婦ヘザーによって双子は生まれてすぐ引き離されることになった。ヘザーと、それに気がついた担当医師以外は、誰も知らないままに・・・。異なる環境で育てられた双子ナットとフレッチャーは、成長していく過程でそれぞれの夢を見つけていきます。双子が再び巡り合う時、2人はどのように育っているのか。
成長し、お互いが兄弟だったと発覚したときには、非常によいライバルであり尊敬しあえる存在になっていました。金銭的にはまったく違う環境で育てられたにも関わらず、2人ともそれぞれ自分のよい所を伸ばしてリーダーシップの強い人間になるんですよ。これって環境に関わらず本来もっていた人間性というか性格もあるんでしょうね。この2人は2卵生双生児らしく、顔がまったく同じというわけではないんです。だから周りはなかなか気がつかない。というか、本人たちとこの2人の奥さん以外は最後まで誰も気がつかないままなんです。でも、中身は基本的に近い気がします。違う考え方の親が育てたはずなんですけど、偶然にも親同士の価値観もそれほど遠くなかったのかなぁという気もします。
話の展開はこの2人の成長を順番に見ていく感じになります。ですから、細かくシーンが入れ替わってしまうんです。ジェフリー・アーチャーの作品にはよくあるパターンなのですが、今回は少し切り替わるテンポが速かったかなぁと感じました。私はそれほど気にならなかったのですが、あまりころころと場面が替わるので感情移入がしにくい人もいるかもしれません。
そして、とてもアーチャーらしいのが結末をはっきり書いてないところ。最後がどうなったのかと気になるところですが、実はちゃんと読んでいくと上巻にその答えが書かれているんです。すごい伏線です。うっかりさら〜っと読んでしまうと、結末がどうなったのかわかりにくくなってしまうんですもん。アーチャの作品はいつも最後まで気が抜けません。相変わらずおもしろい作品でした。

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ウェルカム・ホーム!

2006/02/09 02:32

愛が溢れてます

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

このウェルカム・ホーム!に2つの作品が入っています。「渡辺毅のウェルカム・ホーム」と「児島律子のウェルカム・ホーム」というものです。主人公「渡辺毅」と「児島律子」の家族はよくある一般的な家族ではありません。でも、明らかに家族。血はつながってなくても、しっかりとした愛情で結ばれている素敵な家族です。この本は公園で遊ぶ息子とダンナを眺めながらベンチで読んでいたのですが、外だということも忘れてうっかり泣きそうになってしまいました。
「渡辺毅のウェルカム・ホーム」は父親・ヒデと息子・ノリ、そして父親の友人である毅の3人家族です。ノリの母親はノリの記憶がないほど幼い頃に亡くなってしまい、その後釜?として家族に仲間入りしたのがヒデの親友だった毅です。父親のレストランをつぶしてしまい、妻には離婚されて行き場を失っていた毅は主夫としてノリを育てていくのです。毅には男の沽券という複雑な葛藤もあるのですが、それはそれ。男3人の家庭だけどそこにはとても素敵な家族ができあがっていて、読み進めるほどに心が温かくなる感じがしています。
「児島律子のウェルカム・ホーム」では、離婚した夫の連れ子に数年ぶりに再会できた様子を描いてます。とても愛情たっぷりに育てていたのに、連れ子だからという理由で夫との離婚とともに一緒に暮らすことができなくなった律子と聖奈の微妙な関係。夫の連れ子だから当然血のつながりはありません。そんな育ての親と娘の気持ちがとても上手に描かれています。
離婚や再婚、シングルマザーや父子家庭など、家族の形も多様化してきています。父親がいて、母親がいて、子どもがいるという世間では普通と言われる家族構成でも、普通じゃない家族もあると思います。どんな形態でも、そこに愛さえあればそれはとても素敵な温かい家族になれるんだなぁと感じさせてくれる作品です。逆に言えば、愛がなければ家族だってただの同居人になってしまう可能性もありますよね。家族というものに対して、そして普通というものに対して考えさせてくれました。

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紙の本スローグッドバイ

2005/10/29 22:26

たくさんの恋や愛

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

帯の「さよならから始まる恋人たちの物語」というフレーズが気に入って手にとって見た本です。作者のあとがきによると、この本は初めての短編集&恋愛小説だそうです。今まで書いてきた作品とはまったく趣が違うということなんでしょうね。
本の中身の話ですが、10個の恋の物語が収められていました。恋人に浮気されたのに泣けない女の子。ネット上で出会った僕好みの女の子。さよならから始まった新しい恋。ひと夏で燃え尽きた恋。体から始まった恋。夢を支え続ける愛。など、たくさんの恋や愛が入ってます。
私が中でも一番気に入ったのはローマンホリデイという作品です。結末は書いてしまうとつまらないので触れませんが、「私とローマの休日をしませんか?」という掲示板の書き込みから、思わぬ出会いにつながります。主人公の男性はきっと人間として素敵な人なんだろうなぁと思わせてくれるものでした。
全体的な感想としては、軽めの恋愛小説といった感じです。たぶん恋愛小説が好きな人なら、誰でも読みやすいと思います。一部、セックスの話などが出てきたりするので苦手な人もいるのかしら。私はこの程度だったら、お話の中に必要なものとして問題ないと感じるのだけど。いや、一部というより結構出てくるかも。ただ、それほど露骨に出てくるものではないので、恋や愛の一部として必要なものという感じだと思います。

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紙の本娼年

2006/02/02 23:44

何が普通なのか

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

娼年というタイトルの通り、コールガールならぬコールボーイのお話です。ごく普通の20歳の大学生リョウは、年上の魅力的な女性・静香に誘われて男娼として働き始めます。そして戸惑いながらも、様々な女性たちの欲望に対応していく。複数の女性たちと出会うたびに成長していくリョウの姿が描かれています。
リョウが出会う様々な女性たちは世間的には「変態」と言われてしまうような性癖を持っている人たちがたくさんいます。だけど、そんな女性たちに対する石田さんの書き方はとても優しい。偏見の目で見るわけでもなく、とても淡々と「みんなそれぞれ違うけどどれも普通なんだよ」という風に感じられるんです。だから、主人公のリョウも石田さんと同じように優しい。リョウはどんな相手にでも体の欲求を満たしてあげるだけでなくて、心から満たしてあげられるようなそんな男娼になっていくんです。こんな男の子に会ってみたい・・・と思わせるような素敵な男性になっていくんです。
ちなみに、中には結構セックスの描写が数多く出てきます。(まぁ、男娼の話なので当然なのですが・・・)でも、それほどいやらしい感じではなく、とても上品に仕上がっていると思います。ですから官能的な話だと思って期待して読んだ人はがっかりするかも。そのくらいさらっと上品です。
何が普通で、何が普通じゃないのか。基準は誰が決めるのか・・・。とても考えさせられました。

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紙の本LAST

2006/01/26 14:07

がけっぷち人生

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

がけっぷちに追い込まれた人たちを描く7つの短編が入っていました。これがまた本当にダークで、読後に暗い気持ちになってしまったものもあります。一気に読み終わってしまったのですが、本を閉じたときにため息が出てしまいました・・・。石田衣良という人は、いったいどんな人なんだろう。とても優しい雰囲気の作品を書くこともできる反面、こんなに心がドロドロするような裏の世界を書くこともできる。 もちろんどちらも彼自身に能力がないとできない作業なんだろうけど、それにしてもここまで反対の作品を書くことができるなんて、彼の心の中が覗いてみたいです。
私が唯一救いがあるなぁと感じたのは「ラストジョブ」です。夫の給与が下がったために苦しくなった住宅ローンの返済のために消費者金融からお金を借りてしまった主人公の真弓。もちろん返却などはできるはずもなく、別の消費者金融から借りて穴埋めをする生活。どんどんと返済金額は増え続けてしまい、真弓のパート代だけでは不可能な金額にまで膨れ上がってしまいます。とうとう悩んだ真弓が選んだ道は・・・。
ということで、結末は言いません。彼女がしたものは決して普通の選択とは言えませんが、それもありでしょう。ちなみに決して死ではありません。私は基本的に死をもってすべてを終わらせるという考え方は嫌いなのです。なので自殺というチョイスは好きではないんです。
この本の中には命を削りながら生きながらえている人たちがいっぱいでてきます。おかげさまで私はそういう生活を体験したことはないのですが、世の中にはこのような生活をしながら生きながらえている人たちがいるということも事実だと思います。とても重たい話が多くて心がすさむ感じはありますが、読んでみてください。

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紙の本赤い長靴

2005/10/29 22:29

結婚の形はいろいろ

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

日和子と逍三の夫婦の話です。結婚して10年ですが、まだ子供はいません。逍三がうちへ帰ってくると、急に家の中がさわがしくなります。今までの空気をがらりと変えてしまうくらい。日和子は昼間の出来事など、いろいろ話しかけるのですが逍三はまったく聞いていません。必要最低限の会話は成立しているのかもしれないけど、日和子の言いたいことは伝わっていないみたいなんです。自分の言葉が伝わらないたび、日和子は思わずクスクス笑ってしまう。悲しみを閉じ込め、諦めを込めて。
週末の昼間、友達に会いに行くことすら逍三には不機嫌の対象になるんです。3週間も前に言ってあっても、当日の朝になると機嫌が悪い。「昼ごはんはどうすればいいんだ?」って。
一緒に行った散歩先のバザーで、欲しくもないものをどんどん買い与えられ「もういいだろ」って感じで満足げの逍三。日和子は何度も「欲しくない」と伝えたのに。
そんなの、我が家だったらありえない。「お昼?適当に自分で食べてよ」って言っちゃう。お互いが欲しくもないものを買っているのを見かけたら「なんでそんなもの買うの?」って止めちゃう。でも、日和子にはできないんです。「ほんとうのこと」は言ってはいけないから。「ほんとうのこと」に取り憑かれてしまったら、最後にたどり着く先は1つしかないから。
ほんとうのことを言えない2人って幸せなんだろうか。確かに本当のことを言ってはいけないものもあるし、どこかで諦めなければいけない(妥協とも言うのかなぁ?)箇所もあると思う。だけど、日和子と逍三は100%のうち90%くらいすれ違っているように見えるんです。もしかしたらこの夫婦って逍三は幸せかもしれないけど、日和子にとっては幸せとは言えないのかも。でも、なんで夫婦を続けているのか。きっと、どこかに好きなところがあるからなんだろうなぁ。他人である私には理解できない部分で。
今回の作品は共感できる部分もあり、理解できない部分もあり。私的にはイマイチな作品でした。ただ、相変わらず日常の一部をきれいに切り取り、描写するのがとても上手だなぁと感じました。言葉の選び方がきれい。内容としてはとてもきれいとは言えないのに、なぜか透明感のある感じがします。

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