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先月(2017年8月)

PON-Kさんのレビュー一覧

投稿者:PON-K

1 件中 1 件~ 1 件を表示

紙の本半島を出よ 上

2005/05/03 23:17

毒々しいけど美しい。

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

最近、近未来を扱ったシミュレーション小説と呼ばれる作品が多いが、専門的な情報をくどくど説明して無駄に長いと感じることがよくある。
小説家は、その作品を書くために膨大な情報を調べるのだろうから、それをできるだけ伝えたいと思うことは理解できる。まして、小説の枚数が増えれば原稿料や書籍の単価もあがって印税も増えると考えると、長々と説明したくもなるだろう。
「半島を出よ」も上下巻でかなり長い作品だが、描かれる情報に無駄がない。軍事関係に限らず様々な情報が詰め込まれているが、必要とされる量を絞って書いているように感じる。しかもストーリーにそっているので違和感がない。情報の質も高いのだと思う。
この作品を読むと、過去に読んだシミュレーション小説は、シミュレーションされる状況やそれまで知らなかった知識がおもしろかっただけで、小説としての質を追求していなかったのではないかと思う。「半島を出よ」はシミュレーションとしても小説としておもしろい。仮にシミュレーションの部分に説得力がなく、新しい情報も提供できなかったとしても、ストーリーや登場人物、訴求するテーマやメッセージだけでも楽しめるだろう。
しかし村上龍はどうしたのだろうか。これまで私が読んだ村上龍の小説と違い、この作品はやさしさにあふれている。いつものようなグロテスクな描写も美しく感じさせる。
ここまで明確に『再生』を描いたのははじめてではないだろうか。特に小説の最後の一行は、まったくどうでもいいような言葉なのだが、上下二巻を読んでこの言葉にたどりつくと、この小説で描きたかったすべてを表現した心温まる詩なのだと感じる。
もちろん毒もふんだんにあるので、というより登場する日本人も北朝鮮兵士もほぼ全員に毒があるので、一般的な心温まるストーリーではない。しかし、この作品の象徴であるカエルのことを考えると、毒がなくなり、やさしさ、美しさを感じさせるのも作者の意図したものだと思う。
さらに、このカエルは過去の村上龍作品からの変化していることまで象徴している、というのは考えすぎだろうか。

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