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レビューアーランキング
先月(2017年6月)

江葉さんのレビュー一覧

投稿者:江葉

6 件中 1 件~ 6 件を表示

紙の本泣き虫弱虫諸葛孔明 第1部

2005/07/20 23:41

抱腹絶倒とはこの小説のことを言う

10人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

ファン待望の(久しぶりの)新刊であるが、
題材が三国志というだけあって初めて酒見賢一という作家を
知ることになる人もいるだろう。
とにかく小説は面白くなければ、というスタンスにこだわった作家であり、
淡々とした筆運びの中にエンターテイメントが詰まっているといっていいだろう。
いままで誰もやらなかったような角度から諸葛亮を切ってしまう。
これがこの小説の醍醐味だ。
多くの作家が三国志を描いてきたが、これほど異質な世界観を醸し出しているのは
この作品くらいだろう。
ストーリーの途中でも、すぐに脱線して作者視点のエッセイ調の部分がでてくるのも
酒見賢一ならでは。
とても分厚いので、躊躇する方もいられるだろうが大丈夫。
あっという間に読み終わってしまうことうけあい。
ついでに、この分厚さで2000円は破格の値段といっていいだろう。
現在、この続きも連載中であるから、しばらく(かなり先)すれば第2巻が読めることに!
(これも間違いなく面白い)

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紙の本中国の歴史 04 三国志の世界

2005/08/18 22:42

新しい三国時代の概説書

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

4巻は三国志演義のえがく時期(党錮の禁〜呉の滅亡)までをきれいに扱っている。
本書の特徴は文献学的な見地だけでなく、最新の考古学的な発見まで
カバーしている所にある。
1984年に発掘された呉の朱然の墓などはその際たるものである。
いままでの三国志の概説書が魏もしくは蜀に着目されてきたが、
本書は呉に注目して論が展開する。
三国が鼎立するのは呉がキャスティングボードを握っていたわけであり、
その呉を軽視した演義の影響を払拭できる内容となっている。
中でも、魯粛が高評価されている。演義の魯粛のイメージしか
ない人には新鮮であろう。
オーソドックスに流れを追い、さらに三宗教の鼎立の話、文学、
邪馬台国とおさえてある。
紙の普及→手紙の普及→名士たちのネットワーク→各国の熾烈な外交
このような分裂期の外交論だけみても小説以上に
歴史としての三国志は面白いことに気付くのではないだろうか。
小説しか読んだことのない初心者でも十分楽しめると思います。
難しそうと遠慮なさらずに。
ちなみに、今回の中国の歴史シリーズは、今までの概説書をある程度
読んでいることを前提として作られているように思われます。
それでも、三国志を扱った本書は比較的初心者にもとっつきやすく、
中級者にも読み込めるようなつくりになっています。
(他巻より扱う時代が狭いわりに、頁数が多いのです)

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たいへん珍しいテーマの歴史物の漫画

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

少女マンガでなく、男性作家の西洋史物の歴史漫画というとただでさえ数少ないのだが、
イタリア戦争が題材というから大変マニアックだ。
イタリア戦争なんて、かなり歴史好きでないと思い出せないくらいのレベルであるが、
塩野七生のルネサンス物の小説などを読んでいれば、多少は馴染みがあるかもしれない。
イタリア・ルネサンスの終焉ともいえる時期、15世紀末から16世紀にかけての興味深い戦争なのだが、
細かい予備知識は必要ない。
主人公を始めとして、登場人物は架空のキャラクターなので、あくまで
舞台はイタリアですという程度の理解で十分だろう。
しかし、骨子はしっかりしている。
傭兵部隊が軍の主軸だった時代を忠実に反映させているし、
武装に関してもディティールまでこだわった書き方に感心させられる。
最新兵器たる大砲の扱いもとても興味深い。
物語は、フランスの大軍が北イタリアに進軍。
その中で、主人公はイタリア側のある都市国家を率いる男装の麗人。
生き別れの妹など、魅力的なキャラクターが登場し、
これから物語がどう動いていくのか楽しみの第1巻である。

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海東青 摂政王ドルゴン

2005/10/02 20:00

英雄ドルゴンの一代記

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

ドルゴンがいなければ、清は中国に君臨することはできなかっただろう。
政治力・軍事力ともに清初の武将の中で随一であり、
最大の権力者だったドルゴン。
彼の一般的なイメージは幼帝(順治帝)を擁し摂政王として権力を
ほしいままにした男。
さらに、順治帝の生母を娶ったという破廉恥な男。
有能だが、何か暗いところのある悪役的なイメージが強い人物である。
歴史小説で登場するとき、ドルゴンは倣岸な権力者という描かれ方が多い。
そのドルゴンのイメージを一変させるであろう小説が本書である。
女性作家らしいこまやかな心理描写で繊細なドルゴンを描き出した。
ホンタイジ時代を中心に描き、若きドルゴンが魅力的である。
どう違うのかは、ぜひこの小説を読んで確認して欲しい。
読了後に今までと違ったドルゴン像が印象付けられるだろう。
作家によっていかに人物の見かたが変わってくるかという好例だろう。

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紙の本戦国名臣列伝

2008/09/13 20:21

戦国時代を俯瞰する良質の列伝集です

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

著者のライフワーク的な春秋戦国時代の戦国時代を
駆け抜けた個性あふれる16人の列伝。
范蠡、呉起、孫ピン、商鞅、蘇秦、魏ゼン、楽毅、田単、屈原、藺相如、廉頗、趙奢、白起、范雎、呂不韋、王翦
と、このようなラインナップ。
君主以外の主要人物はほぼ押さえてあるといっていいだろう。
列伝集だが、戦国史の入門書として考えてもよいだろう。
すでに、著者の小説の主人公として扱っている人物も多いが、
本作では、小説での紋切り型の説教臭さは抑えられ、
淡々と人物の生涯を追っている。
さらに一人分の話もコンパクトに纏められており、
小説でありがちだった、誰の話を読んでも同じような優等生物語の展開
という退屈さもない。
流石に春秋戦国時代に造詣の深い宮城谷氏らしく、
細かい年代の考証や、人物の背景などは、専門家顔負けです。
ゆえに、小説的な部分は極力削った、戦国時代の研究ノート的なエッセイに仕上がっています。
春秋戦国時代を扱う上で、必ず遭遇する史記の年代矛盾に関しても、
宮城谷流の解釈がなされていますが、
現在のこの時代の研究における第一人者である平勢先生の研究成果が
まったく無視されているのは如何なものかと思いました。
有名な研究者ですから、その著書も読んでいらっしゃるでしょうから、
宮城谷先生がどう考えているのかも知りたいものです。(反対なら反対で)

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武侠の傑作シリーズ

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

金庸の武侠小説の中でも最も有名な作品がこの
『射雕英雄伝』である。
金庸という作家と武侠小説というジャンルは知る人ぞ知るような
状態であるが、これからもう少しメジャーになって欲しいものだ。
金庸の武侠は中国の歴史を舞台にしたアクション性の高い大衆娯楽小説である。
少年マンガのような痛快さと、歴史小説のような重厚さが同時に味わえるところが魅力だろう。
本作は中国で金と南宋が対峙していたころ、
北方ではチンギス=ハンの勃興期だったころが舞台である。
その中で主人公が成長していく物語である。
史実・架空の人物を織り交ぜ、その多彩なキャラクターが
金庸の魅力の1つである。
また荒唐無稽な武術の数々はテンポよく、
一気呵成に読ませることだろう。
一度読み出したら止まらない面白さがあるのだ。
本作のドラマ化されたものがDVDなどで楽しめるので、
映像とともに読んでみてはどうだろう。

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