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先月(2017年4月)

EXCEEDISM!さんのレビュー一覧

投稿者:EXCEEDISM!

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英語教育に関わる人の必読書

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「英語は国際語だから日本人は皆学ぶ必要がある。」という論法に一度ならず引っかかりを持った人はいないだろうか。一英語教師として、私は日々この論法を学生に押しつけているような猜疑心に悩まされてきたような気がする。
本書は、長年にわたり英語教育および英語教員養成に携わってきた著者が、その言語観と言語教育観を類型論的に整理した上で、日本における英語教育のあるべき姿を提言し具体案とともに示したものである。2部構成のうちの第1部の理論編は、言語のとらえ方を筆者独特の知見にもとづいて用語的に精査している。いままでなんとなく心の中でしっくりこなかったことや考えていたことがここに整理されている。「母語」「母国語」「異言語」「第二言語」「外国語」「英語」「外国語としての英語」「第二言語としての英語」などの用語である。これらを整理した上で、世界的に見た外国語教育のあり方と日本の英語教育のあり方を概観した筆者は「国際英語」の存在を批評を加えて認め、日本式英語教育を提案する。英語教育=英・米文化の受容一辺倒、という立場とは異なる、日本文化を徹底的に利用した主体的な発信と受信を重視した国際コミュニケーション能力を目指すべきと言う。これは概ねLarry E. Smith(1983)による英語の分類:English as an International Intranational Language (EIIL)に依拠している。
理念的に共感できる点の中に、現地語尊重主義と自己表現の重視がある。前者は、国際的な場面=英語、という直結した構図に疑問を呈し、まずは可能な限り互いの母語の使用に努める姿勢を促す。また、後者は実践的コミュニケーションの育成が金言視され、英会話ごっこが流布している英語教育環境で、「私が言いたいこと(感じたこと)は〜です。」といえる主体の育成を目指している点である。国内外を問わずコミュニケーションの前提には個人が存在し、個人に対する豊かな「己」の耕しは教育上不可欠である。ビジネスであれ政治であれ、己の表現こそが相互交渉の始まりであり、ゴールではない。
本書の特筆すべき点は、筆者の目指す日本型EIL教育を、理念だけではなく具体的に構成要素の基準も含めて示していることである。文法は学習指導要領の示す項目、発音は日本語訛りも許容する、表現は自文化の発想にもとづいたものでよい、語用論的には英語圏のロジックやレトリックにこだわらない、教授法は目的に応じた折衷法(eclectic method)、そしてなによりも教材、題材、内容を重視する。英米以外の情報も含めた多様な異文化を扱う。具体的な指導例にもあるが、異文化理解トレーニングで使用されるカルチャー・アシミレーターも取り入れる。これらの具体例には、批評的な見方もあろうが、現場ではネイティブ至上主義にもとづいて、生徒に対してどこまでも要求する傾向がある。日本語を母語とする学習者にとって接近可能な基準として注目したい。
全体を通して、「伊原式EIL論」とでも言うべきか、柔軟性と多様性の中に一貫性が抜かれてた秀作といえる。

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