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Kakkoさんのレビュー一覧

投稿者:Kakko

3 件中 1 件~ 3 件を表示

真実の恐怖

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

小説はフィクションだ。だが、この作品は真実のように読ませる。
作者の「小説など嘘だ。嘘を書いているだけだ」という姿勢が、真実そのものだからだろう。読者は物語(フィクション)と現実(ノンフィクション)の狭間にはまりこみ、せめてどちらかの世界に這い上がろうとあがくことになる。一冊を読み終えてようやく解放されたとき、私は自分がどちらの世界をさまよっていたのかわからなかった。冒頭から作者の仕掛けに陥れられていたと気がついた。
小説の中に「小説など嘘だ」と記されている。となれば、その一文もまた嘘だからだ。
誰にでもわかるフィクションを散りばめつつ、作者にすら現実と区別のつかないフィクションを構築する力技に圧倒される。
最後には作家が物語を「書く」というノンフィクションだけが幻のように浮かび上がる。
舌触りのいいフィクションに慣らされた読者への痛快な回し蹴り。

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紙の本間宮兄弟

2005/08/09 12:53

空気の描写

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

苦手な江國香織だが、これはとても好きだった。
淡々と、人が描かれている心地よさ。
誰かがそこに存在する空気の味わい。
私が小説を読む楽しみは、現実では知り得ない人々の人生の断片に触れることだ。
こういう人たちは、よくよく見れば、存在しているのだろう。なのに、日常では関わることがなく、当然ながら彼らのような生活、心情を知る機会がない。
自分の感性に合っても合わなくても、人物にリアリティーがあってもなくても、「こういう人がどこかにいる」「こういう世界がどこかにある」と知るだけで、読書は私にとって有益だ。
物語の面白さなどより、「江國香織という作者がこういう人たちのこういう世界を描いた」ことそのものに物語があるのだと感じるし、読者はこの作品を通してその物語の断片に触れられる。それが、私には楽しかった。
余談ながら、読者がコメントする書評について、共感やリアリティーや興味や好みにおける採点ポイントで、作品を評する姿勢を、いつも痛ましく感じる。好みでないことを得意口調で公表する自己顕示欲は毒々しくて、嫌な気持ちになる。個人の書評サイトでの毒の吐き散らしは自由だが、本を売るサイトにそれを掲載することに疑問を感じる。たくさんの読者がたくさんの本を手にする機会があってこそ、より豊穣な出逢いに広がるはずなのに、なんだかとても悲しいし、恐ろしい。

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パレット

2005/08/09 12:03

躍動の輝き

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

渋谷区というのは、それほど特殊な地域だろうか。
読み始めたときには、それが疑問だった。どんなにファッショナブルな町にも普通に暮らす人々がいる。家族の事情があって、ちょっと変わった友達がいてという、誰とも違わない生活があるはずだ。
そうした毎日を送る中学生の女の子の物語。この女の子たちがとても可愛らしい。大人びた考えと制約された行動のギャップ。大人の男性を見つめる意地悪さ。同級生の男の子への素直な共感。同級生の女の子から妬まれる戸惑い。
思春期ってこうだったと思い出された。色んなことを大人よりずっと真剣に考えていた。これからの人生にどんな色を塗ろうかと考えながらパレットで色を混ぜ合わせている季節。
中学生が30歳のサラリーマンと交際しているという設定はセンセーショナルだが、なるほど、この女の子ならそうするだろうと素直に読み進められた。
光文社の挟み込み広告に、作者の実体験であるようなコメントが掲載されていたが、そんな経験のない私にも、自分がそうであったらと想像したくなるファンタジーとして楽しめる。ファッショナブルな町の片隅で、学校帰りに寄り道しておしゃべりする少女たちが、映画の1シーンのように浮かび上がる。
いきいきと躍動する少女たちに、私の現実にはいなかった、ちょっと変わった友達のような親しみを感じながら読み終えた。

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