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harryさんのレビュー一覧

投稿者:harry

4 件中 1 件~ 4 件を表示

紙の本スターガール

2005/08/25 05:50

まぶしすぎる星

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 男子学生”レオ”と、風変わりな転校生、自称”スター☆ガール”。そして、それを取り巻く学生達。個性のかたまりであるスターガール(以下SG)は、始め、無邪気な天使のようだと歓迎される。彼女の無垢な、しかし、普通の人から見れば破天荒な考え方は、レオにとってとても魅力的に映っていた。だが、風変わりなSGに向けられた、周りの学生達の”異端者を排斥する目”が、自分へも向けられていると知ったとたん、レオの愛情は急速に小さくなる。

 彼女を「普通の人」にするため、まるで赤ん坊に言葉を教えるかのように一つずつ”世間”について教えるレオだったが、最後には憎しみすら覚えて、彼女から逃げ出していくのだ。”世界を敵に回してもボクは君の見方だ”と、彼は言い切れなかった。レオを責めることのできる人は少ないだろう。なぜなら自分だって、きっと、同じことをSGにするに違いないからだ。まぶしすぎる星を前にすると、目を伏せてしまうように。SGがレオの忠告に従って、普通であろうと努力する様は、天使の羽を無理矢理ねじ伏せて服の中にしまいこむように思えて、”struggle(もがく)”という単語が頭に浮かんだ。
 「ねぇ、SG。何もかもを自分のやり方でやるっていうわけにはいかないこともあるんだよ。ずっと学校に通ったことがなかったんだから、しょうがないかもしれないけど。人は誰でも、朝起きた瞬間から、世界中の他の人たちがどう思うのかを考えながらいきているんだよ。」
 SGはある日姿を消す。しかし、彼女に関わったすべての人の心に、消えない何かを確実に残した。大人になるにつれ忘れていく(忘れていくということすら気付かない)「無垢な心」、それはSGそのものなのだ。ダンス・パーティのような日常とかけ離れた空間で、いろんなしがらみを忘れ、心の底から楽しむ…そんな時、自分の中のSGが目を覚ますのかもしれない。
絵本「ストライプ」(デビッド・シャノン)も、「個性」を核においているものだ。しかし、「スター☆ガール」は全く逆の観点で描かれている。「スター☆ガール」は、楽しく読める。しかし、読み終わってしばらくすると、色々な考えがぐるぐると四六時中頭をかけめぐる。これほど、本を閉じて後、様々な思いに取りつかれたものは珍しい。

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紙の本チュウリップの幻術

2005/11/07 04:03

DAYDREAM

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

賢治と同じ岩手出身の画家、田原田鶴子さんの絵です。地元の人が彼女の絵を見て「土地の風景そのものの匂いがする」と共感したそうです。東北の春というものがこんなに光に満ちているのかと、私は驚き、その鮮やかな美しさに胸打たれました。
賢治らしい、ややまどろっこしく、化学用語をちりばめた会話が主ですが、傘やさんと庭師の立つ庭に吹く風をあなたはきっと感じます。遠くにはまだ白く雪の残る山脈、トルコ色の空、ゆっくりと流れる雲。チュウリップをながめる傘やさんの髪がふわりと揺れたように見えるのは、私だけじゃないはず。
ゆらゆらと立ち上る陽炎を、「水へ砂糖を溶かしたときのような…」とありますが、立ち上る陽炎を「光の酒」と称して、二人は酒盛りを始めます。チュウリップの幻術に酔い、取り巻く自然をgood fellowのように感じ始めているうちにチュウリップ酒に火が入り、あたりは白い煙がたちこめて…。二人は我にかえる。
真昼の夢。DAY DREAM。あなたもこの不思議な午後を体験してみてはいかがでしょう。美しい美しい1冊です

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紙の本遠めがねの海

2009/02/23 07:11

覗き窓の向こう

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 子どもの頃、透明なモノに心ひかれなかっただろうか。

 水たまりに張った薄氷、渦が巻きあがった模様のビー玉、浜辺に落ちている角の丸いガラスのかけら。それらを光に透かし眺めたとき、向こう側の景色が異世界のように感じたことはなかったか。この作品から、好奇心に満ちた子ども時代を思い出す人はきっといる。

 静まりかえった初秋の海辺。ぼくは1軒のアンティークショップで「遠めがね」に出合った。ウインドー越しにレンズを覗くと、毎回違う景色が映る。どうやらそれは、店主であるおじいさんが、相棒の老犬と旅した世界中の海の景色を見せてくれているようだ。おじいさんは店をたたみ、老犬は水平線の彼方に消えていった。ぼくは譲られた遠めがねを見ながら、彼らの冒険の軌跡をいつかなぞろうと思いをはせる。
 
 大人向けの渋いメルヘンである。村上氏が描くコミカルな絵によって、渋さは緩んではいるものの、子どもが読むと、海へ突き進む老犬の狂気じみた場面だけが心に残るかもしれない。「犬はどこへいったの?」その答えに、いつかたどりつけばそれでよい。

 特筆すべきは、ストーリーに沿った背景色である。山下明夫氏によると、村上氏と絵についての打ち合わせは一切無かったという。「遠めがね」を通して見せる魔法に、読む側が瞬時にかかってしまうのは、この色遣いの依るところが大きい。

 何かを覗くとき、なぜだか息をこらしてしまわないか。この作品を読むことは、その感覚に似ているような気がする。 

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紙の本大あらし

2005/09/13 09:29

男の子、そして、元男の子だった人たちへ

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 文は必要ないほど「絵が語る」1冊。
 家族みんなで体を寄せ合って過ごした「大あらし」の次の日、庭を見ると、大きな木が倒れていました。その木にまたがって、デビッド&ジョージの兄弟は、空想の冒険旅行へ出かけます。ジャングル、大海原、宇宙へと。イメージの世界の描写が実に細かく、特に男の子の心へダイレクトにヒットすると思います。もちろん、元、男の子だった大人の方へも。
 わざと狭苦しいところへ入りたがる子どもの心情を、作者はよく捉えています。子どもたちは「いいなぁ、やってみたいよ」と羨望の眼差しをむけるでしょう。大木の隙間に入り込んで、紙パックのジュースを飲む場面がありますが、読んでいる自分が、まるでデビッド&ジョージと同化してしまうような錯覚にとらえらてしまう大人も多いかと思います。ただの倒れた大木、でも子どもたちにすれば、まさに自分だけの砦。
 夢中になって楽しんだ時間もつかの間。翌日には大木は片づけられてしまいます。なんて落胆の表情。この気持ち、子ども時代だけのものに違いありません。忘れていた気持ちに出会いたい方、ぜひ、読んでみてください。

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