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鈴虫さんのレビュー一覧

投稿者:鈴虫

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紙の本アナ・トレントの鞄

2005/10/04 17:46

アナ・トレントなる少女の行方

9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

昔購入していた少女雑誌に、オシャレな古い映画として紹介されていてた「ミツバチのささやき」という映画。
その映画に出てくるのが、この本のタイトルになっているアナ・トレントという名前の少女だ。
ビデオを借りて観たはずだけど、憶えているのはスペインが舞台で、7〜8歳の小さな女の子がふたり出てきて、なぜかトレンチコートを着ている。内容は綺麗に憶えていない。
トレンチコートを着ているくらいなのだから、旅行鞄を持っていたのだろう。
不思議なものがなんでもある、クラフト・エヴィング商會が、どうしても欲しいと、主人公のアナ・トレントが持っていたはずの鞄を探す旅行に出かける。
旅の最中にその他の商品なんかも、ちゃっかりと仕入れてくる。
さすがは、クラフト・エヴィング商會。
本書事体、こうみえてまごう事無き旅で収集した商品カタログなのである。
見たい時に火を付けて吸えば、頭の中にスクリーンが写し出されると言う、携帯用のシガレットムービー。
夕立ちの後に採集できる、氷砂糖みたいな青色をした稲妻のさきっぽ。
世にいろんなコレクターはあれども、サンドイッチに立てた旗、サンドイッチフラッグのみ3万点。
どれも一目見てみたい、手に触れてみたいと願わずにはいられないものばかり。
私が欲しくなったのは、
「あらゆる過ぎ去った夜から選ばれた、ただひとつの香り
コルクをはずせばゆるやかに夜がたちのぼってくる」という夜の香りを持つ液体だ。
それは都会のバーのけだるい喧噪だろうか。
それとも、人が出会う事の無いような深い森の静寂だろうか。
いろいろと楽しくて、幻想的な美しい夜を想像してしまう。
見事に、クラフト・エヴィング商會の思うつぼだ。
華々しくてペシミスティックな仕入れの旅。
果たして、目的であるはずの「アナトレントの鞄」は手に入るのだろうか?
読むごとに、どんどんと夜は深くなってゆき、商品達はさらに不思議なものになってゆく。
秋の夜のお供に、お似合いの本だ。
それにしても、仕入れの旅にはどんな鞄で出掛けたのだろう。
また想像してしまった。

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圧倒される世界観

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 この物語の舞台は6000年前の寒い地域の北西部ヨーロッパだ。まだ人類の黎明期、人はオオカミやワタリガラスス、アカシカ、ユキウサギなどの氏族に別れて狩猟しながら暮らしている。暮らし方もそれぞれ違う。
共通してるのは、各氏族とも、毛皮の服に部族のシンボルをつけることであろうか。
オオカミ族なら、狼の毛皮の飾りを着け、氏族を示す入れ墨を顔に施す。
 調べ尽くされた古代の風俗、生き生きとした自然や、部族の美しくて野蛮なしきたりを夢中になって読むと、息をするだけで肺が凍ってしまいそうな寒さや緊張感と共に、太古の杉のいい匂いが漂ってきそうだ。
 12才の少年主人公トラクは、野営していた森で、悪霊の取り付いたクマによって、父親を失ってしまう。
森を彷徨い、身も心も疲れ切り、飢えたトラクは、生まれ手間もない狼の子供を見つけ食おうとするが、結局、殺す事は出来ずに「ウルフ」と名付け、自分の弟分として手元に置いておく事になった。
 ふたりは、魂喰いと呼ばれる魔導師たちが、犯してしまった邪悪な罪を許してもらう為に、『天地万物の精霊』が宿る山を捜す旅に出かける。
精霊に捧げる為に、魂そのものの結晶と呼ぶべきような「ナヌアク」も見つけなければならない。
運命、予言、呪い、各部族の魔導師、出生の秘密、オオカミの言葉が解る少年。弓の名手の少女。
冒険譚に不足な物はなに一つない。壮大な物語の幕開けだ。
 厳しい狩猟採集時代の物語りゆえに、現代ではおよびも付かない位に、理不尽な事が多く起こるし、すぐに人も死んでしまう。厳しい社会だから子供にも容赦がない。
だからこそ、人々は運命というものを強烈に信じ、神様とも距離が近い。
 全編に薄暗い洞窟の中を手探りで進んでゆき、その中で古代の絵を辿っていっているような神秘さが、漂っている。
 酒井駒子さんの描いた表紙は、物語の雰囲気を的確にとらえていると思う。
 久しぶりに、子供も大人も夢中になれる本に出会った気がする。この物語の続刊を作者は執筆中だといいう。
全6巻予定の物語なのだけど、続刊がとても待ち遠しい。

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