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先月(2017年6月)

殻井リオンさんのレビュー一覧

投稿者:殻井リオン

1 件中 1 件~ 1 件を表示

紙の本2days 4girls

2006/06/22 05:50

女の子たちをオーバーホールするプラントハンターの幻想の庭

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

男たちから女を預かってオーバーホールするプラントハンターが主人公。ミユキ、マキ、麗子、さやかという四人の女の子のオーバーホールする「ゲーム小説」!
と言えば違うダロッ!と叱責が飛んできそうな気がするが、「ゲーム」なのは女の子たちのオーバーホールではなく、その女の子たちが待つ夢の中の「庭」の描写の、ふだんの龍作品にはなかった反復具合。これは「夢」ではない。ではなんなのか。
いままでの村上龍の作品で実際にゲーム化されているものに『五分後の世界』がある。このPS2のソフトでは「ヒュウガ・ウィルス」の登場人物たちとともにプレイヤーは様々な「可能性を反芻」する。ではこの『 2days 4girls』をゲーム化したらどうなるか。。。いかにもゲーム化しやすい設定だとかそんな話ではありません。本作、村上龍の膨大な作品群の中でも初の「ゲーム小説」ともいえる逸品に仕上がっていると思う。
本作において何度も反復される「わたしが死んだとき、葬式で誰かが泣いてくれるだろうと考えることがある」イントロ。章を読み進むたびに、「旅」の途中で死んでしまい再スタートをきらざるをえないゲームのようなシンプルさがだんだん体になじんできた頃にはすぐ読み終わってしまうのだから哀しい。映画『ザ・セル』のサイコダイバーが降り立つ迷宮への入り口をおもわせる、少しずつ毎回トランスフォームする「庭」の描写。
風景や記憶を俯瞰の映像として反芻すること=上からの映像について、何度も何度も言及されるメタ俯瞰小説にして、様々な「可能性を反芻」することに対して誠実なゲーム小説である本作は、ループ小説の迷作、マグナス・ミルズの『フェンス』を思い出してしまう人もいるかもしれないが、オーバーホールされる女の子たちのことを読み進めながら知っていくうちに、日本人にとってはより切実なゲーム小説となってくる。
自分が預かっている女たちがどこかで待っているはずの「庭」の中の草地と道路を移動する際の描写がこれだけもの哀しく胸にこたえるのはこの形式をとったからだろうか。
文庫化にともない帯も差し替えられているが、単行本のときの帯は「二日間で四人の女とセックスする方法」だったので、ただでさえ村上龍の作品をふだん手に取らない読者は余計手にしなかったことも多かったであろう本作だけに、ふだん、国産ものは読まん! という人たちや、SF/未来の文学系読者も手に取ってみるともしかしたら意外な驚きがあるかもしれない。
「可能性の反芻」という希望に対していつになく誠実な著者がここにいる。
龍嫌いもついあっと言う間に読んでしまう気がする。

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