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六つの花さんのレビュー一覧

投稿者:六つの花

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音楽の絵本

2006/01/16 09:52

名番組との再会

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

昨年、串田さんの訃報に接し、お世話になった恩師にきちんとお礼をいうことなく別れてしまったような感覚にとらわれた。私が著者を知ったのは小学生のとき。日曜日の朝放送されていた「音楽の絵本」というラジオ番組の語り手としてだった。早起きの父が聞いていたこの番組はご本人が朗読する自作の詩やエッセイとフリートーク、そしてそれに重なるクラシック音楽からなっていた。哲学者・串田さんの語る内容は小学生には難しかったが、時には朗読される詩を聴きながらどれだけ書き取れるかを父や母と競ったりして「日曜日の始まり」として私の中に定着していた。しかし次第に日曜は朝寝坊をきめこむようになり、いつしかこの番組で目覚めることがなくなっていった。そしてそのまま十数年。気付けば番組は終了していて、串田さんも亡くなってしまった。今だからこそわかる珠玉の言葉がたくさん詰まった番組であったろうに何と惜しいことをしたのか。もう一度あの番組の醸し出す心地よさに身をおきたい…。
この本は私のその願いに応えてくれた。中島かほるさん装幀の美しい本である。中には30年間、1500回の放送のなかから選ばれた詩とエッセイが収められている。聞いていた当時は何をいっているのかわかっていなかった詩の数々。その中の一つ…
「親は老いて行くにつれて/小さくなる/遠く影のようになって/夕陽の沈む方へ/覚束ない足取りで/歩いて行く/その姿を/子供は眺めて憐れみ/振り返れば/手を振ろうと待ち構える/団欒の中にいながらも/親は小さくなる」(「親と子」)
子供の頃にはこの感じはわからない。やはり大人になったからこそわかるのだ。いま こうして1冊の本となったものを読んでみると涙がこぼれそうに心に沁みいる。串田さんの詩は、自分の内面を深く見つめようとしたときに必要なのだということに気付いた。これから先 静けさの中に身をおきたいときに手にとる本になりそうだ。
「楽屋裏」と題したあとがき、一緒に挟まっている「栞」では番組についてのあれこれ…「音楽の絵本」の誕生のいきさつ、収録風景などのエピソードなどが語られていて楽しい。小さい頃は何気なく聞いていただけに、初めて知って「そうだったのか…」と思うことも。私にとっては朝のイメージのこの番組、実は初めは深夜放送だったこと。(なので当初の番組名は「夜の随想」。)印象深いテーマ曲の作者がヴィヴァルディだったこと。この番組が30年間、串田さんと東京エフエムの池田宏さんのたった二人で作られていたこと…。そして何より嬉しいのは最終回の放送をおさめたCDが付録になっていること。最終回のタイトルは「冬の記憶」。CDプレーヤーから流れる串田さんの声は私の記憶のままだった。

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