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先月(2017年8月)

半ヲタさんのレビュー一覧

投稿者:半ヲタ

1 件中 1 件~ 1 件を表示

思考のフリーズ緩和剤

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 読み終えた後に思うのは、「考える」ということはかくも袋小路に入りやすいのだな、ということ。
 著者は物事を1面からだけで考えるのではなく、いろんな側面から考えないとよい結果を生み出せないよと語る。そして多面的なものの見方を養うためのさまざまな方法を具体的に示している。
構成は序章と1〜4章。
序章:タイトルの説明およびその活用例
1章:批判的に読書する際のチェック項目と使い方
2章:書くことの効果、論理的文章における接続詞の重要性
3章:考える際の問題の立て方、問いが袋小路に陥らないようにする方法
4章:扱うテーマの性質や時代、捉える人の立場から受ける影響を考える重要性
どの章が自分を一番変えたか、というと1章、3章がトップに並ぶ。
 1章の批判的な読書の際のチェック項目はかなり完成度が高いと思う。著者の経歴チェックも混ぜるとよいとは思うが。批判的に文章を読むときには考慮する項目がかなりあるということを意識できるのでよいのではないだろうか。といってもこのリストを横に書き出して参照しながら読んだりすると、とんでもない時間がかかってしまうので使う場面は限られるだろう。これはいわゆる疑心暗鬼。一片たりとも信用ならない、という姿勢に基づいた読書である。
 3章の問題の立て方は非常に活用の範囲が広く、いわば何にでも使えるもの。例えば最近のガソリン価格の上昇。ガソリンの「価格はなぜこれほど上がるのか」、という問いを立てたとする。これはガソリンの「価格の決定機構はどうなっているか」、ということを考えること。でも「どうやって決まってるのかなあ」と漠然と感じるだけでは解決できない。そこで調べるとガソリンは「産油国から商社を通して元売グループに、そして販売店に流れガソリンスタンドにつく」ということがわかる。ここまで来ると流れはわかると思う。問いを大きなものから具体的、小規模なものへと分解していく。
 もうひとつは概念で捉えなおす、という方向。ガソリンは天然資源でありそれが輸入され国内で販売されている。そのような資源は石炭や天然ガスのほかにもあるはずである。そちらの方面を調べることで一般的なレベルの流れを考えるのだ。概念化することで共通項をくくりだし考える手がかりを得ていく。このように、第3章では問いの捉えなおし方がさまざまな例で紹介されている。
 この本で述べられる思考の流れ自体は、斬新なものとは言えない。むしろ当たり前のことを述べているに過ぎない。が、当たり前のことをはっきりと意識して捉ると思考のフリーズを適切に防いでくれる。考えることの成果の一つは納得出来ることであり、納得できた瞬間に物事は「あたりまえ」に変わっていく。そうした意味でこの本は非常に「あたりまえ」になりやすい良書だと思う。

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