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先月(2017年8月)

元大学職員さんのレビュー一覧

投稿者:元大学職員

1 件中 1 件~ 1 件を表示

これからの職場には、本書と、『若者が働くとき(熊沢誠著)』の二冊を常備せよ。

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

『若者が働くとき』は2006年2月に刊行された。著者の熊沢さんとは年齢が近かったこと、職務内容も似通っていたことから購入し、興味深く読んだ。副題に「使い捨てられも、燃えつきもせず」とあるように、現代に働く若者たちに一定の方向性を持たせた好著である。
一方、この4月に、今回の書が刊行された。二冊を読んだ結論が、今回の書評タイトルである。
熊沢氏はその専門性とキャリアから、現代社会で働く若者たちを、正社員、フリーターなど非正規労働者とに分け、終章ではパネルディスカッションを通して、現状分析をしている。
極めて優れた一冊であるが、敢えて難点を言えば、具体的提案や進言がない。将来を見据えて、経営者や労組、あるいは職業教育の重視などが具体案として掲げられているものの、その可能性や方向性にはいささか疑問が残る。
一方、荒井氏が本書のなかで指摘している若者像は、熊沢氏の指摘と重なる部分がいくつかある。荒井氏の主張からは、25〜35歳の年齢層に、上司としての問題点が集中しているごとく印象を受けるが、それとは別に、新入社員への未熟さも指摘されている。「敷かれたレールの上ではうまく走れるが、レールがないところでは敷く方法がわからない」といった指摘が、親から実子への評価として提示されている。
その親が、熊沢氏の書では、「とかく叱りがちな父親には仕事のことを話せない」と、実子の口から語られているのだ。
「母数が少ないとはいえ、同じような理由で職場を去っていった若者たちが、軒並み団塊ジュニア層であり、その大半が団塊世代だったことは新鮮なショックだった」と荒井氏は言っている。
しかしそれはたぶん、母数の問題でもなければ、偶然でもない。
現在の立場から、わたしも似た話を耳にする機会がかなりある。団塊世代は大学解体を叫びながら、何もしないで学外に去っていった。豊かな時代に育った団塊ジュニアたちは売春の代わりに、援助交際という用語を生み出した。そして仕事という側面を熊沢氏の目でとらえれば、「仕事を、経済的自立に不可欠な営み、としてとらえていない」ということになる。
これからの日本に託された問題はいくつもある。政治はもちろん、経済も医療も福祉もそうだ。その担い手が危うくなっている。熊沢・荒井両者の主張からは、少なくとも「若者は、家庭で教育できない」。熊沢氏は職業教育に主眼を置いている一方、荒井氏は就職した場での、上司による教育に主眼を置いている。だからだろう、荒井氏が求める上司像はハイレベルである。厳しくありながらも、部下を開眼させる熱い愛を持て! と説く。
両者の将来的構想は、方向性がやや異なるとはいえ、視点や論点はまったく矛盾しない、というのがわたしの印象である。
景気の回復に伴って、これから若手を採用する機会はますます増えるだろうし、毎年毎年同じような問題が起こるだろう。
そのときに右往左往しないよう、経営幹部や人事担当者は、この二冊が切実に訴えている内容を熟知しておくとよいだろう。

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