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先月(2017年8月)

昭和を愛する男同盟有志さんのレビュー一覧

投稿者:昭和を愛する男同盟有志

1 件中 1 件~ 1 件を表示

ガイチだ。覚えておられるだろうか?貴殿たちの死は、決して無駄にしないぞ。

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

大学で同じゼミだった友人を、最近3人失った。
うち2人は自殺だった。1人はノイローゼ状態になって首をつったらしく、もう1人は入線してきた環状線の列車に飛び込んだ。
仕事で悩んでいた、という噂は、聞こえてきていた。友人のひとりが、故人の生前からメール交換をしており、断片的ではあるが、極度の疲労状態にあるようだと言っていた。
残る1人は、日曜の昼前に、自宅で冷たくなっていたことが確認された。突然死だったので解剖になったと、通夜の日に親族から聞かされた。死因は、脳内出血だった。
どちらかといえば痩せ型の、静かな人だった。この3年あまり、ほとんど終電で帰宅しており、休日も自室にこもって仕事をしていたと、未亡人になったばかりのご夫人は語った。
そんなことがあるだろうか?
あり得るという気持ちと、不可思議だという気持ちが、正直半々だった。
6月1日の日経新聞朝刊に、「脳・心疾患の労災最多」という記事が掲載された。過労死は5%増えて157名となり、40代と50代で7割が占められるという。
一方、精神障害の労災請求者も増えて過去最多となり、その数は656名とも報道されていた。
あくまでも想像の域を出ないが、過労による自殺は、なんとなくイメージできる。
それに対して、過労死の像はイメージしにくい。特に、今回の友人を知っている者としては、理解に苦しむところが多かった。
たしかに几帳面で、まじめな男だった。こつこつと、なにごともそつなくこなし、それを積み重ねるといったタイプだった。
だから、過労による自殺だとしたら、それはそれで最大限の譲歩をすれば、どうにか納得もできよう。
けれども、死因が脳内出血であるというなら、自ら命を絶ったわけではない。
そんなとき、この本の存在を知らされた。社内教育に使えるのではないか、という、まったく別の目的から勧められたのだ。
読んでみて、愕然とした。
「肉体的かつ精神的に追いつめられた果てに生じてしまった身体の破綻という点では、過労死も過労自殺も変わらない」と著者は述べている。過労による自殺と、臓器のトラブルは、極めて近い存在だという記述があるのだ。
また、「過労死は肉体疲労だけで論ずることができない。そこには精神的ストレスが大きく関わっている」とも書かれている。
最初に提示されている「過労現場」を読むにつれ、友人たちは、似た環境のなかで、命を削っていったのだろうと思えてならない。
ゼミという、同じ時間を共有した者たちが、知らないところでひとり、ふたりと亡くなっていく現実は、断腸の思いがする。遺族の方々を見るたび、心が裂かれる。定年後に集まって談笑する姿しか思い描けなかった自分が、いたく愚かしい。
景気は上向いているという中で、自殺者は8年連続で3万人を越え、過労による死も減らない。すべての死が仕事によるものではないはずだが、仕事にからむ死は、公表されている以上にあるような気がしている。
第一線の場にいる私たちが、痛みを共有して考えていかなければいけない時が来ていると思う。
ちなみに著者と私は、面識こそないものの、同学年である。
友人たちの冥福を祈るとともに、解決に向けての意見交換など、不本意なしを減らす努力を、社会参加というかたちで、できる範囲でしていこうという気にさせられた本であった。

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