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たんば篠労さんのレビュー一覧

投稿者:たんば篠労

紙の本日輪の遺産

2006/09/18 14:57

フィクションの中の戦史ドキュメンタリー

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 浅田次郎氏の小説にツールとしてよく出てくるのは「鉄道」「タイムスリップ」「戦争」「過去と現在の舞台」…ではないか、と思う。
 この小説は「平成のバブル崩壊後」の東京と、「戦争末期」の断末魔の陸軍が舞台である。両時代をつなげるのは戦時は陸大出のエリート軍人であったが、戦後は不遇な人生を歩んだ真柴老人、その真柴の部下であり、戦後は成金の不動産屋として地域のフィクサーとなる金原老人である。
 驚くのは浅田氏の近現代史への造詣の深さ、ディティールの正確さだ。文中に出てくる「マッカーサーの財宝」とは、真偽は別として戦後、詐欺事件として度々登場する「M資金」のことではないか?と感じた。
「マレーの虎」といわれた山下奉文大勝がマッカーサー元帥のフィリピン独立のために蓄えた「財宝」を奪取。戦後の復興資金として米軍から「財宝」を守れ、と陸軍中央から命令された若き真柴少佐以下大蔵省出仕の小泉少尉、金原曹長。折しも「日本の一番長い日」として映画にもなった近衛師団の「玉音盤奪取クーデター」に見舞われる。そういった歴史的事実が「物語り」の中に正確に織り交ぜられており、その意味で「フィクションの中のドキュメンタリー」という感想をもった。
 実務に当たった女子挺身隊の女学校生徒の純真さ、悲劇的な最後、財宝のありかを聞きだそうとするGHQと決してしゃべろうとしない小泉、梅津大将、軍国主義下の当時の時代背景と日本人の精神性まで正確に表現しているのではないか、と感じた。(もちろん当時の「日本人の精神性」に私自身は実体験はないが…)
軍国主義や戦争を美化するつもりはないが、悲劇性の中に美しさを感じた。

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