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相楽智幸さんのレビュー一覧

投稿者:相楽智幸

1 件中 1 件~ 1 件を表示

紙の本紙魚家崩壊 九つの謎

2006/08/12 00:00

《優美なたくらみ》の正体とは?〜巻頭作「溶けていく」を例に。

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

収録作品は全て、過去に雑誌掲載された短篇の再掲です。
しかし、改めて一冊の本として読むと、《まさにこうして並べて出されるべきもの》と思えます。そして、どの作品も「優美なたくらみにみちた9つの謎」という紹介通り、どれも一筋縄ではいかない、いかにも北村作品らしい佇まいを持った秀作です。
一冊全ての感想をまとめると余りに長くなってしまうので、とりあえず、巻頭作「溶けていく」について、少し。
この作品の大きな魅力は、表に浮かぶ筋立ての裏面に、もう一つの描かれざる恐怖の物語が立ち上がってくることにあります。
《描かれざる恐怖の物語》とは、即ち、《美咲=読み手》の物語の裏に広がる、《作者》の物語です。
作中の漫画の作者は誰であるのか。
《彼》がその表現に込めたであろうものと、美咲がそこから独自に広げていってしまった世界との恐るべき差異。
美咲と《彼》との最後のやりとり------特にあのひとことを口にした時の、書かれざる彼の声、表情、その心の動きはどんなものであったのか。
-------そうした《描かれざる》物語に思いを馳せる時、《《美咲=読み手》の悲劇》の裏側に、《《表現を世に問う者》が抱えずにはいられない恐怖》という、隠されたテーマが見えて来ます。
字数の問題とネタバレの回避のため、詳細は省きますが、この短篇は、ある意味において、スティーブン・キング『ミザリー』よりも恐ろしい、《読者》を描いた小説なのだといえるのです。
この作品も含め、全体的に《他の北村作品も読んでいるファン向け》もしくは《熱心なミステリファン向け》というマニアックな気配が多少あるため、《誰にでもお薦め》とは言えないかもしれませんが、過去の北村作品が楽しめた人ならば、その期待は裏切られないだろうと思えます。

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