サイト内検索

詳細検索

ヘルプ

セーフサーチについて

性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示を調整できる機能です。
ご利用当初は「セーフサーチ」が「ON」に設定されており、性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示が制限されています。
全ての作品を表示するためには「OFF」にしてご覧ください。
※セーフサーチを「OFF」にすると、アダルト認証ページで「はい」を選択した状態になります。
※セーフサーチを「OFF」から「ON」に戻すと、次ページの表示もしくはページ更新後に認証が入ります。

  1. hontoトップ
  2. レビュー
  3. ワイネフさんのレビュー一覧

ワイネフさんのレビュー一覧

投稿者:ワイネフ

1 件中 1 件~ 1 件を表示

【木を見せて森を見せないペテン戦術】

16人中、12人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

ひとことで言えば、科学的なスタイルに見せかけたペテン本である。
もっともらしい口調で巧妙に読者をミスリードし、「タバコ有害論はデッチ上げ」というトンデモ結論へと印象操作する。そのタネ明かしをしてみよう。
まず、たとえ話をひとつ。
ここは「シガレットの森」。だが、あなたはこの森について無知である。そこでナトリハルヒコという親切なガイドが森を案内してくれるという。あなたはナトリに従った。ナトリハルヒコは、森の入り口で何本かの木を指さしてニコヤカに解説してくれた。ナルホドナルホド! あなたは「シガレットの森」について十分理解できた気がした…
一見何もアヤシイところなどなさそうである。だが、よく考えてみてほしい。あなたはたった数本の木を見せられただけで、1000本の木の生えた森を理解した気になってしまったのである。あなたは案内人ナトリハルヒコのペテンに見事に引っかかったってワケ。
問題の「平山論文」について。これこそ【木を見せて森を見せないペテン戦術】の真骨頂である。
「平山論文」とは簡単にいえば「副流煙の有害性を示した先駆的論文」である。ただし世界的にも初アプローチだったこともあり、多少乱暴な部分も多々ある。だから、「平山論文」の示した方向性(=副流煙の有害性)については、その後の研究できちんと検証する必要があった。そして結論からいえば、後の何十年にもわたる多くの研究によって「副流煙の有害性」は確固たる事実として認められたのである。(喫煙者自身の健康リスクはずっと以前から明白になっている)
「平山論文」はラフな論文ではあった。だが結果的に正しかったのである。それが「受動喫煙問題」を考えるときに絶対に避けて通れない全体像なのだ。
で、案内人ナトリハルヒコが何をやっているのかというと、「平山論文」のあら捜しをして、「タバコ有害説はデッチ上げ」と主張しているだけなのだ。森の中の2、3本の木の腐ったり枯れたりしている部分を指さして、あたかも森全体が腐っているかのごとく主張する、それがナトリハルヒコのペテン論法である。その周りの広大な森には青々と生い繁った木が何百本、何千本もあるというのに…
ちなみに少しだけ専門用語を紹介すると、多くの論文を総合的に判断する手法を「メタアナリシス」という。平山論文のあら探しをする一方で「メタアナリシス」の手法について完全無視を決め込んでいることだけを見ても、ナトリハルヒコがペテン学者であることは一目瞭然なのだ。
最後に本の冒頭近く「覚悟してタバコの真実を語ろう」からナトリハルヒコの名言を2つ引用しよう。
◆「テレビや新聞はタバコ有害論しか言わない」(p13)

それをいうなら「テレビや新聞やWHO(世界保健機関)や厚生労働省や国立がんセンターやアメリカ政府やフランス政府やイギリス政府やオーストラリア政府やカナダ政府やブラジル政府やタイ政府や…いろんな政府や、いろんな専門家の人たちはタバコ有害論しか言わない」と言いましょう。
「タバコ有害論」を否定しているのは、ナトリハルヒコと仲間たち、それからJTだけである。同じタバコ産業でも裁判で散々な目にあったフィリップ・モリスは観念して認めている。
◆「本を出しても、アカデミズムに黙殺されるかもしれない」(p13)

当たり前である。科学的思考とはかけ離れた印象操作で素人読者をペテンにかけているだけなんだから。
ということで、「シガレットの森」案内人ナトリハルヒコの【木を見せて森を見せないペテン戦術】いかがでしたか。
ここまで書いてもやっぱり案内人ナトリハルヒコを鵜呑みにしたい人もいるでしょう。だけど後で恥をかくだけですよ。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

1 件中 1 件~ 1 件を表示