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先月(2017年8月)

流木さんのレビュー一覧

投稿者:流木

1 件中 1 件~ 1 件を表示

これもトンデモ本?

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「貿易黒字をODAに回せば国際貢献になる」とか「貿易黒字を社会資本整備に回せ」とかいわれるが、そのように経常収支の黒字を何かの目的に活用するといった発想は経済学的に見ればおかしい。本書のpp.33-35では、「経常収支の黒字のほとんどが海外で使われている姿は日本にとって望ましいことなのだろうか。せっかく稼いだ黒字を海外ではなく国内経済の活性化に利用し、日本人の生活向上に使うことはできないのだろうか」とされ、「経常黒字で稼いだ外貨を円に換金できれば、その分が国内流動性の拡大につながり、国内の設備投資や消費支出を刺激し、デフレ圧力を跳ね返すことができる」ので、「デフレ型経済から脱却するためには、経常黒字を減らし、貿易で稼いだドルを円に換金して国内で使えるように内需主導型の政策へと舵取りを転換させなくてはならない」と述べられている。しかし、経常収支+(外貨準備増減を含む)資本収支=0というのは国際収支統計の基本である。経常収支が黒字の日本の(外貨準備増減を含む)資本収支は必ず同額だけ赤字なのであり、資本収支が黒字のまま資本収支を赤字にしない(外国の土地や株式や国債の購入に使わない)ことは、誰がやっても不可能である。また、経常収支が黒字になれば国内の流動性が高まる、つまり、国内に流通する貨幣量が増えるという主張も全くの現象論に過ぎない。確かに、輸出業者が輸出した財の対価として受け取ったドルを銀行に持ち込めばドルは円に換金される。そこだけ見ればドルが円に変わって、国内に出回るお金の量がその分だけ増えるように思えるのかも知れないが、銀行はもともとあった円とドルとを両替しただけである。銀行が持っていた円が輸出業者の手に渡ったからといって、円が増えるわけではない。そんなことでデフレ圧力を跳ね返せるわけはないのである。

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