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先月(2017年8月)

akijunshinさんのレビュー一覧

投稿者:akijunshin

1 件中 1 件~ 1 件を表示

社会学者の生物学知らず

12人中、11人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

記述は錯綜しているが、単純化すれば以下のようなロジックである。
①経済構造の変化と日本の慣習が維持されたために
a.親と同居する未婚女性の持つ「結婚後の生活の期待水準」が高くなった。
b.結婚適齢期の男性側の魅力=所得の格差が広がりつつあり、女性の期待に応えられる層が相対的に減った。
②結果、日本で少子化が起こっている。
著作の大半に費やされた上のような現状の分析については説得力がある。ただし、戦後日本経済の記述などは俗説に頼りすぎて経済学的ではなく、またアメリカの大学進学においてほとんどの学生が親に学費を依存しないかのような記述は同意できない。だが、これらは瑣末であろう。
問題は、提示された解決策である。
第8章で「性別を問わない」雇用安定化案や教育平等化案が三点と、女性向けに低スキル女性の生活保障という案、全部で四つが提示されている。著者は、性的魅力は社会的に構築されているという立場に立っていることが記述から散見されるが、社会学者の生物学知らず、とはこのことである。配偶行動において男女に非対称性があることがわかっていないのである。
進化心理学は、平均的な女性が自分より地位の低い・収入の無い男性に惹かれることなどあまり無いことを明らかにしている。配偶者のいる女性フェミニストでも、自分と同等かそれ以上の地位のある男性と結婚する。高収入で能力のある女性が、自分より無能に見える男性を配偶者に選ぼうなどと思う確率は低いのだ。
したがって、女性一般の生活を保障しても、彼女たちの収入と同等かそれ以上の男性が増えなければ婚姻数は増えないと予想される。つまり、低収入パラサイト女性が、雇用における待遇が改善されれば、自分よりさらに低収入の男性と結婚し子どもを産むために喜んで実家を離れる、などとは期待できないのである。男女平等に制度を改変しても、女性が結婚してもよいと思える結婚男性の割合が大きく増すことは無いだろう。男性に比べて地位を上昇させる女性は、男性に対する要求の程度も上昇するだろうからである。加えて、著者に従えば、未婚女性が親の所得に依存できる状況が期待の高止まりを生んでいるという。この状況を放置したまま、男女にそれぞれ同程度の安定のプラスを与えても、相対的な魅力の序列が変更されるわけではないので、もてない男性は結婚の対象とならないままでああろう。
英米で合計特殊出生率がわりと保たれているのは、格差社会だからこそ、期待水準の低い女性が多く存在し、平均的に見て魅力の低い男性とも結婚に踏み切るのではないか?また、記述にもあるように、英米北欧では、成人した子どもは実家を離れるので、女性の結婚に対する期待水準は低くなる。そのメカニズムは、「女性の側に十分な所得があるから」ではなくて、成人後に独居し始めた時点で、男性に対する期待が日本の親同居女性に比べて低い水準となるからではないか?
そうすると、女性の期待水準に見合う男性を増加させる政策が求められる。安定雇用の男性を増加させつつ、女性の側の期待水準をそれに合わせて上昇させない、もっと言えば下降させるような政策を採ることが必要なのだ。
著者は女性が親にパラサイトできるという環境が結婚への期待水準を高止まりさせるということに気付いていながら、提示した解決策にはそれへの対処が含まれていない。代わりに打ち出されているのが男女平等政策である。男女平等策がそれ自体の目的のために肯定できても、少子化対策としては効果が怪しいということは、赤川学が『子どもが減って何が悪いか』ですでに力説していたことではないか。山田昌弘ほど冷徹に物事を分析する学者でも、「性的魅力が社会的に構築されている」と主張するジェンダー・フェミニズムに毒され、生物学的な男女の違いに基づかない、効果の怪しい解決策を提示してきたのは残念なことだ。

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