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Okawa@風の十二方位さんのレビュー一覧

投稿者:Okawa@風の十二方位

16 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本ムジカ・マキーナ

2002/10/18 07:03

架空歴史舞台に展開する切ない音楽SF

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「19世紀のウィーン、音楽シーンが古典派・ロマン派の時代を経て、今のポップスともどこか相通じる、ダンスのためのミュージックが流行していく時代。そんなウィーンで、ある黒い噂が流れる。音楽を絶対的な快楽に変えるという魔笛という名の麻薬。そしてその震源地は不可思議な技術を売りにした舞踏場プレジャードームだという。その麻薬を追い、プロイセンから赴いたベルシュタイン公爵は調査を開始する」。

 あなたは何か一つでも楽器を演奏されたことがありますか?

 もしそうであれば、自分の内なるメロディーと楽器が奏でるメロディーがぴったり一致した時の快感を体験されているはず。我々の内なるメロディー、理想の音楽はそれだけで我々を至福へと導く存在なのです。作品にも次々と登場する音楽家達が求めてやまなかった理想の音楽。その天上の音楽への切ないほどの憧れが、常に物語の背景に響いています。そんな詩的物語世界に、SFのみならず架空歴史的な要素が上手くリミックスされて、ラストに到るまでに次々と驚くような舞台が展開されていきます。お読みになれば、私が、なぜクラシックをこんな風な書き方で紹介しているかお分かりなるでしょう。
 そしてラストシーン、理想の音楽への憧れは結実するのです、深い余韻を残して。
 プロットは探偵冒険ものの要素があって実にスピーディーな展開、渋い探偵役の美形貴族・ベルンシュタイン公爵もかっこいいですし(なぜか某少佐のイメージが浮かびましたが(笑))、エンターテイメント性も高いです。
 音楽好きの方であれば、特にお勧めの一冊!

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紙の本永遠の森 博物館惑星

2004/06/06 07:37

美にまつわる九つのミステリー

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 『宇宙に浮かぶオーストラリア大陸サイズのアステロイド。マイクロブラックホールによって生み出された重力により、その表面には地球の様々な環境が再現され、自然と人の生み出したあらゆる美が集められていた。人の歴史の中で最も壮大なミュージアム、博物館惑星「アフロディーテ」。
 そんな博物館で、コンピューターへの直接接続により全てのデータベースへ瞬時にアクセスできる学芸員田代は、美への探求を静かに続けている…はずだった。しかし、アポロンの名を冠する総合管轄課の彼に押し寄せるのは、美術品、芸術家、学芸員達が複雑にもつれ合った厄介ごとばかり。そして彼の前に今日も一つ、美にまつわる謎が現われる。
 美に対する切なく優しい、時にほろ苦い想いの九つの物語。』

 宇宙(そら)に浮かぶ博物館という設定と、美にまつわるミステリータッチのストーリーとこれだけでも魅力的ですが、菅さんらしい優しさと美意識に彩られて、とても美しいストーリーに仕上がっています。組織の雑事に忙殺される主人公・田代のぼやきぶりや、妻・美和子とのすれ違いぶりもなかなか身につまされて良いです(笑)。作中にはとても美しいシーンが多く、文庫で想像するのも楽しいですが、豪華な挿絵付きで読んでみたいなあとも思わせられました。強いて一言付け加えるならば、隠しヒロイン美和子の姿がもう少しはっきりと描かれていたら、物語のほろ苦さがよりピリッとしたような気がします。
 日常的でありながら幻想的な、魅力あふれる連作短編集です。

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紙の本しあわせの理由

2004/01/25 15:52

イーガン流の理系の「私探し」短編集

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 『脳の腫瘍はぼくの頭の中をしあわせのホルモンで満たした。12歳まで24時間の幸せで過ごしたぼくは、脳の中から幸せを感じる機能を全て奪い去られる、最新のウィルス治療によって。生命と引き換えに得たのは、永遠の欝の世界…しかしテクノロジーは、失われた幸せの感覚を再び僕の前に提供した。でも、ぼくの幸せって…(表題作「しあわせの理由」)』

 私という存在は、本当はどこにいるのでしょうか?
 イーガンの作品はいつもその問いに返ります。SF好きのあなたなら、一度はこんな疑問を持ったのでは? どこに真の私はいるのだろう…私を成り立たせている無数の原子の中にか? 脳のシナプスのインパルスに? 量子力学の多元世界の一つとして? その答えを映し出すためにイーガンは様々な私を描き出していきます。

 「位相夢」ではロボットの中に電子的にコピーされる老いた私を。いったいどの、いつの電子パターンの中に私はいるのでしょう?

 「血を分けた姉妹」では、冷酷な医学的試験によって隔てられるクローン(一卵性双生児)姉妹としての私を。生物学的に同じ肉体を持った二人の強い絆、その絆を断ち切られた時に私はどうなるのでしょう?

 「道徳的ウィルス学者」では、神の僕として「自分」の予言の実現に全てをそそいでしまった信仰者としての私を。信仰によって支えられる私。しかし生きて相反する欲望を持つ自分とクリスタルのような真理を望む自分、その間で自らが裂けてしまった時…

 そして表題作「しあわせの理由」では、脳の中の様々な化学反応としての私を描きます。人間は幸せを求めて生きていきます。狭くは自分の幸せを、そして広くは他の人々の幸せを求めて、それがたとえ他人の目から不幸であったとしても。それでは幸せって何でしょうか? シニカルに言えば、脳の中を幸せの物質で満たすことでしかありません。でも、本当にそれだけでしょうか、もし幸せがコントロールされるとしたら、その時私はどんな幸せを求めるのか。この作品のラストで、イーガンにしては珍しくほんのわずかなセンチメンタルさも込めて、その答えが描き出されています。
 イーガンらしい、文系ではなく、理系の「私探し」短編集です。

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紙の本シャドウ・オブ・ヘゲモン 上

2003/11/30 10:28

バガー亡き後の世界、そしてビーンの運命は

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「バガーを滅ぼした今、人類の統一を支えていた「恐怖」は消失した。人類は再び冷戦の時代へと後戻りをして行く。そんな中、バトルスクールで鍛えられた戦争の天才少年・少女達は、生まれた国へ英雄として帰国して行った。ただ一人エンダーを除いて。
 ありふれた日常へ、戸惑いながらも解け込んでいくかつてのエンダーの仲間達、ビーン、ペトラ、ディンク。彼らが、その地球での生活をやっと日常と感じ始めた時、何物かによって一人、また一人と誘拐されて行ったのだ。唯一その魔の手を逃れたビーンは、シスター・カーロッタと共に、その相手に向かって戦いを挑む、かつての仲間を取り戻すために…
 バーガー戦役以後のビーンの活躍を描いた「エンダーズ・シャドウ」続編」。

「エンダーズ・シャドウ」後のビーンはどうなるのか。カードファンなら是非とも知りたいことでしょう。そんなファンの想いに答えたこの一冊、読後感は一言、

 エンダーシリーズ屈指の一作!!
 
 内容的には、バガーがいなくなって世界大戦が始まりそうな国際関係や、貴重な軍事資源となったバトルスクールの子供達の各国の奪い合い、そんな背景の中、ビーンやヘゲモンとなるピーターが活躍するというものです。雰囲気的には、SFと言うよりT・クランシーの国際謀略小説みたいですな。
 ただし、前作「エンダーズ・シャドウ」から引き継いだビーンの成長物語というテーマが、縦軸として生き生きと展開されていてます。特に前作では脇役だったシスター・カーロッタが、今回はビーンの側にいて大活躍。逃避行の中交わされるテンポの良い、けれどシビアーな二人の会話は、ビーンの心の成長を良く伝えてきますし、カーロッタからビーンに宛てた手紙には恥ずかしながら涙を流さずにはいられませんでした。前作では完結しなかったビーンの遺伝子操作といった伏線もきちんとけりがついています。
 また、今まで悪役としてしか登場しなかったピーターが、初めてキャラクターとして登場します。いがみ合うピーターとビーンに対して「ボーイズ!(原文)」とシスター・カーロッタが割ってはいったりと、なかなか楽しいシーンが見られますよ。
 エンダーファンには是非ともお勧めの一冊です!!

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神話にいたる傑作スペースオペラ!

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 「銀河の辺境に響き渡る偉大なるアウトロー、サンティアゴの伝説。その彼を追う元革命家の賞金稼ぎカイン・セバスチャン。しかし、サンティアゴを追うのは彼だけでは無かった。狙った獲物を逃したことのない凄腕賞金稼ぎエンジェル、一匹狼のジャーナリスト、ヴァーチュー・マッケンジー、偉大なる審美家にして犯罪者ジョリー・スワグマン、それぞれがそれぞれの理由でサンティアゴを追いつづける。幾つもに絡み合う運命の糸、その血に縁取られた織り布を、詩人ブラック・オルフェイスは伝説へと謡い上げる。
 スペースオペラの中に神話を蘇らせたレズニックの傑作長編!」

 彼は彗星を父に、宇宙風を母に持ち、惑星をまるで羽毛のようにもてあそび、
 欲望を駆りたてるだけのためにブラックホールと格闘するという。
 彼は決して眠らず、両目は新星よりも明るく輝き、叫び声は山をも鳴らすという。
 その名はサンティアゴ。
  −ブラック・オルフェイス(本文より) 

 とにかく、かっこいいです。
 無限に広がる暗黒の宇宙、その中に浮かぶ数少ない殖民惑星、そんな辺境世界を男達、いや人間達は自分の物語を追って生き続けます。ウェスタン物のワイルドさと、ミステリー物の謎説き、そしてハードボイルドのカッコ良さが溶け合わされて、極上のエンターテイメント小説に仕上がっています。
 しかし、この小説はそれだけに留まりません。冒頭の詩は黒い詩人ブラック・オルフェイスが作中で語る詩ですが、こんな詩がそれぞれの章前に付されて、このスペースオペラを神話にまで高めています。ヒーローとは神話上の英雄を模したものですが、この小説は、ヒーローから始まり神話の英雄にいたる物語なのです。
 ゼラズニイの初期短編が好きな方や、「マッドマックス」が好きな方にはとにかく買いの一作です!

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紙の本R.P.G.

2001/09/08 06:35

その落ちは読めませんでした。

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 「一人の会社員が殺害された。食品会社に勤め、妻と娘が一人。そんなごく平凡な生活の裏で、彼はネット上にもう一つの家族を持っていた。次々と明るみになるヴァーチャルとリアルの人間関係。迷宮の様に絡み合ったその糸をほぐすべく、捜査本部の武上と石津はある賭けに出る。その結果あらわれた真のアリアドネーの糸とは…」。
 やられた…その落ちは読めなかったぜベイビー!といった感じです。
 とにかく、最後の落ちの部分は、爽快感と言っても良いほどのどんでん返しです。まさか、あれがそうして、ああだったとは。最初の1/3で落ちが読めてしまうミステリーに辟易している方。これは買いです。ラストシーンも、「火車」があまりにもそっけなかったのに比べると、十分犯人の心情が表れる余韻に満ちたものになっています。

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紙の本語り手の事情

2001/09/08 06:22

謎めいたヴィクトリアン・ハウスに繰り広げられる性の妄想、語り手であるヒロインが紡ぐ言葉の先には…

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 「謎めいたヴィクトリアンハウス、そこには今日も様々な性の妄想を抱いた男達が訪れる。年上の女性からの誘惑、性奴隷の調教、性転換、そして妄想のサッキュバスとの情事。男達がもつ妖しいイマジネーションの世界を、メイド姿の語り手は語る。その語り手の事情にしたがって。19世紀の好色本の形を取って、性にまつわるオムニバスストーリーが展開する。メタフィクションの影で語る語り手に、やがて選択がつきつけられる。その時に語り手が選んだのは…」

 どんな小説だと聞かれて、答えるのがとても難しい作品かもしれません。じゃあ面白くないのか? いえ、すごく面白いです!
 とにかくあの酒見氏の語りが、19世紀の好色本をじつに生き生きと21世紀に蘇らせています。 フィクションの中にフィクションがという、メタフィクションじみた設定の中で、冷静に語るヒロイン「語り手」。彼女の突き放したような語りが、男の性の妄想に潜む滑稽でいて真摯な部分を、見事に描き出していきます。それだけでも、なかなか知的な面白さがあるのに、物語の後半で、その冷静であるべき語り手が、ある事情に巻き込まれ変貌していく姿は、このヒロインを実に愛らしく見せています。最後まで読まれた方は、酒見氏がこの作品を「恋愛小説だ」と言いきることに、大きくうなずかれるでしょう。
 とにかく手にとって読んで見てください。気がつけばあなたも酒見ワールドの虜になっているはずです。

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紙の本ジャクリーン・エス

2004/01/25 15:59

ホラー版究極の愛の姿

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「腐肉の晩餐」、「地獄の競技会」、「父たちの皮膚」。タイトルだけでもバーカーの血の本のシリーズという感じじゃないですか。正統派血みどろホラーを堪能しようと思ったら、やはりこのシリーズですね。表題作「ジャクリーン・エス」は、力を得た一人の女が巻き起こす、血と肉の凄惨なストーリー。しかしその裏側には、一人の男のセンチメンタルともいえるラブストーリーが流れ、そのラストはホラー版究極の愛の姿でしょう。

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紙の本ヴァスラフ

2002/10/20 15:53

SFと架空歴史に彩られた、新たなるニジンスキー伝説

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「どこか我々とは違う世界の帝政ロシア、研究者達のグループは究極のヴァーチャルリアリティーシステムを作り上げた。そのパフォーマンスを示す主題に選ばれたのがヴァーチャルバレーダンサー・ヴァスラフ、我々の世界ではニジンスキーと呼ばれる存在。その圧倒的な存在感は帝国の人々を魅了し、人々はヴァスラフを追い求める。そして少なからぬ人々が狂気と破滅へいざなわれた。伝説のハッカー・オデット姫、謎のイワン皇太子、ヴァスラフ捉えるのは誰か? ヴァスラフの真の姿とは?
 SFと架空歴史によって彩られた華やかな舞台を華麗に踊る新たなニジンスキー伝説の一冊」

 「ニジンスキー」、その伝説バレーダンサーの名は耳にされたことはお有りでしょう。解説にもあるように、多くの人々がこの見たこともないこのダンサーを語り、そして魅了されていくようです。まるで、神が神話のベールを一枚、また一枚とまとっていくように。そして、高野史緒は不思議な、けれど華麗な新たなベールの一枚を織り上げました。
 ニジンスキーという伝説的な歴史事実を、年表風に我々に放り投げるオープニングや、戯曲スタイルのシンプルな本編、そして華麗なカバーアートまで、作品の構成やエディトリアルは実に凝っていてそれだけでも充分魅力的です。もちろん、歴史(バレー)ディティールを華麗に使った、美しく幻想的な舞台が次々と繰り広げられる展開も、高野史緒ならではで堪能させてくれます。
 しかし読み終えた後、私の心を捉えたのはそんなあでやかな世界ではなく、「空」を見つめる少女の瞳でした。
 「ダレモイナイノ?…」
 そんなことを問いたげな空虚な瞳。
 ラストシーンに漂うその問いこそ、この物語のテーマなのかもしれません。

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紙の本鳥姫伝

2002/08/27 05:44

幻想味あふれる異世界中国に繰り広げられる、ユーモアファンタシー!

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 「唐の時代の中国、その小さな村の子供たちが奇妙な病に倒れた。村の少年十牛は、北京から老賢者・李高をつれて来る。しかし、李高の下した診断は、幻の薬草・大力参しか治療法がないと言う。魂を持つと言われる大力参を捜して、十牛と賢者・李高の旅が始まった。どこかちょっとずれた、それでいて幻想味あふれる異世界中国に繰り広げられる、ユーモアファンタシー!」

 外国人の作家の書いた日本は、かなり良く調べられていても、どこか違和感がありませんか。
 それが不思議な魅力をかもし出す場合もあれば、違和感がごりごりと音を立てて作品をぶち壊す場合もあります。そして、ヒューガードの描き出す中国も、どこか違和感があります。ところが、皮肉なマッドサイエンティスト風の李高とその弟子十牛のキャラに引きずられて読み勧めていくと、なんとなく東洋とも西洋とも言えないこの不思議な中国の魅力にとらわれていくのです。しかも、幻の薬草大力参を縦軸に編み上げられた、謎が謎を呼ぶ秀逸なプロット。そして、最後のクライマックスの美しさは息を呑むほどです。
 荘厳なエピックファンタシーにちょっと飽きたあなたには、是非お勧めの一作です。

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紙の本太陽の簒奪者

2002/07/13 08:08

ハードなSFを堪能!

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 「水星に突如出現したナノテクノロジーによる巨大構造物。マスドライバーによって軌道上に打ち上げられたそれは、いつしか惑星を取り巻くリングとなった。望遠鏡のレンズの向こうに広がるその光景は、少女であった亜紀の心に焼き付けられた。それを作り上げたであろう異星人たち、いつしかビルダーと呼ばれるようになった彼らへのコンタクトという歴史の大きなうねりの中へ、亜紀は身を投じていく。いくつもの想いと共に。
 歴史の向こうに亜紀が見たものとは?
 圧倒的なスケールで描かれた、傑作ファーストコンタクトSF作品」

 久しぶりにハードなSFを堪能させてもらいました!  
 
 やっぱりハードSFは、科学考証よりも歴史を感じるかどうかですね。人間が自分の手ではどうにもならない自然を描き、それに時を越えて翻弄されていくさまを描くのが、ハードSFの醍醐味というものではないでしょうか。科学考証なんざ、そのためのツールです!(<神をも恐れぬ発言)
 作品では、ヒロイン亜紀を中心に何人もの人々、そして人類全体がファーストコンタクトという歴史のうねりに翻弄されていくさまが、実に見事に描かれていました。さすがは野尻氏、緻密でありながら詩的な雰囲気を漂わせた世界設定です。

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紙の本知性化戦争 上

2001/11/25 22:30

ネオ・チンパンジー万歳!

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 bk1のレヴューアー、こじまさんも激賞の知性化シリーズ。
 これまではあまりの厚さにびびって読んでいませんでしたが、読み始めたら止まらない止まらない、「ネオ・チンパンジー万歳!」で、分厚い上下巻を一気に読んでしまいました。
 人類によって知性化されたチンパンジー達が、とにかくかっこいい。リメイク版「猿の惑星」を思いっきり見たくなるような大活躍です。ネオ・チンパンジーのファイベン君かっこよすぎ。人間は完璧に脇役ですね(^^;

世界観も奇抜なアイデアに満ちているわりには、作りこまれていてリアル。
この宇宙は、それぞれの異星種族(主族)達が、見出した動物を知性化して、「類族」という名で自らの勢力に引き込み、覇権争いを繰り広げています。この世界設定は、古代ローマ帝国の「文明化」や「パトローネス(貴族)・クリエンテス(一門の人々)」を換骨奪胎したもので、列強主族の勢力争いなんか、まさにローマ内のパトローネスの主導権争いそのもの。恐らく、そのまま歴史小説にしても十分面白いネタを、SFを使って壮大なヴィジュアルの世界に展開させた、凄いエンターテイメントです。

ストリーカーの謎が明らかになる、次の完結編が楽しみです。

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紙の本佐久夜

2001/11/25 22:20

生と死、新たなる記紀神話

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 「バナナと石、どちらを選ぶか?」
 そう精霊に問われて、バナナを選んだことから、人は死に腐りゆくようになった。もし、石を選べば永久の生が与えられたのに…

 この太平洋の島々に暮らす人々の神話は、日本に来て、二人の姫との求婚の神話へと姿を変えました。木花佐久夜毘売(コノハナサクヤビメ)と石長比売(イワナガヒメ)の物語がそれです。中沢氏は、この物語を、生と死、愛と憎悪という葛藤を描いた戯曲として、現代に蘇えらせました。
 木に咲き誇る美しい花のような姫、妹の佐久夜姫のみを娶り、醜い姉の石長姫を親元に返した神の子ニニギノ命。彼はそのことで、その永遠の生を無くしてしまいます。それを呪いと感じた天津神(天皇家の祖先)の子孫達は、その呪いを解こうと、姉妹を含む国津神の一族に迫ります。ですが、果たしてそれは呪いであったのでしょうか。神秘的な終幕のシーンの中に、我々の祖先がこの神話に何を託していたのか、それを感じ取ったような気がします。

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紙の本聖母の部隊

2001/09/08 07:27

酒見氏の語りが光るSF中編集

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 「絶妙のストーリーテリング」。酒見氏の作品を読むたびに思い浮かぶ賛辞ですが、SFを書かせても氏らしい語り口が酒見ワールド作り上げています。
 特に表題作「聖母の部隊」は絶品。物語は、「アルジャーノン…」の始まりのように、たどたどしい少年の語り口から始まり、やがて少年達の成長と共に世界の秘密が顕わになってくるという、古き良きSFお得意のパターンをなぞっています。しかし、少年達の生きる世界が、母親代わりの謎の女性と共にゲリラ戦を行きぬくという、まさにデッド・オア・アライブのシチュエーションのため、緊迫感がストーリーをぐいぐい引っ張って行きます。そして少年達を導く優しく厳しい「お母さん」が、育っていく少年達にとっていつしか一人の女性として映るようになる時、物語は終末を迎えるのです。
 酒見氏の乾いた語り口調で綴る、闇の妖しさを秘めた少年の成長物語です。

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紙の本西城秀樹のおかげです

2001/09/08 07:00

ひたすら笑い転げられる爆笑SF

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 大爆笑!
 読みながら家族の前でひたすら笑い転げてしまい、冷たい視線を浴びながら、それでも止まりませんでした(笑)。
「哀愁の女主人、情熱の女奴隷」:
 決意と確信に満ちたメイドセクサロイド・ハンナと、心ならずも主人となった時子の緊迫感に満ちた会話が爆笑の怪作。潔癖症でSEX嫌いの時子の突っ込みに、受けて立つハンナの決意に満ちた切り返し攻撃。爆笑の連続で、読みながらこちらは息も絶え絶えでした。それでいて、泣きながら時子に抱きしめられたハンナは実に可愛い。ハンナは森さんのサイト白百合城の専属メイドとなったそうですから、これからもあのやり取りを我々に聞かせて欲しいものです
「地球娘による地球外クッキング」:
 これほど狂暴なファーストコンタクト物を、私はかつて読んだことはありません!やはりげに恐ろしきは地球人ですね。

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