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    体が硬い人のための柔軟講座 (NHKテキスト 趣味どきっ!)

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    中野 ジェームズ修一 (講師),日本放送協会 (編集),NHK出版 (編集)

    5つ星のうち 4.0 レビュー詳細を見る

川中 律さんのレビュー一覧

投稿者:川中 律

2 件中 1 件~ 2 件を表示

「二つの中国」に翻弄された歌姫の孤独

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

現在テレビのニュースで盛んに報道されている中国の反日デモ。コメンテイターのなかにはこれは天安門事件の反動だという人もいる。もしそうであるならばこの反日デモを見るにつけ私が思ったのは、もしテレサ・テンが生きていたらこの光景をみてどう感じるのだろうかということだった。そんな中テレサ10回目の命日を前にして有田芳生氏の待望の新刊「私の家は山の向こう-テレサ・テン十年目の真実」が発売された。本書を読んだ後に反日デモを見て感じたのは中国政府の本質は天安門事件の後も全く変わっていないということで、むしろ内包する矛盾は広がっているとさえ思えた。
著者の有田氏と言うとどうしてもオウム真理教、統一教会、はたまた「ザ・ワイド」のコメンテイターとしてのイメージが強いが、これまでにも「歌屋 都はるみ」を著しているように人物ノンフィクションの分野でも好著がある。これはテレサが亡くなった直後に出ると言われてなかなか出なかった本で、10年目にして正にやっと出たという感じである。本書はテレサの遺稿である「星願」に見られる孤独感、絶望感はどこから来たものなのかを手掛かりに、「二つの中国」に翻弄されたテレサ・テンという一人の歌手の実像に迫っていく物だが、「十年目の真実」という副題にあるようなセンセーショナルなものは無く、丹念な取材によって掘り起こされた事実が書かれているだけである。そこにはテレサ没後10年という時間が文章全体に落ち着きを与えていて、それが読み手にも変な感傷にとらわれることなく読めるという効果につながっている。それだけに却って切なくテレサのCDを聞きながら読むと涙が出てくる。テレサに関するノンフィクションとしては平野久美子氏の「華人歌星伝説-テレサ・テンが見た夢」(晶文社)と並ぶ好著だと思う。
これまで私たち日本人が親しんできたテレサ・テンは、実は日本やアメリカなどの華人社会ではないところだけで活躍した歌手だった。台湾、中国、香港などの中華文化圏では一貫して鄧麗君であり、1974年に日本でデビューしたとき、かつて翁倩玉がジュディ・オング、陳美齢がアグネス・チャンとなったように鄧麗君はテレサ・テンという発音しやすい英語の芸名を名乗った。この事だけでもテレサは日本を中華文化の外にある国として捉えむしろビジネスの場所として割り切っていたらしいことが解る。したがって台湾、中国、香港における鄧麗君と日本でのテレサ・テンでは感触が微妙に違うのは当然だ。ただ私を含め多くの日本人が鄧麗君ではなくテレサ・テンを愛しているのも事実である。結局私たちに出来るのは本書で明かされているようなテレサの人生を真摯に受け止め冥福を祈ることしかない。そしてテレサの歌を聞くことで少しでも心が癒されるならそれだけで充分だと感じる。テレサの願いも案外そんなところにあったのではないかと思えるのだ。
合掌

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年間最多安打記録更新イチローの成し遂げた偉業が改めてよく解る良質のレポート

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

昨年の日本のプロ野球は再編問題で揺れた。当時は日本のプロ野球と大リーグとの比較でシステムや球団経営、ファンサービスのあり方などが多く取り上げられたが、そのなかでほとんど紹介されなかったのは野球を取り巻くメディアを中心とした文化の違いである。
そんな年に達成されたイチローの大リーグ年間最多安打の84年ぶりの記録更新は日米のマスコミの違いを知る上での格好の材料になった。勿論記録更新が近づいた頃から日本でも連日ニュースに取り上げられたから大きな話題となったが、多くのマスコミはイチローの凄さは伝えてもあと何本、あと何本といった現象面のみに終始し、この記録が持つ歴史的な意味、イチローが現在の大リーグの野球に与えている影響力の大きさを伝えていたのは皆無とは言わないまでも非常に少なかった。
この本はそんなイチローの2004年シーズンを追った良質のレポートである。著者は「シアトル・タイムス」で長年マリナーズの番記者だったボブ・シャーウィン。ボブ氏はイチローの驚異のルーキー・シーズンだった2001年にも「ICHIRO-メジャーを震撼させた男」という本を著しているので、この本はそれの続編とも言える。ボブ氏に限らずアメリカの野球記者が書く本の特徴は自身の歴史観、野球観がしっかりしていることと対象者を含めて周りへの取材が徹底していること、そしてなにより記録などの数字に対しての正確さなどがあげられる。この本でも記録という数字を軸にジョージ・シスラーは勿論、ウィー・ウィリー・キーラー、ビル・テリー、ポールとロイドのウェイナー兄弟など過去の名選手との交信を行っている。しかも冷静に淡々として書いていることで余計にイチローが成し遂げた記録の凄さが浮き彫りになる仕掛けになっている。こうした文章は日本の野球記者ではまず書けないと思う。
勿論大リーグがすべて良くて日本のプロ野球がすべて悪いのではない。選手の年俸の高騰や球団の収入格差はむしろ日本よりひどいし、少なからず差別も存在するしステロイド問題などの暗い話題も多い。しかし少なくとも大リーグにはそうした問題を正面から受け止めて改革していく意思があるし、アメリカという国が持つ野球というスポーツに対する愛情、文化を含めた懐の深さは日本のプロ野球が逆立ちしても叶わない凄さがある。
この本は記録更新を追ったイチローの2004年の軌跡だがICHIRO-メジャーを震撼させた男」と続けて読むと、イチローを始め松井秀喜、野茂、長谷川、大塚そして今年の井口と彼らが何故アメリカへ渡ったのかという理由の一部が解るような気がする。
ボブ氏が次に書くイチロー本はやはり夢の4割達成時か。

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