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螺旋 さんのレビュー一覧

投稿者:螺旋 

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紙の本レヴォリューションNo.3

2001/10/25 22:30

繊細さと逞しさのハーモニーとスパイシーなユーモア。笑わせて泣かせるハイセンスな連作集

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 二つの短編とひとつの中編からなる気鋭若手作家の連作集。
 有名進学校が軒を連ねる新宿区の一角にあって、偏差値の低さを誇り、周囲からは学歴社会の「生ける屍」と目されている高校生達。彼らの生活と意見、誇りと情熱が生き生きと語られる。

1『レヴォリューションNO.3』
 良家の子女が集い、美女占有率の高さでも知られた女子高の文化祭は、悪ガキども憧れの花園だが、悪い虫の接近を許さぬ禁断の地でもあった。難攻不落を誇るその要塞に討ち入り、鉄壁の防衛線を突破してこそ男子の本懐とばかりに、アホアホパワーを結集する「僕」等の熱い戦い。

2『ラン、ボーイズ、ラン』
 大事な仲間の為に、皆で流した汗と誇りの結晶を横取りされ、黙って引き下がる訳にはいかない。敵の本陣に討ち入り、損失を取り戻し、名誉を回復してこそ男子の本懐と、またまたアホアホパワーを結集する「僕」等四十七人の戦い。

3『異教徒たちの踊り』
 卑しい街の陰湿なストーカーに悩まされる美しきヒロインの姿に、若干のスケベ心を含有した「僕」の高貴なる騎士道精神に火がつき、成り行きのままにボディーガードを引き受けてしまうが、見えない敵の卑劣さに、夏休み返上で集結したアホアホパワーの静かな怒りが炸裂する。

 1話は、アホな舞台設定の中に、切なさも哀しさも愚かさも全て一緒くたになった若く熱い時間が見事に描かれて胸に迫る一編。素晴らしい青春小説となっている。
 2話は、より赤穂浪士のパロディー色を強め、遊び心全開の痛快娯楽アクション編。ホロリとさせながら、その感傷を強引にひっくり返す作者のクールさに、最後のやりすぎも中和されるようだ。
 3話目は書き下ろしの中編。体裁は高校生が主人公の学園ものだが、基本は典型的なハードボイルドの様式を採用した作品で、大学のカフェテリアを探偵事務所に、行きつけのジャズ喫茶のマスターを馴染みのバーテンダーに、主人公を目の仇にする体育教師を警官等に置き換えれば一層それらしく見える。仲間たちの役割分担も良い。3つの作品が時間差で共鳴しあう構成に、作品の陰影も深まり味わいも増した。

 偏見や差別が強固でも、そんな社会のありのままを受け止め、自分たちの知恵と度胸で突破して行こうとする力強さが気持ちよい。諧謔に溢れた一人称の語り口がとても洗練されている。ひねりの効いた造形で強烈な磁力を発散する多国籍なキャラクター達のおかしな魅力。繰り返しのギャグも効果的で大いに笑わせられた。

 骨太さと都会的なスマートさとを合わせもつ魅力、繊細さと逞しさのハーモニーが作品を面白く印象深いものにしている。とにかく全編かっこいいハードボイルドのテイストが横溢した作品集であるのに驚いた。
 
∫∬螺旋式∬∫ 
 

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