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先月(2017年1月)

yaebaさんのレビュー一覧

投稿者:yaeba

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この世の果て…そこは、天国?

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「ロワン・ディシー(この世の果て)」という名のフランス料理店を舞台とし、ワガママだけど憎めない女性オーナーと彼女をとりまく従業員、訪れるさまざまな客をコミカルに描いたマンガ。5巻では、大人以上にマナーを心得た子役の少女、経営コンサルタント、空巣などが来店し、訪れる人全てに普通のレストランではありえない珍事件が起こる。

佐々木さんのマンガといえば、『動物のお医者さん』『おたんこナース』など、どれもキャラクターが面白いのだけど、この『Heaven?』もそう。とにかく、女性オーナーのワガママぶりが強烈。5巻の33話では、訪れた経営コンサルタントからの「人件費がかかりすぎなので、ホールの人間を二人減らしては?」というアドバイスに対して、オーナーはこんな風に言い放った。

「私はね、客のためになんか働いていない……自分のために働いているのよ!! 私がおいしいと思う料理を出す! 私がいいと思う従業員を置く! 私がかわいいと思う小物を使う! レストランは夢と感動の舞台!? それもいいわね。ただし夢を見るのも感動するのも私! だって私の店なんですもの!! 悪い!? 結果として客が喜んでくれればそれもまたよし」(P51〜54)

めちゃくちゃな理論なのに真実をついている…。この自由さに、潔さに、振り回されたり呆れたりしながらも、憎みきれない従業員たち。生真面目すぎる青年伊賀くんがオーナーをフォローし、元銀行員のソムリエ山縣さんがほのぼのとした雰囲気を醸し出し、子供のように無邪気な河合くんや、こだわるけれど気弱なシェフなど、どのキャラクターも肩の力が抜けていて微笑ましい。

佐々木さんがマンガに描くのは決して大きな出来事ではない。出来事自体はささやかなのだけれど、人物の描写が実に丁寧で細やかなのだ(人物描写の細やかさの点では、三谷幸喜作品と似ている)。だからこそ、その小さなコミュニティーに絆や温かさを感じることができる。読んでいて笑えるし、ホッとするし、感動もできる。

「この世の果て」…そこには理想の人間関係があり、ほのぼのとした日常がある。些細なストレスに悩まされる私達にとって、そこは「天国」なのかもしれない…。

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