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Snake Holeさんのレビュー一覧

投稿者:Snake Hole

3 件中 1 件~ 3 件を表示

日本とも欧米とも違った価値観が,違った物語を産むのだろうなぁ

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 本邦初訳,20世紀 (うっかり「今世紀」と書きそうになった) 最高のペルシャ語散文の巨匠と呼ばれるサーデグ・ヘダーヤトの短編集だ,そうである。ペルシャ語の散文が日本で翻訳される数は限られているだろうから,こんなモンが埋もれていたのも不思議ではないが,うーんそうですか,世界にはいろんな才能があるもんである。
 自殺願望に取り付かれたオトコの精神状態の推移を手記でたどる表題作をはじめ,どの作品もおどろくほど現代的で,とても1951年に自殺した作家の作品とは思えない。
 特に掉尾を飾るSF短編 (と言っていいと思うが) 「S.G.L.L.」が素晴らしい。科学の究極的進歩によって,老い,病い,死さえも克服された未来社会で,倦怠の果てに人類の代表が下した決断が「我々の種の絶滅」であったという皮肉,それを苦痛なく成就するために開発された薬品の効用,そしてその結果まで,並の発想ではないぞ,このおっさん(笑)。やっぱり日本とも欧米とも違った価値観が,違った物語を産むのだろうなぁ。

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紙の本碁打ち・将棋指しの誕生

2001/11/24 15:28

特殊技能集団の発生と確立を辿る労作

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 信憑性の高い公家や僧侶の日記類を丹念にあたり,中世において特殊な遊戯を扱う博打者に過ぎなかった碁打ち・将棋指しが,いかにして専業の遊芸師としてその地位を確立していったのかを探る,まことに頭の下がる労作である。
 いやしかし,囲碁も将棋も双六だの連歌だのもみんな賭博としてやってたんだな。こりゃ「ヒカルの碁」に出て来る藤原佐為の人物設定はかなりヘンだということになる。そうそう,オレは市井の碁会所というのに行ったことがないのだが,確か「ヒカルの碁」の3巻だったか,三谷とヒカルが最初に出会う碁会所の席亭が「席亭は賭けちゃいけないんだが」とか言ってるんだが,実際のところはどうなんだろう。あのセリフはもしかして少年誌だからだったのかな?
 興味深く読んだのは,天正年間,神道家の吉田兼見と織田信長の重臣村井長門守貞勝との将棋を通した付き合いの分析。増川氏によれば,兼見が貞勝の元に「将棋を指しに」行ったあとに必ず,時の権力者である信長,その部下である貞勝が下す政治的な決定が,兼見の属する一派にとって好都合なものになっているそうな。これは遊芸が権力を握った武家に普及して行った一つの形態であり,兼見の行動はまるで西欧王室における道化師,とまでは行かなくても芸を持って権力に取り入るロビイストめいて見える。
 考えてみれば遊芸であれ武芸であれ,一道を極めそこに「たつき」を求めようという集団が確立していく過程には,似たような構造があるのかも知れない。茶の湯の利休の生き方はまんまだし,村上知義の「忍びの者」のシリーズに出て来る忍者達はまさにそういう技能集団だった。伊賀忍群の首魁服部家の成り立ちにも,囲碁の本因坊家,将棋の大橋家に通じるものがあるのかも知れない。……そういえば俳諧の大立者,松尾芭蕉は隠密だったって話があったよねぇ。

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この文体が好き,軽妙洒脱とはこのことである

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 うーん,中身の事件だのトリックだの人物描写だのはどうでもよろし,この文体が好き,軽妙洒脱とはこのことである。大正から昭和初期にかけての,モダンと言えばモダン,退廃と言えば退廃の文化の香り,ぷんぷん (とまぁ,こんな体言留めを多用する文体なんですけどね) 。
 なんというかこれは企画の勝利だわな。オビで高橋克彦,京極夏彦 (こうして並べて初めて気付く,二人とも「彦」なのな) が慣れぬ文語体で宣伝にあいつとめておらるる文言ほどのものとは思わぬが,こう刷り上がり綴じ上がり出来上がった一冊の本としてみると,スミズミまで中身の雰囲気を壊さぬよう気が使われた首尾一貫のてい,体操選手の鉄棒より飛び下りるフィニッシュに足の見事に揃いたるを見るようである。WEBでみる表紙の写真では細かくてよく判別できぬかも知れぬが,表紙にある版元の表記も「東京神田 祥伝社発行」と来たもんだ,やんややんや。
 ところで,「七事件の二:天狗礫,雨リ来ル」の冒頭50ページに掲載されているのは,ウチの近所の約80年ほど前の地図だ。この地図で日本獣医学校となっているところは今の多摩大学目黒高校,目黒蒲田電車は今の東急目黒線である。獣医学校のとなりの競馬場は第一回日本ダービーが開かれた目黒競馬場で,今でも「元競馬場」というバス停がある。あ,そうだ,毎年2月にJRAがやってる「目黒記念」というG2のレースは,この競馬場を記念したもんなんである。知ってましたか。

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