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こうさんのレビュー一覧

投稿者:こう

3 件中 1 件~ 3 件を表示

存在の行方

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

見事でした。
真賀田博士の登場や言動から来る森ワールド独特の雰囲気もさることながら、<S&M>シリーズ前9作全てがここに到るまでの伏線であり、要素だったのですね。 10冊読み終えてみると、やはりこのシリーズの中で一番好きなのは第1作『すべてがFになる』と本作『有限と微小のパン』ですが、かといってこの2冊だけではストーリーが完成しなかったというのもよく分かりました。
ないものをあると信じること、綺麗とか美しいということ、名前というもの、1つであるということ、一瞬で消えてなくなるもの、時間という概念、生と死……前9作で提出されてきた主題が、本作で集約され、本作で「存在の意味と行方は?」というテーマの下に完成されています。好きだなあ、こういうの。

「どこから来た? 私は誰? どこへ行く?」
存在というものがどこから来てどこへいくのか、とは、もうずっと昔から使い古されているにも関わらず繰り返し問われ続けているテーマですが、それに対してこんな答を返したお話って他には知りません。
不完全だからこそ愛しい/大切だとか、逆にまったく意味などないのに生きていかなければならないという悲愴さとか、色々あるけれどこれはどちらでもない。単に意味はない。でも意味があるかないかということすらも、たいした差ではない。ただそこで生きている。そんな感じです。

このシリーズを途中で投げ出してしまった方もいるでしょうが、なんとかこの最終作まで辿りついてください。

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紙の本西の魔女が死んだ

2005/01/16 13:39

恐ろしいほど鋭くも繊細な感性

1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

なんてさらりと鋭いことを書くひとなんだろう、というのが読み始めたときの印象でした。
祖母の家にまいを連れて行った母親と祖母との会話をさらりと書きながら「つまり、当り障りのないこと、要するにまいに関係のないことをしゃべり続けた」と終え、祖母が倒れたと知らされたまいが「まだ生きてるの?」と尋ねようとして慌てて「まだ話ができるの?」と言葉を変える。 なんてことのない読み流しそうな文章の中に、こんな風にきらりと鋭いものが散りばめられていて、どきりとすることが何度かありました。

入学したばかりの中学に馴染めず不登校になってしまったまいは、田舎のおばあちゃんのもとで一月あまりを過ごします。
そこで受けた魔女になるための手ほどきと、おばあちゃんと交わした、たった一つの約束…

魔女の手ほどき受けると言っても、いわゆる魔法を使う訓練を受けるわけではありません。精神を鍛えるために、毎日規則正しい生活をし自分で決めたことをやりとげる。そんなごく普通だけれど難しい生活の基本を身に付けながら、まいが経験する出来事と祖母との交流と、生死というものについて書かれたお話です。
また数年後に読み返したい作品でした。

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紙の本チェンジリング 赤の誓約

2005/01/16 13:33

良質なファンタジー、そして人の生き方についての物語

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

妖精を見る能力<セコンド・サイト>を持つ美前は、幼い頃から目立たぬよう、人と関わらぬようにして生きてきた。
しかし、静かな毎日を送っていた彼女の前に突然見知らぬ少年・リンが現れて「狙われている」 と告げる。その頃から再び出現し始めた数多くの妖精たち、続く無言電話……そして夢に現れる青年は、美前のことを「<女王>の<取替え子>」と呼んで<輝きの野>に戻るようにと告げるが…

現実生活に馴染めない主人公のもとに異世界からの迎えが訪れる、というのはいい加減使い古されたストーリーです。でもこのお話では主人公・美前の心情がとてもリアルに緻密に描写されていて、陳腐な設定という印象は受けませんでした。
自分が<取替え子>だということをなかなか信じられず、自分の頭がおかしいのではないかと疑ってみたり、なんとかこうとか<輝きの野>まで来てみても、そこは様々な陰謀と混乱の渦巻く世界で、美前はこれでもかこれでもかという位大変な目にばかり会う。そこでも美前は、いつも困難から逃げようとしたり、自分の行動を自分で決められずに状況に流されようとしたり。正直そういう美前の性格に前半は苛々させられたりもしました。でも自分のそういう性格を自覚して何度も“もう逃げない”と決意するのに、ついまた逃げそうになって自己嫌悪に陥って…というのは、とても現実味に溢れています。人間そうそう簡単に変われる訳ありませんからね。
また、下巻での舞台になる<輝きの野>はとても詩情豊かな世界で、その雰囲気だけでも楽しめます。世界の色彩や空気、そこに生きる人々がとても生き生きしているんです。美前を迎えに来た少年・リンや、<琴手>のターリ、<上王>のアェド、<丘の下の王>、美前との対に位置する<取り替え子>のマァハに、<女神>の現身である<女王>…とそれぞれ魅力たっぷりなので、誰かに感情移入することもできるし、純粋に世界の雰囲気に酔いしれることもできるでしょう。
それにしても、ここに出てくる女性たち−特に<輝きの野>の世界の女性たちはすごい。子宮をえぐり出されながらも笑って闘い続けるモルガヌや、戦場を足下に歌い踊るマァハ、人の魂を食らう<女王>…と、太古の混沌とした世界におけるグレート・マザーに通じるような、ぞっとする魅力がありました。

すべてから逃げてきた美前の成長物語でもあり、ケルト神話をベースにした良質なファンタジー作品でもあります。

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